久しぶりにガオラスポーツでDRAGON GATEのプロレス(8月6日、後楽園ホール)を見た。
軽量級の選手がやたら飛びはねるこのプロレスはぼくの趣味からやや外れるのでめった見ないが、特異なキャラで売るヨースケサンタマリアには目をみはった。
ブラジャー&フリフリパンツという女装レスラーのいでたち。
胸をつままれて声を上げたり、パンツで顔の上に座ったたりと要するにエロ・グロ路線を堂々と演じているのだ。
ときおり女を感じて男女混合マッチかと錯覚したりする。
きわめつきは相手選手との長いキスである。ここまでやるとプロレスラーや芸人はつくづく辛い商売だと思ってしまう。
DRAGON GATEの公式サイトによると
本名:渡辺陽介
生年月日:1991.12.14 23歳
出身地:東京都板橋区
身長:173㎝
体重:73㎏
血液型・B
とのこと。
マスクをかぶったり脱いだりいろいろした結果、コスチュームや髪型を変えオネエ言葉を使ってこの路線を開拓したらしい。
笑っているうちにだんだん哀しくなって、さきごろ読んだ又吉直樹の『火花』を思い出した。
この小説も売ること、受けることを商売とすることの哀しみに満ちている。
プロレスはもとより強ければいいというものではない。ただただ強ければいいのはアマレスである。
プロレスはリング上で何を見せられるかだ。
ストロングスタイルは強いことが条件であるがそれだけでも持たない。どういうふうに強いのか、やはり強いAと俺はどういうふうに違う強さを見せているのか、が問題になる。
190㎝140㎏は立派なヘビー級体格であるがのそのそしていたら「デブ、何やってんだ」という罵声が飛ぶのがプロの厳しさである。
DRAGON GATEのように70~80㎏の体格の選手が多い団体は、飛ぶはねる、器用で小技が効くというのはほとんどがこなす。いわゆるルチャリブレ(メキシコプロレス)はずっと見ているとこちゃこちゃしているなあというマイナスイメージも生じて来たりする。
するとその中で生き残るには何か際立った色合が要る。
渡辺陽介くんはそんな事情のなかで女装してオネエ言葉を使うヨースケサンタマリア、通称マリアとして生き延びようとしている。非力技の見せ方である。
このスタイルでどのくらいの賞味期限があるのか。
マリアの闘いは始まったばかりであろう。
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