キはキモノのキ

キモノ‥愛してます

『美しいきもの姿のために』

2007年11月27日 | キモノ本


 先日、外出から帰宅したらポストに筑摩書房からの『プレゼント本在中』包みが。10月の新刊プレゼントに応募していたの、当選しちゃいました!嬉しい嬉しい。
 この本、とある方のブログで拝見して気になり、そこからリンクをたどって筑摩書房HPの懸賞を見つけて申し込んでいたのでした。

 著者の村林益子先生(と呼んでしまう)は、和裁の第一人者。「呉服の生き字引」と言われた祖父と父、老舗呉服屋の娘を母に持ち、ご当人は和裁職人。この本には、そうやってキモノに囲まれ、キモノを愛して生きてきた方の思いが満ちていました。

 着付け、帯の締め方、たたみ方、縫い方。の「間違って覚えないで」たとえば、「ルールであるかのように、上前を見てから下前とあわせていませんか」これは、着付け師さんが寸法に合わない貸衣装を着付けるときの方法だそうで、自分の寸法のキモノであれば不要なのだそう。こんな風に、着付け教室で習う『常識』が覆される記述がそこここに見られます。これが単に間違った知識を糾すというのでなく、よりキモノに親しむならばもっと‥という願いというか祈りとして響いてくるのがこの本の特徴だ感じました。

 たとえば「着くずす」こと。ぐしゃぐしゃに着くずれるというのではなく、着ていて動いたら自然にくずれていく、それを見越して着ること。そのためのコツが詳しく載っているのですが、それが単なるHOW TOでなく、よりキモノを愛するための作法と読めてしまうのです。

 また『仕立て屋の目線』の章では、よい仕立ての見分け方などが詳しく書かれているのですが、それを通して著者が日頃いかに布を慈しみ、着手に愛されることを願って親切に仕立てているかが伝わってきます。
 骨の髄までキモノを愛しているからこその強い思い。背筋がしゃんとするような思いで読みました。

 おまけですが、この本には男性のキモノに関しての記述もかなりありました。正しい畳み方をした着物は殿方を立派に見せるのですって。そんなふうに男性のキモノについて書いてらっしゃる目線はいかにも女性で、どちらかというと硬派な文章の中でそこのところははんなりと色づいているように感じられました。そして、なんか男性にキモノを着せたくなっちゃいました。‥オットは着てくれやしませんが!