伊那はなんと雲に表情のあるところかと感じた日
11月14日、伊那の旧友伊藤岬を8年ぶりに訪ねた。
彼は伊那市東春近在住。当地で「こころん」という障がい者就労継続支援事業をはじめて10年ほどになる。一般就労が困難な人たちに就労の場と機会を提供するためのさまざまな活動をしている。
彼の背後の薪は「こころん」の取扱い品目で軽トラ1台分を1万円弱で売るとか。ほかにきのこ栽培や蕎麦定食を出すなどの売上げ金を就労者に手当に充当しているとか。
すっかり川柳から足を洗い地道な事業に汗をかく伊藤
美味い蕎麦をごちそうになった後、伊藤の車でまず胡桃拾いに出かける。行く先々、葉がなくて柿がいっぱいついた木に遭遇して感動。当地の人は柿に目もくれないようだ。
花で有名な高遠へ入る坂に1本の胡桃を見つけそこで野生果実ハンターは汗をかく。
急斜面に黒くなった胡桃があるわあるわ。胡桃に関心のある人もいないようだ。この国はどうなってしまうのだ。
伊藤に「こころん」の就労者に胡桃拾いと胡桃割りをさせたらどうかと提案するが乗り気でない顔。胡桃は立派な商品になると思うのだが。
仮に商品にならなくても身障者が手を動かして食べて美味いという実感は生活支援の一環になる。身障者にかぎらず人が野山に出て自ら誰のものでもない食える物を手で拾って食べる、これは生きることの原点であり活力であるとぼくは考える。
すごく優秀な胡桃の木、無数の実を落としている
無造作に柿がなっていて心躍る山畑
空気冷たく乾く伊那の風光
伊那に生まれたが当地で紅葉を美しいと感じたことはなかった。勉強ばかりしていて歩き回らなかったせいである。
箕輪ダムが「もみじ湖」と呼ばれる紅葉の名所であることを伊藤のおかげで知った。伊那谷北部の上水道用水らしい。
胡桃拾いに時間をとられ当地へ来たとき日の光が弱くなっていた。もう30分はやく来たかったと伊藤は言うが人生とはこんなもの。その30分を胡桃に費やしたことにぼくは悔いがない。暮れてゆく紅葉というのも風情がある。
今日は旧友にお世話になった佳き1日であった。