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月刊 きのこ人

【ゲッカン・キノコビト】キノコ栽培しながらキノコ撮影を趣味とする、きのこ人のキノコな日常

キノコ界の宇宙人

2010-04-16 22:47:45 | キノコ
アミガサタケの発生場所について、どうも腑に落ちないので、ちょっと調べてみた。

『原色日本新菌類図鑑』(保育社)……林内の地上(トガリアミガサタケ)
『日本のきのこ』(山と渓谷社)……林内地上あるいは路傍
『カラー版きのこ図鑑』(家の光協会)……林内地上あるいは畑地や道端など

ま、そっけないと言えばそっけない。大半の図鑑はこれらと似たり寄ったりのことが書いてある。

ちょっとつっこんだ書き方をしているのを探すと

『兵庫のキノコ』(神戸新聞総合出版センター)……
ソメイヨシノの開花前後に、その樹下やイチョウの樹下、道端などに発生(トガリ)

『都会のキノコ図鑑』(八坂書房)……
腐食の多い地に発生し、特にサクラの樹下のツツジの植えこみに多く見られる

といったところが。食べられるキノコ系のガイドブックにならば、もっと詳しい記述が得られると思うけど、あいにく私の手元にはその手の本が少ないので。

そんな中で、高山栄 著『おいしいキノコと毒キノコ』(ネイチャーネットワーク)にかなり詳しい記述がある。ちょっと引用長いけど……

……アミガサタケは特に有機質の環境を好むようである。まったく有機物質が無い場所から発生したときでも、その土地の以前を調べると必ずと言ってよい程、過去には廃棄処分された物の置場所
であったりする。
切り通しの崖の上方からは毎秋落葉(主に広葉樹)があり、冬には霜が降りる。また、雨により崖の肌土がその落葉の上に落下する。地面は落葉と礫とのサンドが繰り返される。この状態のところにアミガサタケの菌糸が伸びてキノコを形成している。(引用終わり)

なるほど、説得力がある。切り通しの真下は確かにアミガサタケの好むポイントであるような気がする。今回もそのような場所でみつけたものがあったし。ただ、全部が全部そうなのか、というと、そうでないような気がするのもまた確か。なかなか難しいな。

さて、次はネット上を調べてみると

「サクラの樹下を好む」「イチョウの樹下を好む」の他に、「アルカリ土壌を好む」てのが出てきた。やっぱり気づいてた人がいるのね……というか、私もどっかの本でそれを最初に知ったような気がする。

そんななかで、面白い考察が書かれているところを見つけた。こちら

サクラ・イチョウ・アルカリ性土壌、一見バラバラに見える性質に共通項を見出すとしたら……なるほど、アレロパシーってのがありましたか。確かにサクラの樹下で見つけるときは、根の伸びるあたり、とかではなくて「真下」に生えてるような気がするんだよね。『きのこの絵本』(渡辺隆次 著筑摩書房)で「柿の木の下に生えた」と言っているのもそれで説明がつく(柿も同じような性質を持つ)。

きっとアミガサタケは、他の菌類、あるいは植物が嫌うようなところを好む、いわゆる「タデ食う虫」なんだろう。

……発生時期といい発生環境といい形といい、とにかく変なところだらけのモレルさん。『キノコ界の宇宙人』の称号を与えてもいいんじゃないか?

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2 コメント

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Unknown (まねき屋)
2010-04-17 11:48:21
お邪魔します。
リンクを貼って頂きまして有難う御座居ます。

以前住んでいた東大阪のシロは焼却炉の下の斜面でした。
灰でアルカリ土壌になっていたのだと思います。

また、友人から「庭の焚き火跡に円を描いて発生した」との話も聞きました。
アルカリの他に、熱で土壌が殺菌され、他の菌が一時的に激減した特殊な環境だった、と想像しています。
北米では山火事の後に発生するそうですし。

また、楡、ツツジ、ウドとも関係があるとの話も。
東大阪では笹薮に生えてる例もありました。

当方の想像は外れていないとは思っているのですが
他にも色々な条件が組み合わさっているのでしょうね。
考えて行くととても面白いです♪

それはともかく、名古屋では大きなシロを今年も見付けられなかったのが残念でした……
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アミガサ (鳥居)
2010-04-18 11:26:15
コメントありがとうございます。

私も焼却炉のそばに群生しているのを見たことがあります。あと手持ちの本に「杉林の近く」ってのもありました。

サクラ、イチョウ、楡、ツツジ、ウド、笹……いずれもアクの強そうな連中ばかりで、しかも脈絡ナシ。まねき屋さんの考察、かなりいい線いってるんじゃないかと私も思います。

いつか名古屋で大きなシロ見つけたら私にも教えてくださいね。(ダメか……)
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