土曜日はおなじみ週刊mayさんと奈良に行ってきました。目的はギャラリー『風の栖』で催されている『木綿と紬のおしゃれ着物展』。昨年11月にもこの催しはあり、mayさんはこのときショッピングの女王面目躍如だったらしい。わたくしも行きたかったのですが別件あって行けず、今回再び開催するというので楽しみにしていました。どちらかというと柔らかモノ好きのわたくしですが、気楽に着られる木綿もほしいなと思っていたのです。
もうひとつ楽しみにしていたこと。それはキモノ仲間(&酒仲間)のmikaさんに会うこと。mikaさんも11月の展示に行き、保多織に一目惚れ、即買いした話をブログで拝見していました。なので、もいちどいかが?とお誘いし、快諾してもらっていたのです。久しぶり、楽しみ。
mayさんとmikaさんのあいだに面識はありませんが、同じとき同じ空間で散財していたというご縁、おふたりを引き合わせよう!という目論見もあり。
mayさんは三重、mikaさんは大阪、わたくしは愛知から出発。待ち合わせは近鉄奈良駅。11時半に約束していましたがわたくし気が逸り、11時前にはもう着いていました。mayさんも、電車の都合で早く着いちゃうということで早々と待ち合わせ場所で落ち合うと、あれ?mikaさんももう来ています。遠足の日のコドモですかわたくしたち(笑)。
ゆっくりと商店街を歩き、おしゃべりしたり気になるお店を冷やかしたりしながら『風の栖』へ。まずはお向かいのカフェでランチ。空きっ腹で買い物すると買いすぎるもんね。
mikaさん・わたくし・mayさん
mikaさんは暑くなることを見越して汗対策でポリキモノ。言わんとわからん素敵な角通しでした。そして帯留は『葉っぱにかなぶん』・・前にご一緒したときに求めてらした。「飽きたら譲って~」とわたくし執着しております。
mayさんは前にお求めの保多織で。やさしい色合いがmayさんカラーです。そしてさらさらと気持ちいい手触り。期待が高まります。
わたくしは木綿見るからと片貝木綿で。帯はカクマさんに羽織と道行きから作ってもらった蝶の昼夜帯。こちらの面を締めるのは初めてなのでうきうきしています。
さて、満を持してギャラリーへ。素敵な更紗の帯や、鮮やかなブルーの亀模様帯(きっとフラのモチーフ)が目につきます。そして、お目当て保多織。うーん、素敵な手触り。
・・なんですが。色柄がどうもわたくしの好みからいくと地味。細かい格子や縞って似合わないのです。もっと大胆なのはないかなあ。うーん、わたくしすっかり派手好きだぞどうしよう。
いろいろ反物を当ててもみますが「いいなあ」はあっても「欲しいッ」はなく、それはおふたりも同様だったようで、結局何も買わずにギャラリーを後にしました。
このとき時刻は13時くらい。さてどうしよう。奈良を観光する?それとも生駒行く?
生駒。そこには『きもの・なかむら』さんのお店がある。ちょうど今、1周年記念をやっているはず。それはもう、生駒でしょう。
というわけで近鉄奈良駅に戻り、生駒にGO!
生駒駅直結のグリーンヒル生駒3階に、『きもの なかむら』さんのお店はありました。入り口に吊るされているキモノたち。おお、なんて大胆な色と柄!!一気にテンションが上がるわたくし。
さっそくいろいろと羽織ってみます。
「そこの畳紙のなかには良いものが入っているのよ。よかったら見てみて」となかむらさん。ええ、見せてもらいますとも!
・・・ズキューン!!←ハートが撃たれた音
や、柳の間を燕が飛び交ってはる~~。これは反物からお仕立てしたそうで、裄も丈も十分です。シミ一切なし!そのぶんお値段も良し!
波ざっぱ~んの上に大きく帆船、上のほうにはカモメが飛び交っていて地模様もカモメ。わたくしも羽織らせてもらいましたが、これはmikaさんくらい身長があるほうが映えます!それにしても、いったいどんな人がお誂えしたのでしょう。
そのほか、黒地にでっかく飛魚が飛び回っている小紋とか、紫の繻子に丹念に刺繍されている袋帯とか・・・心うきうきわくわくするようなキモノだらけ。つ、連れて帰りたい。胸が高まります。ああ、やっぱりわたくしアンティークが好きだわ。
1周年記念のシャンパンをいただいて気を落ち着けて。
いろいろ見た中で、結局お値段が可愛かったこのひとをお持ち帰りいたしました。木綿ではありませんが『気軽に着られるキモノ』を、という目的は果たした、ということで。
「きもの・なかむら」さん、5月17~18日と名古屋にいらっしゃるそうで。今日わたくしの目をハートにしたアンティークさんたちと再び会えるかもしれません。二度目にみてもやっぱり目がハートだったら、、、飛んじゃうかなあキヨミズダイブ。いやいやいや、こないだの『きむら』でお財布は致命傷を負っているのです。でも、不死鳥のごとく復活する物欲・・・いかんいかん。
懊悩しつつ『きもの・なかむら』さんを後にし、軽く「おちゃけ」して近鉄に乗り込みました。期待通り、楽しい奈良行きでした。変なテンションにおつきあいいただき、mayさんmikaさんどうもありがとう。いろいろおしゃべりもとても楽しかったです。今度はまたゆっくり飲みたいねえ。
そだ、今回の写真は全部mayさんのカメラです。mayさんの写真がとても少ないのはそのせい。ごめんね、どうもありがとう。これに懲りずまたよろしくです。
4月20日(日)は、いつもの吟味喰らぶ@加寿也。お題は『桜鯛』。なればコーデも桜で行きたいところですが、あいにくの桜ははや散り果てて。
というわけで・・のコーデ。
今日のキモノ:「よきもの」袷木綿(mayさんよりいただく)
今日の帯:流水鴨散り桜(ヤフオク)
今日の半衿:百合花モスハギレ(すうちゃんよりいただく)
今日の帯揚:桃色桜縮緬ハギレ(大須骨董市)
今日の帯締:ピンク組紐(義母の作品)
今日の根付:華鯉(竹蔵龍)
今日の簪:七宝魚(ちゃいず)
今日の足袋:ピンク小花(まねきや)
今日の下駄:畳表縞鼻緒(松屋バーゲン)
今日のテーマは『桜は散っても桜鯛』・・あからさまに桜を持ってくると季節外れ感が出てしまうので、さりげなく散り桜の花びらだけが水に流れている模様の帯です。半衿・帯揚げ・帯締めをピンクにして『桜』感を、簪と根付の魚で『鯛』を。ふふ、いつもの自己満足でございます。
mayさんもご一緒に「ぐー!」
ここのところmayさんとは毎週なんだかんだとご一緒してもらってる。『週刊mayさん』ですわね。集めると『mayさん百科』ができるという。♪でぃあごすてぃーに~
とかアホなことを言いつつ、いつものように美味しい料理とお酒でございます。
先付けの蚕豆といかなごの釘煮にはじまり、お刺身・・
普段食べている養殖の鯛との違いがくっきりとわかります。すっきりと、でも濃厚な味わい。焼き松皮作りは香ばしく皮の歯ごたえがたまらない。「おまけ」に添えられた雲丹が、これがまた。
握りずしがあって、焼き物。
火の通し加減が絶妙の焼き物は、木の芽醤油にくぐらせてあるとか。皮がパリっとしてなかはしっとり。プロの技だわぁ。
板さんは煮魚をもっとも得意としておいでだとか。自負に背かぬあら煮です。天然の鯛の微妙な味わいを生かすために淡めの味付けにしたんですって。なるほど、滋味溢れる・・。頭やかま部分、皮のぷりぷりしたゼラチン質の味わいがたまりません。
このあとは桜鯛のしゃぶしゃぶ、鯛めし(鯛めし茶漬け)と美味しいものが続き、名物「10年みりん掛けアイス」で締めとなったのでした。
お酒も美味しかったですう~~。しやわせな時間でした。
お料理の説明、詳しくは板さんのブログをごらんくださいませ。再来月もこの『吟味喰らぶ』ありまして。また行くつもりでおりますの。ああ、じんせいはたのしいなあ。
市内に住まうキモノ仲間とご近所オフ。小さな街ですが、けっこういますのキモノ乙女。頼もしい限りでございます。
今日の着物:薔薇蕾縮緬小紋(きもの・なかむら)
今日の帯:蝶々昼夜帯(カクマさんに作ってもらった、詳細後述)
今日の半衿:黒オレンジ市松雪輪(骨董市ハギレ)
今日の帯揚:薔薇レース(Berry工房)
今日の帯締:橙青雪輪(ヤフオク)
今日の足袋:青白カジュアル足袋(まねきや)
今日の下駄:市松台藍縞鼻緒(松屋バーゲン)
今日の簪:銀粘土くもの巣(キョウコちゃん作)
今日は着物・帯・下駄が初おろしというお初が多いコーデ。心うきうきです。
特にこの帯。これは、柄は気に入っているんだけどサイズが小さくてどうにも着られない羽織と道中着を、カクマさんにリバーシブルの昼夜帯に仕立て直してもらったもの。この帯の裏にも、別の蝶々が飛んでいるの。いずれご覧くださいね。
カクマさんには、これのほかにもこの度さらにいろいろとお世話になりました。手持ちのハギレが甦ったり、擦り切れていた帯がしゃんとなったり。いずれ頁をあらためて紹介させていただきますが、こうやって手を入れて新たに命が吹き込まれたものには、格別の愛着を感じます。
さて、集まった我ら安嬢。
すうちゃん・ことりちゃん・トモさん・わたくし。
桜も散り果てて、陽気ははや初夏の勢い。こうなると涼しげに装いたいと皆思ったのでしょうか、ブルーなわたくしたちです。帯結びはみんな角出しですね。お太鼓よりも気楽な感じです。
お互いの近況や美容の話など、短い時間でしたがオンナ話に花を咲かせ、ささっと解散。豪華オフもいいけどこういうのもいいですね。いかにもご近所って感じの気軽な集まりでした。
今日集まったのが安嬢フルメンバーではないのです。来れなかったひとにはまたの機会に会えるでしょう。なにせご近所ですから。
じゃあまたね~。
そして、別の日には夜の部にも行ったのです、陽春大歌舞伎。夜の部メインは『与話情浮名横櫛』…♪死んだはずだよお富さん♪でおなじみの、アレ。
というわけで、お富さんコーデ、でございます。縞の着物に黒繻子の帯。かっぱりと抜いた着付けに洗い髪風無造作頭。どでございましょ。
今日の着物:紫縞縮緬(ヤフオク時代着物)
今日の帯:黒繻子牡丹名古屋帯(mikaさんにいただく)
今日の半衿:黒オレンジ市松雪輪(骨董市ハギレ)
今日の帯揚:赤に黒源氏(骨董市ハギレ)
今日の帯締:黒に赤三分紐(ふちこまさん)
今日の帯留:蛇戦国玉(ふちこまさん作)
今日の簪:胡蝶(竹蔵龍さん)
今日の簪2:銀アンティーク(ヤフオク)
今日の足袋:杵屋白足袋(広島の杵屋)
今日の草履:酒袋台すうちゃんお見立て花緒(松屋バーゲン)
mayさんと待ち合わせて、まずは覚王山へ。今日こそは「はるみちゃん」…あの宮古上布を連れて帰るのです。折りしも覚王山祭。人ごみを抜けて『きむら』ではるみちゃんを受け取り。お約束のあれこれ羽織りもやって(おやくそくの心ぐらぐらもあり)、さて、一路御園座へ!
今日の観劇メンバー。わたくし・にっぽんちゃん・mayさん・むうみんちゃん
mayさんも『きむら』の袋を持っているのに注目。すんばらしい帯をお買い上げでしたわ。ショッピングの女王健在。
御園座にきたらこれ食べなきゃね。最中アイス食べますお富さん。
一幕目は『松浦の太鼓』。忠臣蔵討ち入り前夜の、吉良家の隣家の様子を描いたドラマ。忠臣蔵のサイドストーリーですわね。こういうお話を見ると、当時の人に忠臣蔵がいかに愛されていたかが伝わってきます。こんな端っこ話まで作っちゃうのね。
幕間に夕食を摂り、二幕目は『閻魔と政頼』。閻魔さんが米米クラブみたいでした。小鬼の顔をオペラグラスで見たらひとりひとり違った変な顔が描いてあって面白かった。
さて、いよいよ次がメインです。ビール飲みますお富さん。気合い入れていこう。
というわけで『与話情浮名横櫛』。舞台に出てきた芝雀のお富さん、紫の縞に黒繻子の帯!おお、今日のわたくしのいでたちと似ている~。狙いが当たって嬉しいわ。しかし、お富さん…なんか年増すぎるんですけど…(わたくしのことではないぞ)。染五郎の与三郎と比べると、え~らい年上に見えちゃうんですが。
その与三郎。お富さんに一目ぼれしてぼーっとしちゃって羽織を肩から滑らせちゃう、有名な『羽織落とし』のシーン。たいへん色っぽい。
しかしお富さんはやくざの囲われ者。ふたりの仲は露見し、与三郎は手下に体中を切られ、お富さんは入水・・という部分が大胆に省略され(イヤホンガイドで語られたけど)、あの名台詞がある次の幕へ。
「しがねぇ恋の情けが仇 命の綱の切れたのを どう取り留めてか 木更津から めぐる月日も三年越し 江戸の親にやぁ勘当うけ よんどころなく鎌倉の 谷七郷は喰い詰めても 面に受けたる看板の 疵がもっけの幸いに 切られ与三と異名をとり押借り強請やぁ習おうより 慣れた時代の源氏店 そのしらばけか黒塀の 格子造りの囲いもの 死んだと思ったお富たぁ お釈迦さまでも気がつくめぇ よくまぁ おぬしぁ 達者でいたなぁ 安やい これじゃぁ一分じゃぁ 帰られめぇじゃねぇか」
口跡よく抑揚よろしく、名調子です。いやー、初めてナマで聞いたわ。これが春日八郎『お富さん』の元ネタなのですな。
しかしなぁ…と、だんだん腹立ってくるわたくし。
死んだと思ってた恋人が、生きてたんだよ。なんでまず喜ばんの。囲いものだってなんだって、生きてたんだからいいじゃない。自分にできることをして、精一杯生きてるんだもの。
それに比べてあんたは何よ。生きていてくれたのは嬉しいけれど、恋ゆえ負った疵を強請のネタにするなんて、あの日々への冒瀆だわ。あんたは生きたが恋は死んだね。このへタレ男。顔がいい以外のとりえがないぞ!
さぁお富さん、このダメ男に啖呵のひとつも切ってやれ!小判の塊をぶつけて、疵をもひとつ増やしてやるんだ。戦えお富さん!!
とエキサイトするわたくしをおいてきぼりに、舞台のお富さんは「ごめんなさい。あたしの話も聞いて…」とかきくどいています。くうう。
結局、お富さん実は実兄にかくまわれていただけで、妾ではなかったと。そういうわけで一緒になろうよねえ、というハッピーエンドだったんですが。ですが。うーむー。
しかしまあ、歌舞伎はそういう目くじらとともに観るものではないのですな。疵だらけの色男、という艶かしい構図。さだめに流される美女の悲哀。それを様式美とともに愛でる、というのが愉しみかたではあるのでしょう。うん、そういう意味ではしっかり愉しみました。
さらにお富さんコスプレ(だったのか)にて臨んだおかげで、思いもよらぬ感情移入を。これもまた味わい深いものではありましたわ。またやってみようっと。
ってわたくしはいいけれど、劇終わるなり『与三郎へタレ説』を聞かされたmayさんにっぽんちゃんむうみんちゃん。ごめんねえ。これにこりずにまたおつきあいお願いいたしますわ。
日曜日は春の恒例、陽春大歌舞伎に行って来ました。歌舞伎ですもの、お洒落して出かけます!
せっかくだから何か演目にちなんだものをと『鬼平犯科帳』に合わせて『鬼』の帯留めをヤフオクで落札したのですが、間に合いませんでした。ざんねん。というわけで、コーデのテーマはただ『春』。蕨たんぽぽに桜を咲かせて。来週も夜の部に出かけますが、もう桜は散っちゃってるでしょうから、これが最後の桜コーデになるかな。
今日の着物:蕨たんぽぽ付け下げ(ヤフオク『北條』で求めて『和裁工房まゆ』でお仕立て直し)
今日の帯:銘『綾居笠』(きもの・なかむら)
今日の半衿:塩瀬白(うちにあった)
今日の帯揚:朱鷺色縮緬桜(昔母に買ってもらった)
今日の帯締:橙青雪輪(ヤフオク)
今日の足袋:杵屋白足袋(広島の杵屋)
今日の簪:鼈甲鶴(ヤフオク)
今日の草履:銀黒市松コルク(松屋バーゲン)
今日のバッグ:銘『桜餅』(島工房)
先日の着姿が我ながらあまりにもアホの子だったので、今日はちょっと賢く見えるようにと思い・・しかし浮かれて踊っては同じことでした・・。
さて、お洒落して集まる御園座の前。陽春大歌舞伎の始まりです!
あまりにもいい天気で、外で撮った集合写真が白く飛んじゃいました。
ぶるちゃん・わたくし・mayさん・おーこさん・くみさん、そしてにっぽんちゃんは今日はお洋服姿。
mayさんは吉右衛門の紋『揚羽蝶』にちなんで蝶の帯ですって。なるほど、そういう見立てもありますのね。
ぶるちゃんの帯は、こないだ『きむら』にご一緒したときにさりげなく求めてたお宝。同じく『きむら』お宝着物に合わせてしっとりはんなりよくお似合いだわ。
おーこさんの帯は『すうざん屋』。これまた華やかで上品だこと。
わたくしのこの帯は、長さは二重太鼓できるのですが、柄あわせをしようとするとやたら余る一重太鼓になるという悩ましいシロモノ。でも、何とか合わせて満足。
劇場入りすると、乙女は恒例の『最中アイス』を。そしてわたくしは・・。だって、暑くってのど渇いたんですもの。ここの生ビールは泡がクリーミーで美味しいわ。
並んで席に着きます。さすが歌舞伎、キモノ姿の人が多くて眼が嬉しいわ。でも、ラフな格好の人もけっこういます。気楽に歌舞伎、というのはいいんですが、さすがにジャージはちょっと・・。
「家でごろごろしてる格好そのまま出てきたって感じよね」
「御園座の裏に住んでたりして」
わたくしたちの前と後ろにそれぞれ、『ごろごろそのまま』組のおとっつあんがいました。これが後に悲劇を!
幕が開き、一題目『ひらかな盛衰記』のはじまり。絢爛な色彩の世界が目の前に広がります。源平合戦の時代を舞台に、義理と人情と恋の物語が繰り広げられ・・・
「ぐええっ」
いきなり蛙をつぶしたような音が。後ろのごろごろおやじです。いい場面でこのおやじ、思いきりげっぷをしやがったのです。ここはあんたんちの茶の間じゃないぞっ。
このおやじ、この後も2~3回「ぐええっ」をやらかしやがりました。うう。
幕間にお昼ご飯をいただきつつ話したところ、ぶるちゃんの前のでかいおっさんは前に後ろに大きく舟をこぐもので、舞台が見えなくなって往生したとか。
「完全に寝とるんだわあ。そんなに興味ないなら来なけりゃいいのに」
「新聞屋かなんかから券もらったのかしらね。寝てもいいけどじっとしとれって」
「後ろでげっぷしてたひともいたでしょう」
「あれねえ。隣に奥さんらしきひとがいたけど、気にならないのかしら。自分のダンナがあんなんだったら恥ずかしいよねえ」
わたくしども、お洒落して楽しみに出かけてきてますもの。水を差されて腹立つことしきり。よくあることではあるんですが、慣れるもんじゃありませんわ。
二題目は『鬼平犯科帳 大川の隠居』鬼平はもちろん、中村吉右衛門そのひとが演じます。これが楽しみで来たのです。わたくし、鬼平はドラマも小説も大好き。
幕が開き・・鬼平が白塗りだっとか、粂八が蟹江敬三じゃないっなどの違和感はあれど、そこは舞台の力。すぐに鬼平の世界に入っていきます。黄八丈に黒繻子の衿をかけたお茶屋の娘さんの、赤い帯揚げが粋なこと。鬼平の仕草、伝法なようで崩れない。裾をさばいて座り込むときも、脛があらわにならないようにさりげなく手を添えている。かっこいいなあ。
と、そこに。
「ぐええっ」
またやらかしやがった!許さんっ。わたくし、目に力を集めて鋭く振り返り、かのおやじを一瞬にらんでやりましたっ。
そしてすぐに前を向いたので、おやじの反応はわからなかったのですが、以降「ぐええっ」に悩まされることはありませんでした。
鬼平犯科帳、大川の隠居。老盗賊に父の形見の煙管を盗られた鬼平が、粂八と一計を案じて取りかえす・・けれど、ただ取り返すのではなく、老盗賊に諄々と自分の生い立ち・悪を知るからこそ悪を憎む気持ちを語り、老盗賊と心を通わせていく様子が豊かに伝わってきます。絢爛豪華はないけれど、こういう歌舞伎もいいなあ。
観劇終えて満足の笑顔。また楽しい時間を過ごせました。みんなありがとう。チケットを取ってくれたにっぽんちゃんにすぺさるさんくす。
このあと高島屋に昔きものバザールを見に行って、目に毒なものを見ちゃって身悶えた、とかはまた別のお話でございます。
今日はガールズスリーピースバンド『the shanghai bay-bees』のライブに行ってまいりました。彼女らとは去年の梅見で知り合って以来のキモノ仲間。前のライブもキモノで出かけたし、今日もやっぱりキモノで繰り出しました。
外はぽかぽか春陽気。窓の外には桜並木が見えます。こうなったらやっぱり桜コーデで行きたいもの。こんなんなりました~。
今日の着物:ピンク渦巻き小紋(ヤフオク時代着物)
今日の帯:緑金銀鱗袋帯(ヤフオク時代着物)
今日の半衿:草色麻の葉(彩匠さんバーゲン)
今日の帯揚:レースのスカーフ(前からウチにあった)
今日の帯締:ショッキングピンク鱗(きむら)
黒に赤三分紐(ふちこまさん)
今日の帯留:蛇模様戦国蜻蛉玉(ふちこまさん)
今日の足袋:草色古典柄(まねきや)
今日の草履:赤い花緒のじょじょ(松屋バーゲン)
今日のバッグ:銘『桜餅』(島工房)
今日の簪:蜻蛉玉金平糖(おーこさん)
花見団子(自分で作った)
今日のコーデはまず帯から始まりました。鱗模様と言えば蛇。蛇と言えば娘道成寺。というわけで桜の季節に合わせて『清姫』してみたかったのです。
桜のイメージ。そしたら着物はピンク着物がいいな。江戸小紋でもいいけど、今日はライブだからポップな感じの渦巻き小紋にしよう。蛇つながりでふちこまさんの蜻蛉玉はぜひ使いたい。インパクトを加えるためにもう一本蛇な帯締めを足そう。
てぇ感じでできたこのコーデ。情念の清姫というよりも、なんか花に浮かれたアホの子のようですが・・。どこで間違ったのか?
そうそう、今日は髪型もいつもと違います。
いろいろ髪をいじっているうちに、なーんか日本髪っぽい感じにまとまったので。どうでしょう?・・これもアホの子っぽく見える一要素か?せっかく花見の季節だからと前に作った花見団子の簪をさしたのも一因か?
ま、春だし。ライブだし。外は桜咲いてるし。楽しいわぁ~と能天気に出かけました。陽気はいいし、the shanghai bay-beesは可愛いし、ライブ堪能しました。
大きなサプライズがあったり・・・楽しい一日でしたわ。ええ。
年の初め『きむら』でお宝キモノを求めたのは、この日のためでした。春の大垣・奥の細道結びの地にて、キモノ仲間とお花見をしてまいりました!
この日の天気予報は午後から雨。でもきっとなんとかなるわ、わたくし晴女。ランチを終えてでかけた水門川船町港。降るなよ~と念じつつお花見開始です。
桜の花は、わたくしたちを待っていたかのような満開。思わず笑みがこぼれます。
そして、ずらり揃った名花でございます。どだ!と誰にともなく自慢したくなってしまうような。白雪ママさん・トモさん・フミさん・わたくし・mayさん・おーこさん・ぶるちゃん。細雪四姉妹ならぬ七姉妹です。えーと、ヨシナガサユリは誰だ?
お花見って、どうしてこうテンション上がるんでしょ。わあわあきゃあきゃあ笑いっぱなし。外国からの旅行客に「一緒に写真撮っていいですか?」と声をかけられたり、こそっと遠くから写真撮ってる人がいたり。ほほほ、そんなに目立っているかしらぁ~。
きゃあきゃあ騒ぎながらぞろぞろ歩きます。
橋を渡って向こう岸には、奥の細道を踏破してきた芭蕉翁が立っておられました。さっそくおもちゃにされる俳聖。
「よお、おっちゃん。ごくろうさんやったな」「気やすうに言うな」
もっとお近づきになりたいけれど高いところにおられるわ…とわたくしが躊躇しておりましたら、元気組ぶるちゃん&mayさんはシュタッと飛び乗りました。
「おじさま~~~ん」
芭蕉翁、美女にはさまれてなんだか照れてるみたい。
「お立ち台よ~~♪」
mayさんが踊りだしました!芭蕉翁の思惑やいかに…。
芭蕉ゆかりの地だけあって、大垣市民は俳句に親しんでおられるそうです。川沿いに投句箱。そういえば秋に来たとき、お花見して桜の俳句を詠もうって言ってたよね。えーと。桜咲く、それにつけても金の欲しさよ。ってそれ俳句じゃないし!
きママとはここでお別れ。六姉妹になってさらに花を求めていきます。
歩いていくうちに、ぽつ、ぽつと小雨が降りだしました。ああ…わたくしの晴女神通力もここまでか。まぁよく持ったほうよね。軒先を借りて雨モードに入る六姉妹。みなさん用意おさおさ怠りなく、雨コート着用。
目的地にたどり着いた雨モード六姉妹。
「ここの枝垂桜がとても綺麗なのよ」地元っ子おーこさんの導きです。
ほんとうに、なんて見事な枝垂桜。そして、このひともわたくしたちを待っていたかのような満開。ああ、嬉しいわぁ。
桜の下でポーズを取るトモさんフミさん。美しい。
「お見合い写真みたいねえ」
「いいなあ!私もお見合い写真撮るう~~」
※全員既婚者です。
「わたくしもお見合い写真撮ってえ」
「何でオレがそんなもんを・・」はいそうです、今回もオットがカメラマンとして同行してくれているのです。
枝垂の下でぱちり。踊ってはお見合い写真にはなりませんなあ。ざんねん。
そのあと大垣城の前まで散策し、お茶して和菓子屋さんをひやかしたりしながら駅まで歩きました。いい街ですね、大垣。また遊びに来たいです。
あやしいお天気ではありましたが、満開の桜の下でみんなでお洒落して、とても楽しい一日でした。来年もその次も、こんなふうにみんなで桜を観られたらいいなあ。