キはキモノのキ

キモノ‥愛してます

陽春大歌舞伎!(昼の部)

2008年04月10日 | キモノとわたくし

  日曜日は春の恒例、陽春大歌舞伎に行って来ました。歌舞伎ですもの、お洒落して出かけます!
 せっかくだから何か演目にちなんだものをと『鬼平犯科帳』に合わせて『鬼』の帯留めをヤフオクで落札したのですが、間に合いませんでした。ざんねん。というわけで、コーデのテーマはただ『春』。蕨たんぽぽに桜を咲かせて。来週も夜の部に出かけますが、もう桜は散っちゃってるでしょうから、これが最後の桜コーデになるかな。


 今日の着物:蕨たんぽぽ付け下げ(ヤフオク『北條』で求めて『和裁工房まゆ』でお仕立て直し)
 今日の帯:銘『綾居笠』(きもの・なかむら)
 今日の半衿:塩瀬白(うちにあった)
 今日の帯揚:朱鷺色縮緬桜(昔母に買ってもらった)
 今日の帯締:橙青雪輪(ヤフオク)
 今日の足袋:杵屋白足袋(広島の杵屋)
 今日の簪:鼈甲鶴(ヤフオク)
 今日の草履:銀黒市松コルク(松屋バーゲン)
 今日のバッグ:銘『桜餅』(島工房)

 先日の着姿が我ながらあまりにもアホの子だったので、今日はちょっと賢く見えるようにと思い・・しかし浮かれて踊っては同じことでした・・。

 さて、お洒落して集まる御園座の前。陽春大歌舞伎の始まりです!
 
 あまりにもいい天気で、外で撮った集合写真が白く飛んじゃいました。
 ぶるちゃん・わたくし・mayさん・おーこさん・くみさん、そしてにっぽんちゃんは今日はお洋服姿。

 
 mayさんは吉右衛門の紋『揚羽蝶』にちなんで蝶の帯ですって。なるほど、そういう見立てもありますのね。
 ぶるちゃんの帯は、こないだ『きむら』にご一緒したときにさりげなく求めてたお宝。同じく『きむら』お宝着物に合わせてしっとりはんなりよくお似合いだわ。
 おーこさんの帯は『すうざん屋』。これまた華やかで上品だこと。
 わたくしのこの帯は、長さは二重太鼓できるのですが、柄あわせをしようとするとやたら余る一重太鼓になるという悩ましいシロモノ。でも、何とか合わせて満足。

 
 劇場入りすると、乙女は恒例の『最中アイス』を。そしてわたくしは・・。だって、暑くってのど渇いたんですもの。ここの生ビールは泡がクリーミーで美味しいわ。

 
 並んで席に着きます。さすが歌舞伎、キモノ姿の人が多くて眼が嬉しいわ。でも、ラフな格好の人もけっこういます。気楽に歌舞伎、というのはいいんですが、さすがにジャージはちょっと・・。
 「家でごろごろしてる格好そのまま出てきたって感じよね」
 「御園座の裏に住んでたりして」
 わたくしたちの前と後ろにそれぞれ、『ごろごろそのまま』組のおとっつあんがいました。これが後に悲劇を!

 幕が開き、一題目『ひらかな盛衰記』のはじまり。絢爛な色彩の世界が目の前に広がります。源平合戦の時代を舞台に、義理と人情と恋の物語が繰り広げられ・・・
 「ぐええっ」
 いきなり蛙をつぶしたような音が。後ろのごろごろおやじです。いい場面でこのおやじ、思いきりげっぷをしやがったのです。ここはあんたんちの茶の間じゃないぞっ。
 このおやじ、この後も2~3回「ぐええっ」をやらかしやがりました。うう。

 幕間にお昼ご飯をいただきつつ話したところ、ぶるちゃんの前のでかいおっさんは前に後ろに大きく舟をこぐもので、舞台が見えなくなって往生したとか。
 「完全に寝とるんだわあ。そんなに興味ないなら来なけりゃいいのに」
 「新聞屋かなんかから券もらったのかしらね。寝てもいいけどじっとしとれって」
 「後ろでげっぷしてたひともいたでしょう」
 「あれねえ。隣に奥さんらしきひとがいたけど、気にならないのかしら。自分のダンナがあんなんだったら恥ずかしいよねえ」
 わたくしども、お洒落して楽しみに出かけてきてますもの。水を差されて腹立つことしきり。よくあることではあるんですが、慣れるもんじゃありませんわ。

 二題目は『鬼平犯科帳 大川の隠居』鬼平はもちろん、中村吉右衛門そのひとが演じます。これが楽しみで来たのです。わたくし、鬼平はドラマも小説も大好き。
 幕が開き・・鬼平が白塗りだっとか、粂八が蟹江敬三じゃないっなどの違和感はあれど、そこは舞台の力。すぐに鬼平の世界に入っていきます。黄八丈に黒繻子の衿をかけたお茶屋の娘さんの、赤い帯揚げが粋なこと。鬼平の仕草、伝法なようで崩れない。裾をさばいて座り込むときも、脛があらわにならないようにさりげなく手を添えている。かっこいいなあ。

 と、そこに。
 「ぐええっ」
 またやらかしやがった!許さんっ。わたくし、目に力を集めて鋭く振り返り、かのおやじを一瞬にらんでやりましたっ。
 そしてすぐに前を向いたので、おやじの反応はわからなかったのですが、以降「ぐええっ」に悩まされることはありませんでした。

 鬼平犯科帳、大川の隠居。老盗賊に父の形見の煙管を盗られた鬼平が、粂八と一計を案じて取りかえす・・けれど、ただ取り返すのではなく、老盗賊に諄々と自分の生い立ち・悪を知るからこそ悪を憎む気持ちを語り、老盗賊と心を通わせていく様子が豊かに伝わってきます。絢爛豪華はないけれど、こういう歌舞伎もいいなあ。

 
 観劇終えて満足の笑顔。また楽しい時間を過ごせました。みんなありがとう。チケットを取ってくれたにっぽんちゃんにすぺさるさんくす。

 
 このあと高島屋に昔きものバザールを見に行って、目に毒なものを見ちゃって身悶えた、とかはまた別のお話でございます。