天地わたるブログ

ほがらかに、おおらかに

水族館は食材がいっぱい

2024-06-16 05:50:23 | 自然



きのう結と吉祥寺の水族館へ行った。黒いウグイを確かめたい気持ちもあった。黒いのはやはりウグイではなくて鯉であった。鯉とウグイがほぼ同じ場所にいて小生が表示を誤解していた。
鯉、鮒、岩魚、ウグイ……みな元気に泳いでいてどれも美味そう。見物であるが食材であることを痛感した。



岩魚


「アカハライモリは魚じゃない」と結に話したがこれも食材である。伊那市と駒ケ根市の境の火山峠にかつて店があり一般的でない食材ばかり提供した。下手物料理でそこは「イモリの黒焼き」が看板であった。
子供であった小生は行かなかったが父は食したらしい。父は戦時中、千葉の野戦病院に疫病で収容されたことがあり、早く回復せんと庭に来た蛇を殺して生食し、下痢したという。なぜフライパンで炒めなかったのか。油を使わなくてもジュージューしそうなのに。
その父のもとで育った子供はたいていの物は食べた。鯉は池で飼っていて祭のときよく食べたし、池を掃除して泥の中でピチピチ撥ねる鮒や泥鰌も食べた。
ヒキガエルは水族館にいて久しぶりに見たがこいつも食べた。父は「ヒキタ」といってよく山から獲ってきて皮をむいて囲炉裏の火で焼いた。小さい蛙はちぎって養殖してる地蜂の巣の前に置いた。蜂の子を太らせて食べるのである。
イナゴは秋から冬しょっちゅう食べる食材であった。
  滾る湯に袋の蝗ぶちまけし
というほどたくさん獲った。
虫は案外良い食材。その一番はトッコ虫である。伊那の方言のたぐいで、クワガタムシの幼虫である。トッコは榾、根っこのニュアンスだと俳句をやっていて悟ったのだが養蚕をして桑の木が身近にあった。それが枯れたりすると掘り起こして新しい苗木を植える。そのとき地中の根を食って育つクワガタムシの幼虫に遭遇する。
これを父は嬉しそうに持って囲炉裏に来て燠の上で焼いた。小指よりすこし細いトッコ虫。燠の上で伸びてゆき焼けるとプシューと空気が出た。
これの香ばしいこと。まことクリーミー……言葉で表現できない美味さであった。トッコ虫はそう獲れるものではなく二三度食したのみ。幻の美味である。
トッコ虫よりでかいカブトムシの幼虫、これは食べたことがない。やつらは腐植土にいてクワガタムシの幼虫と餌がまるで違う。たぶん不味い。木を食う虫は美味いのである。
さて虫といえば蚕も飼ったからこれを食べる機会もあった。糸を吐き終えた蛹である。
屑繭は売れないのでそれを自家用の糸とした後、蛹が残る。これを煮て食べるのだが小生は苦手であった。風味とぱさついた食感が好みではなかった。
蚕の蛹は池の鯉の大好物、投入すると群がって池が波立った。蛹は鯉にやりそれで太った鯉を食うほうがよかった。

水族館の生き物たちはみな元気で食欲を誘う。食べなくてもここで元気になる。爺も結も。


アカハライモリ


コメント
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