そして、別の日には夜の部にも行ったのです、陽春大歌舞伎。夜の部メインは『与話情浮名横櫛』…♪死んだはずだよお富さん♪でおなじみの、アレ。
というわけで、お富さんコーデ、でございます。縞の着物に黒繻子の帯。かっぱりと抜いた着付けに洗い髪風無造作頭。どでございましょ。
今日の着物:紫縞縮緬(ヤフオク時代着物)
今日の帯:黒繻子牡丹名古屋帯(mikaさんにいただく)
今日の半衿:黒オレンジ市松雪輪(骨董市ハギレ)
今日の帯揚:赤に黒源氏(骨董市ハギレ)
今日の帯締:黒に赤三分紐(ふちこまさん)
今日の帯留:蛇戦国玉(ふちこまさん作)
今日の簪:胡蝶(竹蔵龍さん)
今日の簪2:銀アンティーク(ヤフオク)
今日の足袋:杵屋白足袋(広島の杵屋)
今日の草履:酒袋台すうちゃんお見立て花緒(松屋バーゲン)
mayさんと待ち合わせて、まずは覚王山へ。今日こそは「はるみちゃん」…あの宮古上布を連れて帰るのです。折りしも覚王山祭。人ごみを抜けて『きむら』ではるみちゃんを受け取り。お約束のあれこれ羽織りもやって(おやくそくの心ぐらぐらもあり)、さて、一路御園座へ!
今日の観劇メンバー。わたくし・にっぽんちゃん・mayさん・むうみんちゃん
mayさんも『きむら』の袋を持っているのに注目。すんばらしい帯をお買い上げでしたわ。ショッピングの女王健在。
御園座にきたらこれ食べなきゃね。最中アイス食べますお富さん。
一幕目は『松浦の太鼓』。忠臣蔵討ち入り前夜の、吉良家の隣家の様子を描いたドラマ。忠臣蔵のサイドストーリーですわね。こういうお話を見ると、当時の人に忠臣蔵がいかに愛されていたかが伝わってきます。こんな端っこ話まで作っちゃうのね。
幕間に夕食を摂り、二幕目は『閻魔と政頼』。閻魔さんが米米クラブみたいでした。小鬼の顔をオペラグラスで見たらひとりひとり違った変な顔が描いてあって面白かった。
さて、いよいよ次がメインです。ビール飲みますお富さん。気合い入れていこう。
というわけで『与話情浮名横櫛』。舞台に出てきた芝雀のお富さん、紫の縞に黒繻子の帯!おお、今日のわたくしのいでたちと似ている~。狙いが当たって嬉しいわ。しかし、お富さん…なんか年増すぎるんですけど…(わたくしのことではないぞ)。染五郎の与三郎と比べると、え~らい年上に見えちゃうんですが。
その与三郎。お富さんに一目ぼれしてぼーっとしちゃって羽織を肩から滑らせちゃう、有名な『羽織落とし』のシーン。たいへん色っぽい。
しかしお富さんはやくざの囲われ者。ふたりの仲は露見し、与三郎は手下に体中を切られ、お富さんは入水・・という部分が大胆に省略され(イヤホンガイドで語られたけど)、あの名台詞がある次の幕へ。
「しがねぇ恋の情けが仇 命の綱の切れたのを どう取り留めてか 木更津から めぐる月日も三年越し 江戸の親にやぁ勘当うけ よんどころなく鎌倉の 谷七郷は喰い詰めても 面に受けたる看板の 疵がもっけの幸いに 切られ与三と異名をとり押借り強請やぁ習おうより 慣れた時代の源氏店 そのしらばけか黒塀の 格子造りの囲いもの 死んだと思ったお富たぁ お釈迦さまでも気がつくめぇ よくまぁ おぬしぁ 達者でいたなぁ 安やい これじゃぁ一分じゃぁ 帰られめぇじゃねぇか」
口跡よく抑揚よろしく、名調子です。いやー、初めてナマで聞いたわ。これが春日八郎『お富さん』の元ネタなのですな。
しかしなぁ…と、だんだん腹立ってくるわたくし。
死んだと思ってた恋人が、生きてたんだよ。なんでまず喜ばんの。囲いものだってなんだって、生きてたんだからいいじゃない。自分にできることをして、精一杯生きてるんだもの。
それに比べてあんたは何よ。生きていてくれたのは嬉しいけれど、恋ゆえ負った疵を強請のネタにするなんて、あの日々への冒瀆だわ。あんたは生きたが恋は死んだね。このへタレ男。顔がいい以外のとりえがないぞ!
さぁお富さん、このダメ男に啖呵のひとつも切ってやれ!小判の塊をぶつけて、疵をもひとつ増やしてやるんだ。戦えお富さん!!
とエキサイトするわたくしをおいてきぼりに、舞台のお富さんは「ごめんなさい。あたしの話も聞いて…」とかきくどいています。くうう。
結局、お富さん実は実兄にかくまわれていただけで、妾ではなかったと。そういうわけで一緒になろうよねえ、というハッピーエンドだったんですが。ですが。うーむー。
しかしまあ、歌舞伎はそういう目くじらとともに観るものではないのですな。疵だらけの色男、という艶かしい構図。さだめに流される美女の悲哀。それを様式美とともに愛でる、というのが愉しみかたではあるのでしょう。うん、そういう意味ではしっかり愉しみました。
さらにお富さんコスプレ(だったのか)にて臨んだおかげで、思いもよらぬ感情移入を。これもまた味わい深いものではありましたわ。またやってみようっと。
ってわたくしはいいけれど、劇終わるなり『与三郎へタレ説』を聞かされたmayさんにっぽんちゃんむうみんちゃん。ごめんねえ。これにこりずにまたおつきあいお願いいたしますわ。
お富さんそのもののコーディネイトですね♪
帯締め、お使い頂けて光栄で御座います。
『お富コーデ』要はこの蜻蛉玉でしたのよ。
存在感があるものを真ん中に持ってこようと思って、むかしふうのぶっとい帯締めをいろいろ持ってきたけどなーんか違って。で、ふと思いついてこの帯留めを盛ってきたら、シャープな存在感がとっても『お富』でしたの。さすが姐さんの作品。
また拝見しに行きたいわ!そして、また連れ帰りたいわ!よろしくねー。
自分の思い通りに行かないと駄々をこねるのよね。
年増の女に惚れた与三郎に見えたけど
芝雀さんが私たちより若いと聞いてその方がショックだったわ
(がっくし)
いきなり「死んだと思ってたのに」はないよなあ。ばかぼん。
芝雀さん、そーなんですかあ~(脱力)。
うちら、大年増?・・・・・うんにゃ、キョンキョンの例もある。がんばろう!(なにを?)
芝雀さん、私らより上だったわ。
にっぽんちゃんがあの時「30くらい」と言ったのは
「30年生まれ」の間違いだったのよ。
よかった・・・
あおお。情報ありがとうねえ。
そうだよね、うちらのみかけがあの大年増よりも大年増ってことはない、はず、だよ、ね・・・(だんだん声がちいさくなる)