キはキモノのキ

キモノ‥愛してます

みゆきはみゆきでも

2009年05月30日 | 今日のキモノ

 川中美幸、の公演に行ってまいりました。知り合いが券を2枚、くれたのです。第1部がお芝居で『お登勢』幕末に活躍した寺田屋お登勢の話のよう。そして2部が歌謡ショー『人うた心』。この手の公演に行くのは初めて。でも、場所が御園座だからやっぱりキモノよね。えーと、お芝居は幕末が舞台だから『黒船』帯にしよう。
 …というわけで、こういうコーデになったのですが…
  
 今日の着物:薄緑単紬(ヤフオク)
 今日の帯:緑地麻帆船帯(金山ノスタルジックモール)
 今日の半衿:黒オレンジ市松雪輪模様ハギレ(白鳥骨董市)
 今日の帯揚:緑クリーム雪輪模様ハギレ(すうちゃんにいただく)
 今日の帯締:黒に赤線三分紐(ふちこまさん)
 今日の帯留:蛇戦国玉(ふちこまさん)
 今日の足袋:白にパステル水玉夏足袋(まねきや)
 今日の草履:黒コルク台市松花緒(松屋)
 今日の簪:胡蝶(竹蔵龍)
 
 黒船帯を中心に、粋できりっとしたお登勢さんっぽい感じで…というそのコーデそのものはまあいい。なにこの着崩れはぁ~~(泣)。いえ、途中で変だと気づいて直しはしたんです。で、これは直す前。しばらくはこのかっこでいたという…自戒のためにこれ、曝します。ううう。

  ご一緒してくださったのはずずさん。すっきりとした着姿ですわ。
 

  席は2階の一番前。1階席を見下ろすと、客席でぴかぴか光っているものがあります。虹色に輝くスティック。あれを、降るのだな。そして、最前列で「みなさーん、では練習しましょう。さんはい『美幸ちゃーん、サイコー!』」と呼ばわるオバサン。おお、これは面白い。

 幕が開き、第1部のお芝居『お登勢』。もちろん川中美幸がお登勢さん。しっかり者で周囲の信頼も篤く、放蕩亭主も手のひらで遊ばせる心の広い女。けれども胸のうちに秘めた思いは…って、これまんま『演歌の女』ですわね。なるほど、こういう公演の劇とはそういうものであるのか。お芝居仕立ての演歌なのだな。

 舞台は幕末とあって、出演者の着姿には興味しんしん。お登勢さんは大店の女将さんということで、柔らかモノを着て裾を引いております。帯結びは角出し。時代を反映してちゃんと『引き抜き』ですな。タレに裏の黒繻子、羽根がちょっと斜めってる。女中さんたちは皆縞や格子の、木綿か紬かカタモノ。上女中は角出しで襷を斜めがけ、お下は半幅を『貝の口』にしてバッテンに襷がけでした。
 
 幕間のお昼ごはんの間も、ずずさんとそんな話ばかりしていましたー。
 
 そして御園座に来ればこれがおやくそく。

 第2部は歌謡ショー。ここで「美幸ちゃーん、サイコー!!」があるのかなーと思っていたけれど、案外大人しい。けれども、舞台にプレゼントを届けるひとはいるけれど、殺到してわやくちゃになったりはしません。さすがに年齢層高い、落ち着いています。
 舞台では和太鼓は打ち鳴らされるわ、歌にあわせてお芝居仕立ての舞踊はあるわ、迫力あるものでありました。途中から真っ赤なドレスに身を包んだ川中美幸、黒服のダンサー4名その名も『イケメンフォー』にかしずかれて悠々とタンゴを踊る、まるでホストクラブのよう。
 クライマックスでは当地名古屋の『日本どまんなか祭り』出場のYOSAKOIのひとたちがわらわらと現れて舞台狭しと踊りまくり、その大人数をたった一人で制して川中美幸は圧倒的な歌唱力を見せ。なかなかに見ごたえのある4時間があっという間に終わりました。
 やー、なかなか楽しかったよ!ずずさん、おつきあいありがとうございました。

 
 ずずさんと別れたあとは、近くの美術館に行きました。なかなか充実の一日でしたわ。

 (6月6日追記)
 りらさ~ん、お太鼓柄はこんなんだったんですよ!
 けっこう柄出したいへん。
 


2年ぶりの杜若

2009年05月26日 | 今日のキモノ

 これまた10日ほども前の話なんですが…。
 知立市のお寺『無量寿寺』に杜若を見に行ってまいりました。伊勢物語・東下りの段の舞台にもなった業平公ゆかりのお寺。去年は花の時期を逃しちゃって、2年ぶりの訪問です。

 今日の着物:青磁色錦紗縮緬小紋(ヤフオク)
 今日の帯:クリーム色雪輪四季花半幅(ヤフオクの短い名古屋帯を半幅に直した)
 今日の半衿:草色レース重ね半衿(彩匠バーゲン半衿にレースを重ねた)
 今日の足袋:薄紫雪兎(まねきや)
 今日の下駄:市松台青縞花緒(松屋)

 この日は午前中仕事をしていて午後からすうざんさん&tomoさんに合流の予定。仕事を終えて急いで着付けて駆けつけないといけないため半幅帯にしましたが…慣れない『割り角だし』に手間取ってやっぱりおふたりをお待たせしちゃいました。
 
 2年ぶりの杜若ちゃんたちは、そろそろ名残の季節。それでも、日陰の花はまだなんとか綺麗な姿を見せてくれました。「おひさしぶり~」


 
 すうちゃん&tomoさん。杜若の精のようなアオイロ着物。おふたりとも単で涼やかな装いです。
 
 後姿もキマッテル♪…花そっちのけで撮影会しておりました。
 
 花愛でる女…ちょっとわざとらしいですか?

 
 ぢょゆう・すうちゃんに褒めてもらった、本日のベストポージング!胸を張って、ちょっと腰をひねるのがコツとみました!錦紗縮緬はしっとりとろりんと体に添ってくれて、なんだかすらりんと見えるわ!

 
 と、ひとしきり花を愛でた(のか?)あとは、当然のごとくこっち方面に流れるのでした。
 …おあとがよろしいようで…


金沢キモノ散歩

2009年05月24日 | キモノイベント

 『き楽寄席』翌日は、takeさんが案内を買って出てくださり、皆で金沢の街をそぞろ歩きました。

 今日の着物:笹柄大島(きむらで買ったのんを洗い張り・仕立て直し)
 今日の帯:麻雀牌リバーシブル二部式帯(昨日の帯の裏)
 今日の半襟:白塩瀬半襟(うちにあった)
 今日の帯揚:白地飛び絞り(きむら)
 今日の帯締:薄緑三分紐(きもの・なかむら)
 今日の帯留:サイコロ(竹蔵龍)
 今日の簪:赤花蜻蛉玉(玉やふちこま)
 今日の足袋:黒地古典柄(まねきや)
 今日の草履:酒袋台すうちゃんお見立て花緒(松屋)

 帯は昨日締めていたのの裏。リバーシブルって旅行に便利ですね。着物は昨日と同じですが、今日はゆったり着付け。昨日は舞台に上がるということで(私にしては)きっちりと着付けていたのですが、今日は歩くし暑いし、衿元をがばちょと開けて風が通るようにしました。

 
 まずは朝、ロビーで待ち合わせ。わたくしは昨日の疲れと酔っぱらいでぎりぎりまで寝ていたのですが、みなさんは朝からお風呂に入ったり、フリマをのぞいたりなどしてたみたい。さすがですわ。
 別行動のinugaoさんともロビーで会いました。今日は軽快なお洋服姿。


 まずは東の茶屋町へ。昔ながらの街並みの残る通りを散策していると、お嫁さんが写真を撮っているところに通りかかりました。角隠しに、黒い振袖。伝統の衣装が街並みに映えて、なんてステキ。
 
 傍らでお嫁さんを撮ってた、妹さんかしら御友達かしら、この方お召しの振袖も、とても精巧な加賀友禅で見惚れてしまいました。親族らしき方々の黒留袖もとっても綺麗で…さすが金沢、という感じ。

 
 いいものみたわね~♪と、にっこにこのことりちゃんとにっぽんちゃん。
 
 chachaさんご夫妻は、ご主人も着物で。夫婦で着物、いいなあ。

 
 それにしてもいい天気。mikaさんはうちわを現地調達していました。
 この界隈は和雑貨の店が軒を連ねていて、もう引っかかりまくること。わたくしはてぬぐいと脂取り紙を買いました。住んでいた頃はこの街を昼間ゆっくり歩いたことって、そういえばあまりなかった気がします(夜に飲み歩いたことはあったが)。こんな、いいとこだったんですねえ。
 
 休憩所になっている町屋で一休み。涼しい風が吹き抜けていきます。
 この天井のひらひらは『燕よけ』なんですって。ボランティアの解説員の方がおしえてくれました。

  観光の通りから少し外れると、住宅と商店が混在しているとおりになります。黒光りしてる看板を出してる酒屋さんや、『髪結い』さん、獅子頭のお店。このお店は『面』やさん?なんのせ、なんか懐かしいので並んで写真を。
 
 
 takeさんに連れられて、浅の川沿いに主計町方面を歩きます。
 間口の狭い町屋がずらっと並んでいます。そのうちの一軒の軒にこんなのんが
 
 この家には昔、アメリカ人の彫刻家さんがお住みだったとか。今はその方は亡くなられ、べつのひとが住んでいるのだけど、その名残がこういうところに残っているのですね。地元民takeさんの解説でいっそう味わい深く。


 浅の川にかかる木の橋『梅の橋』にて、記念写真。

 歩き回っているうちに、あっという間にお昼ご飯の時間になりました。兼六園下の『さくら茶屋』に着くと、ランチから参加の桃葉さんがすでに待っておられました。
 
 わーい、ごはんだーい♪
 
 いろんなものがちょっとづつ入ってて、どれも美味しかったです。
 ビールもいただいて、話に花が咲きます!
 
 おなかも満ちて、さぁこの次は?期待に満ちて歩くわたくしども。
 まずtakeさんが連れて行ってくれたのは『クラフト広坂』。金沢の伝統工芸品といえば加賀友禅や九谷焼が有名ですが、実はそのほかにも加賀毛針とか、水引細工とか、手毬とか、いろいろと手仕事の伝統があるのです。ここにはそういうものが一堂に会してあり、だけでなくその技を応用したセンスいい小物もあって…わたくし、携帯用のお針道具、買っちゃいました。

 
 次はいよいよ21世紀美術館!ここはわたくしが金沢を出てから建ったので、あまりなじみがなくって楽しみでした。
 一番のお目当てはコレ!『プールの部屋』
 
 お庭のプールから下を見ると、水の中にわたくしどもが~。
 
 中に居るわたくしどもからは、カメラマンオットはこのように見えており。不思議な空間。現代アートって、面白い。
 そのほかにも、大量の窓枠を組み合わせたオブジェやサラサラの塩を床に撒いて絵を作っているアートなど、ヘンなものがいっぱいの21世紀美術館でした。
 
 石造りで、上がぽっかり吹き抜けになっている部屋(これもアート)で一休み。たっきいさんmayさんご夫妻の仲良しぶりがかわいい。

  それから、新竪町のアンティーク着物&カフェの『畳世』へ。小さいお店でしたが、takeさんが予約してくださったおかげで貸切に。一休みして甘いもんいただきつつ、お店のアンティーク着物や帯を眺めたり、またひとしきり話に花を咲かせたり。
 
 もう一軒、同じく新竪町のアンティークやさん『布くや』さんにも連れて行ってもらいました。
 ここではわたくし、象牙細工の帯留めに目がハートになり。ホオズキを模してあるのですが、実物をそのまんまちっちゃくしたって感じの精巧さなのです。しかしこれ、お値段がついていない…。おそるおそる訊いてみましたら『売り物ではない』のだそうです。「20年前くらいに求めたときの値段が50万円くらいなのよ」とのことで…はっはっは、煩悩の起きようがない値段にかえってさっぱりしちゃいました。
 そのあといくつか手ごろな帯なども見せてもらったのですが、脳裏にホウズキがちらついたおかげでここでは買い物せず(いつのまにか財布の中がとても淋しくなったせいもあるのですが)。

 みなさんそれぞれいろんなものを見て、楽しまれた様子。
 そうして、あっというまタイムアップ。楽しい金沢キモノ散歩が終わってしまったのでした。

 短い時間でほんとうに要領よく金沢を案内してくださったtakeさん。どうもありがとうございました。さすが地元民、さすがキモノ好きという感じのプロデュースで、一味違った金沢を見ることができたと思います。友達も喜んでくれたし、わたくしにとっても金沢再発見でした。ほんとうにありがとう!

 いやほんま、あらためて金沢という町の魅力に触れて、ぜひまたこういう旅がしたいと思ったのでした。ほら、前の日にひろちゃんが東山にお店を出すって言ってたじゃん。だから、東山に宿を取って『自由軒』かどっかでゴハン食べて、ひろちゃんとこで二次会パーティーしたらどうかしら。みんなで銭湯行って、お部屋で補正のみせやいことか、したら楽しいよ。
 …などなど、早くも次回『大人の修学旅行』の構想も沸いていたりして。
 takeさん、そしてみなさま、そのときはまたよろしくね☆

  そして…最後になりましたが、『き楽寄席』『キモノ散歩』ふつかかんに渡ってカメラマン&運転手をしてくれたオット。いつもありがとう、すぺさるさんくすです。またよろしくねー。

 


小つると鶴瓶のき楽寄席!

2009年05月20日 | キモノイベント

 去る5月9日、金沢駅前の石川県立音楽堂にて『小つると鶴瓶のき楽寄席』が催されました。おなじみ『金沢落語情報』主催の落語会ですが、今回はいつものホールの数倍、定員730人の邦楽ホールでの催しです。しかも、ゲストにテレビでおなじみの笑福亭鶴瓶師匠を招いて!
 興行のシロートがこんな大それたことしちゃっていいんだろうかとびびりつつも、主催なぁさんの情熱に引きずられ。とうとうこの日がやってまいりました!
 わたくしはいつものようにお茶子です。き、緊張。
 
 今日の着物:笹柄大島(きむらで買ったのんを洗い張り・仕立て直し)
 今日の帯:丸鶴リバーシブル二部式帯(ヤフオクの羽裏をカクマさんで二部式帯に)
 今日の半襟:白塩瀬半襟(うちにあった)
 今日の帯揚:白地飛び絞り(きむら)
 今日の帯締:薄緑三分紐(きもの・なかむら)
 今日の帯留:シルクロード(竹蔵龍)
 今日の簪:赤花蜻蛉玉(玉やふちこま)
 今日の足袋:杵や白足袋(広島・杵や)
 今日の草履:酒袋台すうちゃんお見立て花緒(松屋)

  赤い『お茶子前掛け』を、この日のためにちくちくいたしました。記念の会に初おろしです。着物は笑福亭の紋・五枚笹にちなんで笹柄。これも、洗い張りしたものの仕立て下ろし。そして帯はもちろん、小つる師匠鶴瓶師匠にちなんでの鶴柄です。気合、入ってます。

 朝早くにオットとともに地元を出発し、金沢へ。
 会場に着くと、すでに準備は始まっていました。照明チェックをする、笑福亭…ではなくて席亭なぁさん。
 

 そして、小つる師匠の音声チェック。
 
 ぴいん、と張りつめた空気に身が引き締まります。
 
 
 楽屋でスタッフ・ミーティング。タイムスケジュールに沿って仕事を確認します。会場が大きいだけあって複雑です。がんばろー!
 
 繁昌亭でもお茶子をやってる桃葉さんに、前掛けの紐を結んでもらいました。言うなれば『前掛けの儀』。ぶるる(←武者震い)。

 
 き楽寄席名物、受付キモノ美女軍団。


 いつものスタッフのほか、桃葉さん・mayさん・ことりちゃん・にっぽんちゃんにもお手伝いいただきました。普段ならわたくしもここに加わるんだけど、今回はさすがに楽屋と舞台袖に詰めっきりでした。

 オットのカメラマンセット。
 
 いつもは噺の邪魔にならないように撮影は『マクラだけ』なのですが、今回の会場には撮影ブースがあるので、噺の間も写真が撮れるのです。防音のブースの中、さらにカメラに防音カバーを被せて念を入れております。

 師匠方に見台・膝隠しの確認をしたり、場内アナウンスの影マイクをチェックしたりしているうちに…あっという間に会場の時間です。一番太鼓が鳴って、お客さんが続々入ってこられます。大入りです!!


 さぁ、とうとう始まりです。二番太鼓に続いて出囃子。一番手、笑福亭鉄瓶(てっぺい)さんが舞台に出て行かれます。鉄瓶さん、舞台袖で何度も手のひらに『人・人・人』と書いて飲み込む仕草をなさって…そして、きりっと顔を上げて、まっすぐに歩いて行かれました。後姿から熱気が。
 そして…おおっ、空気が変わった。高座に着いた鉄瓶さんがしゃべり出すと、ぶわああっと笑いの波が舞台袖まで押し寄せてきます。すごい。「行きの長距離バスで後ろの席が小つる師匠の同級生だった」というマクラから、ネタは『狸の賽』。

  
 「まだ修行の足らぬ子狸でっさかい、なんにでもというわけではありませんけど、知ってるモンならたいがい化けられますぅ」
 
   
 サイコロに化けたたぁちゃんにバクチ打ち「最初は六やぞ。一番数の多いやっちゃ、間違えな…」。
 子狸たぁちゃんが可愛いったらありません。ほこほこ笑って、幸せな気分です。

 温まったところで桂宗助さん。宗助さんも『人人人』やっておられました。ベテランの方でも、なさるんだ。その真剣な面持ちが、舞台の方に向き直るとふわぁっと和やかな表情に変わります。
 宗助さんは人間国宝米朝師匠のお弟子さんということで国宝話をマクラに、ネタは『始末の極意』。わかったかわかっとらんのかわからんような二人の、ケチ自慢。

  
   梅干いっこで一日三食食べられるという話に「そーんな贅沢なことしたらあかんがな~」

 
 鰻屋の店先に行って、ニオイでご飯を食べている…。

 さすが米朝師匠系という感じの、しっかりした噺っぷり。それに加え宗助さん、ほんわかしているだけでなくってどこか『ヘン』で可笑しいのです。宗助さんの『ヘン』と登場人物の『ヘン』の相乗効果でおもっしろーい。

 そして中トリ、いよいよ小つる師匠の出番です!
 襲名の挨拶では割れんばかりの拍手。熱気とともに気持ち良い空気が会場に満ちています。そしてネタは『ちりとてちん』。
 まずは、ご隠居にご馳走を振舞われ、「初めてでございます~」と感激しつつ食べる喜ィやんに見入ってしまいます。茶碗蒸しを「あふ、あふ、あふ」といただく様子、お酒をホントおいしそーに飲む様子。いつものことながら、おなか減っちゃう芸です。
 そして、『知ったかぶりの憎らしい男』竹やんの話になり、いたずら思いついたご隠居の、うれしそーな顔!
 
 「長崎名産・ちりとてちん…肩へ『元祖』と書いといたろ」

 
 銘酒『白菊』を、まずそーに飲む『竹』。なのに、「もう一杯」。

 
 『ちりとてちん』食べた竹!なんつー顔でしょう。
 場面場面で大笑いが沸いています。笑いの熱気とともに小つる師匠の気迫も伝わってくる、ほんと面白い『ちりとてちん』でした!

 中入りのあと、鶴瓶師匠の登場!着物の裾を軽くはしょってタタタっと登場すると、もうそれだけで会場はどよめきと笑いがいっぱいになりました。舞台袖にいらしても鶴瓶師匠、テレビで見たまんまのあの雰囲気。トークのようなマクラで、すでに会場は鶴瓶ワールドって感じです。ネタは『青木先生』。鶴瓶師匠の男子高時代の実話、だそうで…『青木先生』のリアルな存在感がすごいです。「ページをまくりなさい」「ノートをつけなさい」なんて、そういう言い方する先生いたいた、おじいちゃん先生には。
 
 入れ歯の具合をなおす青木先生。怒るとこの歯の間から空気が漏れて『ピー』と鳴る、それを面白がる悪童ども。
 
 先生が黒板の方を向いている隙に、机を持ってどんどん近づく…

 
 向きなおって、呆然とする青木先生。

 もうどっかんどっかん、会場中大爆笑でした。舞台袖で聞いてても可笑しくて可笑しくて!そして、最後はちょっぴりホロリもあって、濃ゆい時間があっという間に終わりました。
 鶴瓶師匠、このあと大阪でお仕事ということで、舞台から袖を走り抜けて帰っていかれました。

 そしてトリ、ふたたび小つる師匠。ネタは『愛宕山』。さっきのヒーヒー笑い転げた空間が一転、春の野の情景がふわあーーっと広がっていきます。
 
 「待っておくれやす~」と、芸妓さん。流し目が色っぽいですう。

 
 旦那はんは得意のかわらけなげを披露して「さあどうじゃ!」

 
 一八つぁん苦労の末・・・「小判はどうした?」「…忘れたぁ」

 サゲを言い終えて小つる師匠が深々と頭を下げると、大きな大きな拍手が会場いっぱいにあふれかえりました。
 そして、幕。お客様がたが、昂揚した気分を身にまとったまま席を立っていかれます。ああ、いい感じです。ホントにいい落語会だった。はじめからトリまで、とりどりの色合いで、とりどりにどれも素晴らしく楽しくって。

 「本日は小つると鶴瓶のき楽寄席にご来場くださいまして、まことにありがとうございました…」
 最後の場内アナウンスを終えると、体から力がふぅーーっと抜けていきました。ああ、終わったわぁ…。ほぉっとしたような、少し淋しいような。

 さあ、打ち上げだーい!!地酒と魚のお店『いたる』にて!
 なぁさんの第一声は「終わったぁーーーっ!」でした。いやほんま、ようやったねぇ。やっちゃったよねぇ。
 「いただきまーーす!」のかけ声とともに飲み干したビールの美味しかったこと!
 北陸の海の幸と美酒をいただきながら、話に花を咲かせます。小つる師匠、宗助さん、鉄瓶さんも一緒に、今日の話・落語の話・お酒の話・そのほかそのほか…。飲み放題の『恵比寿ビール』と『池月純米』がどんどん運ばれ、どんどん空になっていきます。気持ちいいわぁ。


 あっという間に一次会お開き。小つる師匠の音頭で『大阪締め』。

 そして、半分くらいが二次会に流れました。小つる師匠はもぉできあがっておられます。はれーなにしはんのん~。ちなみにこの写真を撮ったのはオットですのに~。
  
  ひとりひとり自己紹介したり、それに宗助さん鉄瓶さんがリアクションしたり、わあわあゆうております…という感じで二次会もふけていきました。ああ本当にお酒が美味しかった!
 準備から打ち上げまで、味わいつくした『小つると鶴瓶のき楽寄席』でした。
 

 素晴らしい熱演を披露してくださった小つる師匠・鶴瓶師匠・宗助さん・鉄瓶さん、そして三味線の勝正子さん。
 常軌を逸した情熱でこの会を実現させちゃった席亭なぁさん。そしてスタッフの皆さん。
 手伝ってくれたキモノ友達。
 そしてなにより、会場に足を運び、笑いと拍手でもりあげてくださったお客様たち。
 すべてのひとびとに、心からありがとうと言いたい気持ちです。

 
 とっても緊張したけど、愉しかったですお茶子。またやりたいなー。


今池末広亭講談会~南湖十番勝負

2009年05月06日 | 今日のキモノ

 『今池末広亭』というのは、今池のお寿司屋さん『玉寿司』さんの3階座敷で開催されているという寄席。末広亭ってのは、そのお座敷が『末広』というお部屋だからだそうで…新宿の定席にひっかけてますのね、お洒落ですわ。
 その今池末広亭に、贔屓の『笑福亭たま』さんがかかるとききつけ、行ってまいりました。ことりちゃん親子とmayさんも一緒です。
 
 今日の着物:小豆色縞花柄ポリ小紋(すうちゃんにいただく)
 今日の帯:銘『春の小川』昼夜帯(ヤフオク)
 今日の半衿:百合柄モスハギレ(すうちゃんにいただく)
 今日の帯揚:白地線絞り帯揚(きむら)
 今日の帯締:ピンク組紐(義母の作品)
 今日の足袋:白地青カジュアル模様(まねきや)
 今日の草履:小豆色雨草履(アザラシ毛皮草履のオマケにもらった)
 今日の簪:白地水玉トンボ玉(ふちこまさん)

 催しのタイトル『南湖十番勝負』というのは、講談師の旭堂南湖さんが、毎回いろんなひとを相手にしつつ十番の講談を語っていくという趣向の催しだそう。第1回の今回、その相手に選ばれたのが笑福亭たまさんというわけ。
 講談を聴くのは初めてで…落語の『くっしゃみ講釈』で聴いたことあるくらい…どんなんでしょう、それも楽しみ。

 会場の玉寿司、会のある今日も営業中ということで、まずは1階でランチをいただきました。お寿司ランチこれで800円、お値打ち~。
 

 ランチをいただき、一番乗りで会場へ。32畳のお座敷に、ゆったりと座布団がならべてありますなんて贅沢。もちろん一番前に席を占め、おしゃべりしつつ開始を待ちました。

 時間となり、まずは前座の旭堂南舟さんが登場します。なーんか病弱な感じでもそもそ出て来ました(失礼)が…声を出すと腹からしっかり響く声でびっくり。
 演目は『角屋舟の由来』。家康の伊賀越えの話、生き生きと描写されるお話に聴き入ってしまいました。初めて聴く講談ですが、けっこう面白いぞ。わたくし歴史、好きだし。

 そして、お目当て♪笑福亭たまさん。
 出てくると、「えー…」と会場を見回します。時間前に近所の温泉に行ってきた話などしつつ、雰囲気をはかっておられるよう。「僕を知ってるひと、どのくらいいてますかー」と訊き、けっこう多いのを見て取ると「柔らかいトコで『ときうどん』しようかと思ってたんですが…同じ落語を3度きくとええかげんにせえという気になりますよね。そしたら」と『火焔太鼓』をします!と宣言されました。会場から拍手。わたくしも、たまさんの『火焔太鼓』聴くの初めてでうれしゅうございました。前に江戸の古今亭志ん五師匠のんを聴いたから、江戸上方で聴き比べられるのんも嬉しいわ。…でも、たまさんが上方代表いうたらちょっと違うかも知れんけど。
 
 本ネタに先立って、いつもの『ショート落語』『オチを先に言う』などですでにひぃひぃ笑わせてもらい、さて『火焔太鼓』…。
 わあー。さすがたまさんの『火焔太鼓』です。のっけからおかみさんと道具やさんのやり取りのド迫力で面白いこと!そして、クライマックス、三百両をもらって帰って、五十両ずつおかみさんに見せていくところ。「もれるう。ちょ、ちょっとまって」とおまるにまたがりつつ報告を聞くおかみさん。「どうだ!どうだ!」と出していくごとに「ヒィーヒィー」と…あの、失禁しつつ喜悦の声を上げてるさま、まさに「イッちゃってる」様子、いやーん。たまさんの表情がワイセツですわあ~。(ていうか、ソノさまって傍で見たならば『笑える』ものですわよね)

 そして、南湖さん。トロピカルな感じのド派手な着物で登場。波照間島に旅行した話などがテンポよく語られて、こういう講談?と思いきやいきなりの『中山安兵衛ー高田馬場十八人斬り』。あの有名な『ばばあ、めしだ!』のセリフはこういう文脈だったのかと、初めて知るわたくし。
 そして、十八人斬りの場面の迫力あること!血飛沫が飛んでくるようで…想像すると酸鼻なんですが、そこを痛快に感じさせちゃうのが芸の力なんでしょうね。しかし、仇討ちとはいえ残酷だなぁと思っていると、南湖さんふっと素に帰ったように「ある人に言われたことは、講談は人が死にすぎると。まぁ戦いの話ですからねえ。この話も題名からして18人は死ぬわけで」と、息を抜いてくれました。こういう呼吸っていいですねえ。

 そして中入り。まだ聴けるのね~と喜びます。
 後半戦、まずは再びたまさん『近日息子』。ここでもまた、近所の人同士のケンカのシーンに爆笑!繰り返しギャグはツボに入ると止まりません!

 そしてトリ、さっきとは打って変わった袴姿で登場の南湖さん、語るは『真田の入城前』。耄碌爺さんをよそおった真田昌幸のフガフガした様子が滑稽でそれが凛々しく立ち上がっていく様子はほんとうにわくわくいたしました。
 うん、講談って面白い!
 この『南湖十番勝負』、秋にもまたこの今池玉寿司で開催される予定だそう。たまさん目当てで来たこの会ですが、次回のゲストは誰かしら、誰であっても南湖さん目当てに行きたいものだと思いました。

 3時間たっぷり楽しませてもらい、7月の『りらっくご』に向けてたまさんにちょっと挨拶もして、満足の気持ちで今池を後にしたことでした。連休の最後を飾る、素敵な時間でした。
 
 
 終演後、会場の玉寿司末広の間にて。スタッフの方にシャッターを押してもらいました。ことりちゃんの息子ちゃん、着物が似合っててかわいいな。