キはキモノのキ

キモノ‥愛してます

サンタクロース・袋の中身

2006年11月29日 | 買っちゃいました

 昨日の骨董市での戦利品です。

 左から、昼夜帯(上の部分は裏)300円・お召し500円・モス長襦袢1000円!

 300円帯はすぅちゃんがホリホリしてくれたもの。経年のシミは少しあるものの、しつけ付き。表も裏も素敵です。ほんとにさんびゃくえん、すぅちゃんマジック。

 真ん中の赤と黒(スタンダールお召しと命名)はほんとにごひゃくえん。これもしつけ付き。私には丈は少し短いけど、何とか着られる。この日のすぅちゃんの着物とよく似ていて、私にも着られるかしらーと求めてしまいました。そしてこれ、うちに帰って良く見てみましたら、八掛に雪輪の地模様が!嬉しい嬉しい。写真には写ってないなぁ、お会いした時に「ぴら」とお見せしたい。

 右端は長襦袢。これはサイズほぼぴったり。これまたしつけ付き。冬に向かってモスは暖かくて重宝です。アンティークな模様も楽しくって。1000円はお買い得!


 あとはハギレです。でもハギレと言っても幅は一尺、丈は2~3尺くらいある長いもの。左の上下は2枚で1000円、それ以外は2枚500円。やすうう。
 左のは柔らかいので、半衿とか帯揚にもできそう。左上は源氏香に源氏物語の巻名が。スタンダールお召しにあわせようかな。左下の音符もいろいろ遊べそう。
 真ん中の上、千鳥は帯の解きを切ったもので、長さたっぷりなので2枚求めて帯に作り直そうと思います(できるかな?)。
 中下のも染め刺繍帯だったみたい、刺繍部分を生かした半衿にしようかな。
 右端のも染め刺繍帯の解き、いろんな色があるから半衿4枚かそのくらい取れそう。

 総じて3300円の豪遊でした。うっふっふ、これだから骨董市はやめられませんわ~。そしてホリホリの女神すぅちゃんに感謝!

 ちなみに‥この日すうちゃんがホリホリしたものの一部は後日『すうざん屋』に出ることでありましょう。わたくしも迷っているものありますの。待て、すぅパソ復活! 


大須骨董市・気の早いサンタクロース

2006年11月28日 | 今日のキモノ

 今日は大須骨董市に行って来ました。12月には行けないので、個人的に今年最後の骨董市。すぅちゃんとも現地で待ち合わせなので、この前見立ててもらった羽織を着て行きました。
      
 羽織は『江口屋』さんのもの、アールデコ調の模様が珍しい。
 羽織紐は義母からの貰い物、ニセ真珠。
 着物はお気に入りの葉っぱ着物。
 帯は実家の近所のおばちゃんがくれた同じく葉っぱ模様。
 半衿はこないだのアートマンモスで求めた『Berry工房』さんの。
 帯揚は骨董市のハギレ、着物に少し入っている紫の色に合わせて紫雪輪なんだけど、よく見えませんね。どうも私の着方って帯揚が見えなくなるみたいだ。どうしたもんだ。
 帯締めは、これも雪輪模様のもの。

 すぅちゃんはここのところパソ不調で、ネットでの日常的なおしゃべりができずにいます。なので、たった一週間ぶりなのにすごくなつかすぃ~。

  
 あっぱれぢょゆうの艶姿。黒と赤の印象的な色あいのウールにアンティークの染め帯が素敵です。

 そして、今日もぢょゆうのお導きで大量に買い物してしまいました。でも、さすが骨董市、お値段可愛い。何を買ったかは、また項をあらためて‥。

 
 大須骨董市、たくさんの人出でした!

 まだ11月というのにサンタクロースのような大きい袋を抱え、ほくほくと大須観音をあとにしたことでした。
 早く帰らないといけないすぅちゃんと別れたあとは、松阪屋で開催の「浮世絵展」を大袋抱えたまま見てまいりました。写楽・北斎・歌麿・広重の四大浮世絵師の作品が一堂に集った見応えのある展覧会。こっちもたいへん堪能し、判にしずっぱりと楽しんで帰った一日でした。
 
 入り口のポスターです。中には浮世絵がぎっちょり。

 今日のうれしかったこと‥ひとりでいるときに着姿を誉められたよ!

 すうざんさんといるときには、通りすがりの人たちから賞賛の言葉がよくかかります。「きれいに着こなしてみえるわねー」とか、「ステキねぇ」とか。たいていの場合視線の先はすうちゃんだけど、わたくしもおこぼれで誉めていただけるので嬉しい。
 でも、今日はすうちゃんと合流する前に、どっかのおばさまがとても誉めてくださいました。やったね、「ひとりでできるもん」だ!


キモノ着て酒を飲むときは‥

2006年11月27日 | 今日のキモノ

 先日は、美味しい料理をお酒を堪能してまいりました。
 
 美味しい魚を食べるぞー!!の意気込みを込めて、魚模様カツオ縞紬。帯は安嬢オフのときと同じ草紙帯、実はあのときは綺麗に結べなかったのでリベンジの角出し。アンティークだけど長さがたっぷりあるので、テを片輪奈結びにして角を作ってからお太鼓部分を作っています。こうすると型崩れしにくいのです。半襟と帯揚げはやっぱり安嬢オフと同じハギレ(これは手抜き)、根付に竹蔵龍さんとこの華鯉とクリスタルのしずくを重ねづけ。

 この宴会は別にキモノの会ではなかったのですが、わたくしはいつも勝手にキモノ着て行くのです。その方が「お出かけだぁ」という気持ちが盛り上がってより楽しいんですもの。
 そういうわけで、たいていはひとりでキモノなのですが、今回は嬉しいことにもうひとり、綺麗な銘仙をまとったお嬢さんがみえていました。キモノ姿を見るとやっぱり嬉しい。さっそくキモノ話に花を咲かせます。

 さて宴会。酒も肴も美味しい美味しい。お酒が進むほどにだんだんと座がほぐれ、楽しいおしゃべりが味わいをよりいっそう深くします。んまー。しあわせー。

 と、ここまではよかったのですが。
 料理も終わりに近づき酒がだいぶ回ってくると‥一部のテーブルがあやしくなってきました。男同士で抱き合ってふざけていると思ってたら隣の女性に抱きつく酔っぱらい男。彼女は大人らしく適当にいなしていましたが、別の酔っぱらい男が件のキモノお嬢さんに抱きつく。あれ?お嬢さんはいつのまにかずーいぶん出来上がっているようだ。衿元も裾も乱れまくった姿で、抱きつかれるまま男にしなだれかかっているじゃないか。

 はっきり申し上げてその姿、かーなり見苦しいものでありました。綺麗なべべ着てそのような醜態、みっともなさ100倍。あーあ、今度はお嬢さん、キスしまくってます。連れの男、何とかしてやれよっ。

 見てると酒がまずくなりそうなのでちょっと離れた席に移って、同じく逃げ出してきたひとたちと飲んでいましたが‥次に見たときにはお嬢さん、連れの男のひざに乱れ髪を乗っけて眠っておりました。ジャージ履いてこい、そんなんしたければ。罪のないキモノまで品下って見えてかわいそうじゃないかっ。

 キモノ着たからとて型にはまったような楚々とした態度仕草ばかりをしなければいけないとは思いません。普段着キモノでは駅のホーム走るし米袋も担ぎます。でも、それは生活に溶け込んだ動作。それなりの美しさがある、と思います。
 けれども、酒飲んでエロ酔いする姿には美学がない。綺麗になるためにキモノを着ているのに、逆にキモノを着ているせいでよけいみっともない。

 お酒を飲むと気持ちもほんわかして緩んできます。その緩みがキモノ姿にほんのり色を添えている‥キモノ着て酒飲むときは、せいぜいそのくらいでありたいもの。しゃんとしたとこはないといかん。
 キモノ着て酒飲むことの多いわたくし、肝に銘じたことでありました。


写真が届きました

2006年11月26日 | キモノとわたくし

  9月に大阪に行ったとき取材を受け10月末に記事になったあの写真。


 記者のひとが「あとで写真を送りますから」と言ったのを「どーせ口だけさっ」とはすにかまえていましたが、今日届きましたよ。記事の写真(A4サイズ)と、その新聞と。カメラマンの女性の方、ありがとうございます。「どーせ」とか言っててすまんすまん。写真、大きくて嬉しいです。大事にします。

 で。
 それはいいのですが、写真も新聞も2部入っていて「お友達にもお渡しくださいませ」と。
 一緒に取材されたmikaさんに連絡取りましたら、mikaさんとこには届いているとのこと。したら、もうひとりの若い女の子か。しかし、彼女とはあの場で会ったきりで名前すら知りません。渡せんぢゃーん。もう。

 というわけで、あの日の彼女。もしもこの記事をご覧になっていましたら、どぞ連絡くださいませ。メルアドはプロフィールんとこにありますので。せっかくだからお送りしたいです。

 あらためて見るとなかなかいい写真ですわ。わたくしが後姿なのがよけいいいかも~(苦笑)。


安嬢オフ

2006年11月21日 | 今日のキモノ

 安城のお嬢で「安嬢オフ」です。誰がお嬢かという声は無視して‥。
 今日のいでたちです。

  
 秋色雪輪紬(祖母のものを和裁教室で裄直し)に草子柄帯(カヨイコマチさんのヤフオク)、半衿と帯揚は大須骨董市のハギレ、帯揚も見えないけど雪輪柄のヤフオク1000円くらいのもの、簪は竹蔵龍さんの富貴花。
 ばたばたしていて頭の中でだけ考えたコーデを間際に実際合わせてみましたら、なんかごちゃごちゃして好かーん。でも新たにいろいろする時間もなく、そのままいつもの「カフェ・スウィート」へ。





 集ったのは、お初の圭さん、一昨日もお会いしたずずさん・ぽんごちゃんに、安嬢ことりさん・すうざんさん、わたくし。
 圭さんは市松帯に細いベルトを帯締めにして、かっこいい着こなし。
 ずずさんは緑×赤のクリスマスコーデ、行きがけに買ってきたという柊のクリスマス飾りが大人のお茶目。
 すぅちゃんはただいまパソコン不調でネットごぶさたなので、ものすごく久しぶりに会ったという感じです。相変わらずの粋な着こなし。おなつかしや~。
 ことりちゃん・ぽんごちゃんはお洋服だったので写真なし‥ごめん。

 ランチいただきつつ話は弾み、お店を出たあともすぅちゃんぽんごちゃんを我が家にお連れしてさらに喋りつづけました。楽しいねえ。
 その後はぽんごちゃんを送りがてら譲っていただいた羽織を受け取り、
        

 通り道にある酒屋さんでお酒を買って帰ったのでした。いい日だった~。
               
 この酒蔵、今年で廃業しちゃったのでこれが最後のお酒。美味しいお酒を造る蔵がなくなるのは悲しい‥。


アートマンモス・散財集

2006年11月21日 | 買っちゃいました

 というわけで、アートマンモスの「やっちまった」記録です。
 キモノ友達のブース「和・かわいい屋」さん初め、物欲を刺激するお店がそこかしこにあって‥素通りする能はず、でした。
  
 右の雪輪と左の鉄線は刺繍の半衿です。Berry工房さん。お母さまの作品を娘さんが売っているの。これで一枚1600円!「これ全部いただくわ」をやりたかった!!今でも「あれも買えばよかった~」とかいろいろ考えます。一緒に回った友達もそれぞれに楽しく悩んで複数お買い上げしてました。
 ‥やばいことにここ、通販もしてるんですよね‥。

 その上、ひときわ目につく紅い椿が「和・かわいい屋」さん、白雪ママさんの作品。髪に挿して歩いていると「生花ですか」と言われました。

 紅椿の上、緑の薔薇帯留め。。これもBerry工房さんで。縫さんが大きな帯留めをしているのを見て、この帯留めを見たら、自分もがぜん欲しくなってしまったのでした。mayさんも色違いをお買い上げ。おそろいです。

 その上の古布の花‥買ったお店を忘れてしまいました‥好きな色、丁寧なつくりでほとんど迷わずに買ってしまいました。

 そして。
 ひととおりアートマンモスのお店を見て周り、まったりとしていましたら白雪ママさんが「フリーマーケットの方にキモノのお店があったわよ!!」と走ってきました~。白雪ママさんは、畳表の草履(まだ綺麗)を2980円で買ったのだそう!わお、ゼロがいっこ違います。その上、キモノも素敵なのがあるらしい‥キモノ乙女、血相変えて駆けつけます。
 行った先でやっちまったもの。そう、昨日書いた「あれ」です。
  
          「ゴマちゃん」です。キュー。

 この業者さんは札幌の人で、防寒の雪草履が780円とかでたくさんありました。初めはそれを買う気だったのです。でも、草履の山の上でぴかーと輝いているもふもふしたものが!!
 これぞアザラシの毛皮の草履。防寒草履オブ防寒草履。ずっと欲しくて探してたんだけど、百貨店定価で10諭吉、ヤフオクでも3諭吉下ったことないこれが、14800の値札をつけて出ていました。しかも新品。ぼ、煩悩が。
 この時、私の所持金はすでに3000円ほどでした。「一万円にしとくよっ」とおじさん。「はい、7000円貸すよっ」とmayさん。ああ、ダブル『背中丼』。まっさかさまに堕ちてデザイア(爆)。

 おまけに最初握り締めていた雪草履もつけてもらい、「やっちまった」という思いと「ええ買いもんした」という思いと両方を抱え、へれへれ~とアートマンモスを後にしたのでした。この冬はキモノで出かけ倒すぞ!

 買ったものばかりでなく、頂き物もたくさんありました。
 
 千鳥ちゃんは白雪ママさんからいただいた半衿。左のハート帯留とこんぺいとう根付はおーこさんの作品。おーこさんはまだ「和・かわいい屋」には参加してみえないのですが、とっても素敵なトンボ玉を作られるのです。とくにこのこんぺいとう、ホンモノそっくり。つなげて羽織紐なんかあったらほしいな~。

 オマケ買い物。100円似顔絵、mayさんとふたりで描いてもらいました。似てる~?
  


アートマンモス・ドレスコードは『派手』

2006年11月20日 | キモノイベント

 昨日のいでたちです。
       
 キモノは紫の菊柄お召しに帯は「すうざん屋」の昼夜帯。これ実は11日の記事中で締めてた「お釜帯」の裏。裏も素敵なのでそのうちと思っていたのを実現できました。

 昨日の日曜日は、ポートメッセ名古屋で開催された『マンモスフリーマーケット』に行ってきたのです。といっても目当てはフリーマーケットではなく、その一分野手作り作品を展示販売する『アートマンモス』。キモノ仲間が作品を出品するので、応援がてら。
 白雪ママさんの「ドレスコードは『派手』でお願いね!」のひとことで集ったキモノびぢょ軍団、どぞご覧くださいませ。

            びぢょ軍団(まだ数人いましたが‥)と手作り作品の数々

 実は、この日の天気は雨。にもかかわらず、キモノ着て集まったわたくしたち。まことにもって粋狂でございます。
 もっと派手にしよう!と、着くなり白雪ママさん謹製の椿簪を求めたわたくし。
  
  ほほほ、『椿姫』よ♪(モノを投げないでください!!)

 簪・羽織紐・帯止めなどのキモノ回り品や、ブライス人形の着るミニチュアキモノ。古布からひとつひとつ丁寧に手作りされたこの着物は、小さくなって自分が着たいくらい。半襟や補正まで作ってあって、帯もちゃんと帯締めを使って結ぶもの。大人のお人形遊びは手がこんでて素敵です。ヲトメ心が刺激されます。

 
    黒の似合う「えくれあ」ちゃん

 アートマンモスの一角には、ほかにも手作り品が様々に展示されていました。財布の紐、緩みっぱなしです。デパートでブランド品を見ても「ふーん」と素通りできるのに、こういう作り手の息吹が感じられるものにはヨワイのです。

 フリーマーケットの部にも、昔キモノを売っている店が出ていました。札幌からみえたということで、雪草履がお値打ちで豊富にあって、みんなで散財。特にわたくしは前々から欲しかった「あれ」を買っちゃいました。
 「あれ」とは何か。これはまた後の記事、買っちゃった報告の中で申します。

        散財軍団。わたくしが持っているのが「あれ」。

 雨の降りしきる肌寒い日でしたが、会場は熱気でむんむん。綺麗なものをたくさん見て、買い物もして、キモノ仲間で集っておしゃべりに興じて。とても楽しい一日でした。
 出品者の白雪ママさん・縫さん・ぽんごちゃん、そして一緒に時間を過ごしてくれたみなさん。どうもありがとうございました。

 ちなみに、今回出品の作品はここでも求めることができますよー。興味おありの方はどうぞ!


わたしのきもの道 着付け教室編その9 比翼騒動

2006年11月13日 | キモノとわたくし

 前回までのあらすじ:『きもの道コンテスト(仮称)』に出ることになってしまった葉。お気楽な葉に、先生は前回の模様を収録したビデオを貸す。あまりに権威的かつ異様な雰囲気に葉はのけぞった。

 翌週、わたくしは自分の色留袖と袋帯を教室に持って行きました。これは、キモノ嫌いの母親が、それでもこのくらいは、と作ってくれた加賀友禅。知り合いの呉服屋さんが店をたたむのでものすごっく安く買えたけどホントはいいものなのよっと母談。鶯色のどっしりした縮緬に花鳥風月が染め抜かれた、自分でも気に入っている一枚です。大事に着てきたのであまりコンテストなどで着たり脱いだりはしたくなかったのですが‥。

 「あら、いいじゃないの、やっぱり自分のものだと似合うわね」
 羽織って見せると、先生はそう言って誉めてくれました。
 「じゃあこれで出てね。帯もちょうど合うじゃない。うん。決まったわね!」
 決まりですかぁ~‥。誉められるのは嬉しいけど、コンテストで着るのはなぁ‥と困っているわたくし。そこに先生、さらに言います。

 「ところでこれ、比翼は?『かさね』があるの?」
 「‥は?‥」

 そうです、この時までわたくし、留袖には『比翼』が要ることを全く知らなかったのです。
 礼装である留袖は、おめでたいことが重なるという意味で昔は白い着物を下に一枚重ねて着ていた。今ではそれを簡略化して2枚重ねてあるように見える『比翼仕立て』に仕立てることになっている、それが留袖の常識だ、と先生は言うのですが‥。

 「私が持っているのはこれだけですが‥」
 「あらまあ、留袖なのに比翼をつけないなんて。あまりものを知らない呉服屋さんだったのかしらねえ?じゃあね、これ、呉服屋さんに相談して、比翼をつけてもらってちょうだい」
 先生は当然といった調子で言い放ちます。
 比翼をつける?それはオオゴトなのではないでしょうか?

 「えっ‥それって、いくらほどかかるんでしょう?」
 「そうねえ、生地は着物ほどいらないけれど‥結局、着物一枚分ほどはかかるわね。だから、留袖って普通の着物の倍かかりますのよ」

 なんだってーーー!!

 「それは!とてもそんなお金は出せません~。やっぱりこの前の留袖をどれか、貸していただくほうがいいです~」
 「でも、あれではどうもあまり良くなかったでしょ。なんと言っても『きもの道コンテスト(仮称)』ですもの。似合うもので出なくてはね。」

 [出なくてはね」って、別に私出たくて出るわけではないのですが‥。先生の脳内ではそういうことになったのでしょうか。
 先生は、上位入賞するには先ずは着姿が大切だからと懇々と説いて聞かせてくれます。「あなたとても熱心ですもの」って、確かに教室では脇目も振らず練習しています。でもそれはキモノを着るのが面白いからやってるだけで、入賞目指すような種類の熱心さではないのです。「頑張れば入賞できるわよ」って、そんな期待されても困る。

 「そうは言われましても、そんな何万円も使うのは無理ですっ」
 とうとうわたくしも語尾に「っ」がつく語調で申しました。そんなお金かけんといかんなら、もうコンテストに出ること自体やめちゃおうと思いました。

 「そうねえ‥あまり無理してもいけないわねえ。‥じゃあね、私の留袖から比翼を外して持ってくるわ。それを試してみましょう」
 「はあ‥」
 比翼を外す?つける?なんのこっちゃわかりませんが、どうやら仕立て直しなどはせずに済むようです。しかし、これでこの色留袖を着て出ることに決まっちゃったようです。はあ‥。
 似合うとか似合わないとかこの際私にはどうでもいいのですが、「出るからには!」という先生の意気込みに、言い出すことができませんでした。

 それにつけても、先生に言われた「留袖は比翼仕立て」というのが気になりました。これまでこの留袖は2回、結婚式に着ていっているのですが‥そのときは自分で着ていないからよく覚えていないけれど、そんなことは何も言われなかったと思うのです。私の色留袖って、変なんでしょうか?やっぱり直さないといけないのかな?

 不安になっていましたら、和裁経験者でキモノに詳しい友人が教えてくれました。
 昔は色留袖は黒留袖と同じように考えて五つ紋・比翼つきで仕立てていたけれど、最近は色留袖は三つ紋または一つ紋で普通の袷仕立てで作ることの方が多いのだそうです(私の色留も三つ紋)。比翼仕立てにしてしまうと黒留袖の代替としてしか着られなくなってしまうけど、袷仕立てにしておけば訪問着感覚でちょっと改まった席に着ていけるから。そして結婚式などは白の伊達衿を重ねて着ればOKとのこと。

 そういえば、妹の結婚式のときはそうやって着たような気がします。なーんだ、呉服屋さん、別にものを知らんわけではないじゃん。先生はどうしてあんなことを言ったんでしょう?最近の留袖事情を知らんかったのか?知ってて言ったのか?

  「?」をいっぱい出しつつ翌週、教室に行きましたら、先生は何やら『のしイカ』のようなものを持ってきていました。
                 
                         のしイカ‥?

 これを着物の裏に縫いつけて、比翼がついているように見せるのだそう。『うそつき・比翼版』みたいなものですな。ただし、これはわたくしの着物には小さすぎるので、前と裾だけこれでカバーして、襟周りは白の伊達衿をつけて対応すればよい、とのことでした。はあー。めんどくさ。伊達衿だけでいいじゃん、というわけにはいかないのですな、「なんと言っても『きもの道コンテスト(仮称)』」に出るからには。 

     
      こうだったものを                         こうするわけね  

 うちに帰り、言われたとおりにちくちくと比翼・伊達衿を縫いつけていましたら、しみじみと可笑しくなって来ました。わたくしってば、こんな『のしイカ』着物にひっつけちゃって。ほんで、出るのがあの「き~も~のき~も~の~」擁するあのお笑いキモノ道場。ギャグの二段がさね。くくく、笑えるわぁ。

 でも、先生は大真面目にこの『のしイカ』を貸してくれたのです、わざわざ自分の着物から外して。先生にとっては『きもの道コンテスト(仮称)』というのは何万何十万をかけて当然なくらい大切かつ重要なものだから、半端な格好で出させてはいけないわ、と思われたのでしょう。その好意には感謝すべきなのかもしれませんが、申し訳ないことにあんまりありがたくない。
 先生はわたくしも先生と同じように感じていると決めつけて話をしてくるのですが(というより他の感じ方があるとは想像もしてみえないのかな)、先生の常識はわたくしの常識とかなりズレがあるわけで‥。

 すでに「自分はこのようにキモノを楽しみたい」という道が見えていたことは、わたくしにとってはとても幸いでした。もしそうでなければこの騒動で「キモノってお金かかるしいろいろめんどくさいし、やんぴー」とキモノ自体から離れて行ったことでしょう。
 それにしてもこの「お金かかるしめんどくさい」って、キモノをよく知らない人の先入観そのものです。キモノを広めたいといいつつ先入観そのままの世界を作ってどうするのだ。進む方向を間違っとるよ。

 キモノを着る技術だけはしっかりと習わせていただいた。でも、その世界の常識など習いたくない。留袖を着られるようになったことを成果として、とっとととんずらしよう。『のしイカ』ひっつけつつ、わたくしはそんな風に考えておりました。

 余談ですが‥最近知ったことですが、この『のしイカ』、『付け比翼』という名前なのですね。最近は留袖を比翼に仕立てる代わりに取り外しできる『付け比翼』を一緒に作ることも多いようです。そうすればフォーマル・セミフォーマル両方いけますもんね。先生もこれを持っていたってことは、そういう最近の事情を知らなかったわけではないと思うのですが‥どういうつもりで最初「仕立て直して」と言ったのか、今となっては謎です。 


○○の秋

2006年11月11日 | 今日のキモノ

 今日は仕事仲間といつもの『加寿也』でランチの予定。せっかく街に出るからその後いろいろ行こうと着物で出かけました。
  
 着物は『時代着物』さんのヤフオクで3800円だったお召し。昭和初期のもので丈が155センチ・裄が65センチはかなり大きい方。帯は『すうざん屋』で1000円のお釜柄昼夜帯。半衿とうそつき袖がおそろいのハギレ、帯揚はchieさんからの頂き物のハギレ。帯締めは祖母の遺したもの。
 なんか全体の雰囲気が粋筋っぽかったので、渡世人のイメージで帯留めにサイコロ・根付に麻雀牌(ともに竹蔵龍さんからの頂き物)をつけました。題して『遊び人の葉さん』コーデ。仕事仲間に会うのになぜこうなったのか自分でもよくわかりませんが(笑)。
 それにしても今日のいでたちって、お安く求めたものと頂き物ばかり。すごく安上がりな遊び人です。

 加寿也では『殿様定食』なる豪華ランチをいただき(相手が下戸なので酒はなし)、満足して別れたあとのこと。
 まずは大須の『江口屋さん』にて、以前気になっていた帯を思い切って求めようと電話しましたら、一週間前に売れちゃったとのこと。がっかり。
 でも、素早く気を取り直して、そういうことなら『古川美術館』に行こう!と思い直しました。ここで今『女性画家~日本画に見る美の開花』の特別展をやっているのです。

 『古川美術館』には、伊藤深水や上村松園などの作品が集められていて、着物の美人画好きには嬉しいところ。5000円で年間会員になると入場料無料のほかいろいろ特典があるようなので、帯に使うはずのお金で会員になりました。
 夕方近いので人も少ないなか、煙るような眉の優しい顔つきの着物美人、大胆な柄つき・着付けの着姿をゆっくり眺めました。しっとりと、いい時間だ‥。
 併設の『為三郎記念館』では、からくり人形展をやっていました。黄昏時の薄い光の中、数寄屋造りの家屋にひっそりとたたずむからくり人形‥これまた不思議な気分になる眺めでありました。
  

 豪華ランチと絵画・人形鑑賞。食欲及び芸術の秋を堪能した一日でした。


彩匠『背中丼』オフ

2006年11月07日 | 今日のキモノ

 今日はmayさんが片貝木綿を見たいということで、安城の呉服屋さん『彩匠』さんに行ってきました。すうざんさんことりさんも一緒です。
 (mayさんリクエストにより、mayさんはオバQ。ついでにすぅちゃんはU子さんでことりちゃんはP子ちゃん

 彩匠さんは、和裁教室でお世話になっているところ。新聞に載ったときに着ていた片貝木綿も、ここで反物を求めて縫ったのです。ことりさんの着ている着物も同じく彩匠さんとこの片貝木綿かな。mayさんは紬に『すうざん屋』の帯。すうちゃんは粋な縞の銘仙に鮮やかな羽織姿です。久しぶりだなあ。

 ランチをしてお茶して、いよいよ片貝木綿!


 たくさんの片貝木綿。ベーシックなの、斬新なのといろいろ。mayさん、とっかえひっかえいろいろあててみています。それをみんなであれこれ言いながら選びます。「これがいいわぁ」「いつもこんな感じになるの~」「それも似合うけど、でもやっぱりこっちよ!」「これも当ててみるわー」「それもいいわねー」‥ひとのものであっても、着物を選ぶのってなんて愉しいんでしょう。心うきうきわくわく。
 大騒ぎしながら、やっぱり最初にぱっと目についた反物を選んだmayさん。うん、すごくいい感じです。はんなりと優しく、いつものmayさんコーデよりもちょっと色っぽい方向ね。素敵だわぁ。

 ・・とか言いつつ、あれ?いつの間にかわたくしの手に吸いついて離れない反物が~。どうしましょ~~。
 「葉さん、それいいわよ~」「うんうん!」
 あぁ背中丼。いいよね、本当にいい感じだったし、木綿はもう一枚欲しかったし。

 というわけで、上の画像のどこかにわたくしの『背中丼』片貝木綿があります。そのうち和裁で縫うと思うので、また記事にいたしますね。
 実はこれ、mayさんの選んだのと色合いが同じの意匠違い。着物が仕立てあがったら、一緒に着てお出かけしたいわぁ。そだ、また飲みに行きましょう>mayさん。
 木綿だから、多少酒こぼしても安心だしねー。


私のきもの道 着つけ教室編その8 き~も~のき~も~の~♪

2006年11月01日 | キモノとわたくし

前回までのあらすじ:葉はおっちょこちょいにも『きもの道コンテスト(仮称)』に出ることになってしまった。しかし「黒は似合わない」と言い切られ、自前の色留袖で出るよう言われる。そんな葉に、着付けの先生は一本のビデオを貸した。

 それは去年の『きもの道コンテスト(仮称)』地区予選のビデオ。先生が力を込めて「これに出るからには!」と言うこのコンテスト、どんなものなんだろうと好奇心の炎を燃やしつつ、デッキにビデオを入れました。

 画面に映し出されたのは、舞台に居並ぶキモノの群れ。その数200人強。振袖に留袖にカジュアル、それに男性・子供・外国人・団体とそれぞれ30人強の出場者がみんな舞台上にひしめいています。華やかで目がちかちか。

 舞台に群れを乗せたまま、『きもの道学院(仮称)』理事長はじめ来賓の挨拶です。
 「キモノを着ることによって日本の心を美しく」『母親がキモノを着ている家庭では子供の発育が健やかに」「きもの道は美しい日本に続いています」‥
 聞いているとだんだんぐったりしてきたので早送りして、止めたところでは審査員の紹介をやっていました。何とか協会の会長そのほかエライ人がたくさん紹介される中で、極めつけは某元総理。アホな失言を繰り返し、地元では「県民の恥」とまで言われていたこんな奴に、うちら品定めされちゃうわけですか。げそー。

 所期の目的を見る前に疲れ果ててしまいそうなので、びゃーっと飛ばしてコンテスト『留袖の部』。
 『きもの道ランジェリー(仮称)』に着物の袖だけ通して羽織った女性が2列にずらっと並んでいます。うん、確かに色留袖はぽつりぽつりとしかいません。目立つのやだなあ。
 「はじめてください」の声で、皆一斉に丈を決め、着物を着はじめます。うわー、早い。ひとつひとつの動作に無駄がなく、やり直しがない。早い人では3分ほどで二重太鼓まで結び終わってしまいます。一番遅い人でも7分くらい。‥こりゃ、気を入れて練習しないと舞台上で大恥をかくことになるな‥焦るわたくし。
 でも、特別にすごいことはしていないから、練習しだいでは何とかなるかな‥とか考えているうちに、画面では幕間のだしものがはじまっていました。

 緞帳が上がり、美しい女声三部合唱が響き渡ります。
 ♪き~も~の~を着る~のは~すばらしいことなのよ~~(歌詞はイメージです)
 スポットライトが舞台を照らすと、そこには『きもの道ランジェリー(仮称)』の上に着物を羽織った女性が3人佇んでいる‥と思ったら、三人同時にさっと丈を決め、着物を着はじめました。
 ♪心が豊かになって~美しく~なるのよ~~(歌詞はイメージです)

 歌に合わせてコーリンベルトをつける女性三人。息もぴったり。ついでに髪型も化粧も表情もそっくり。衿を整える手つきもそっくり。‥
踊っとる!
 
『踊りながら脱ぐ』ぢゃなくて『踊りながら着る』って郷ひろみ以外にもいたんだあ~‥などというわたくしの思惑とは関係なく、女性三人はあえかな微笑を固定したまま優雅におはしょりを整え、伊達締めを締め、くるくると帯を巻き‥なんかこう‥
 ♪きもの~は日本の心~ららら美しい~日本の心~(歌詞はイメージです)


 
 「ぶ。ぶははははは~~~!!」
 美しいハーモニーに乗った何かこうアレな歌詞と、くるくる着踊りしている女性三人の微笑んだまま固定した表情を見ているうちに、どーにも辛抱たまらなくなってきました。こ、これはいかん。笑える。
 ♪き~もの~はす~てき~~~き~も~のき~も~の~
(歌詞はイメージです)
 ツボにはまって悶絶するわたくし。く、苦しい。
 

 間奏に入り、カメラは客席をなめていきます。観客の表情‥誰も笑っていません!皆「うっとり」という感じです。みんなマジで感動しとる‥なんかコワイです。

 続くきものショーはあまり笑えなかったので早送りして、二次審査「きものと私」スピーチを見ました。
 みんな、微笑をたたえて真面目に語ります。「キモノを着ると、日本の伝統を我が身に纏っているのだという思いで身が引き締まる気持ちでございます」「着付けを学ぶことで日本女性としての心のあり方をも学び」「キモノ、この素晴らしいにっぽんの民族衣装を受け継げた幸せ」‥うへえ。
 このスピーチは一次審査で選ばれた人にしか課されないのでわたくしに回って来る心配はほぼ無用なのですが‥もしもスピーチする羽目になったならば、こんなことはよう言いません。思っている通り「洋服が似合わない体型ですが、キモノを着るとややましなので嬉しいです」とか言ったら、どんなに浮くでしょう。

 どうもわたくし、場違いな所に行くことになったらしい‥とだんだん気づき始めました(遅いって)。どうしよう。
 それにつけても「き~も~のき~も~の~~~」の美しい女声合唱と、三人の女性の着付け踊り。しばらくは脳裏に焼きついて『思い出し笑い』の元になっておりました。