飯田線トンネル騒動

結がまた「飯田線前面展望動画」を所望するようになった。

きのう保育園帰りにうちへ立ち寄り爺の部屋へ来た。胡桃を食べた後、パソコンを見たいという。

鉄道の「前面展望」ものは以後、山手線、京王線、小田急線といろいろなものを見てきた。

最近「トンネルは山を掘って作った」と爺の言ったことがわかる年になったせいか、またトンネルの多い飯田線への興味がぶり返したようだ。

「飯田線前面展望動画」はたくさんのバージョンがある。どれも駅名を表示するがトンネル名を表示するのは知るかぎり一つ。「飯田線前面展望動画」と入れると上のほうに出るやつがそれですぐわかる。

ところが先日、そのようにしてもそれに遭遇できなくなった。ああ「お気に入りバー」へ登録しておくべきだった、と臍を嚙む思い。

パソコンは不思議な要素がある。同じ操作をしても前と同じ局面に戻れないことがある。それは大水の流れた後の河川敷に似る。あった物が失せて新しい物が出来するのである。

しばらくトンネルを表示しないバージョンを見ていた。

そのときも結はトンネルの名前を聞く。答えないわけにいかずでたらめの名前をしゃべる。しかし５秒に１度でたらめを言うのはしんどい。むかし「インチキ外国語」で一世を風靡した芸人、藤村有弘（享年48）は天才かと思った。彼のフランス語はほんとうのように聞こえた。

口任せにでたらめをしゃべったのだが５歳になった結は理解力、記憶力が増している。以前から土地勘はいい。爺には同じトンネルに見えても奴は識別できている可能性がある。田本駅のすぐ先のトンネル（豊橋寄り）が「田本第2トンネル」であることはもう覚えている。

嘘をつく限界にきていた。画面上に表示がないのに爺はどうしてトンネルの名前がわかるのか疑問を持つのも遠くなさそう。自分も疲れるし結にもよくない。ということでゆうべ必死に＜トンネル名付き＞を探した。あった！

「お気に入りバー」へ登録した、やれやれ。

子どもが大きくなるにつれて厄介なことも増える。ごまかしがきかなくなるのである。

鉄道と付かず離れずの天竜川