Light in June

文学やアニメ、毎日の生活についての日記。

高校生クイズ

2008-09-09 02:46:53 | テレビ
この間「高校生クイズ」がやっていました。
この番組は小学生か中学生くらいの頃から毎年見ています。
例年だと21時開始だったんですが、今年は19時から。どうしてでしょう。
ちなみに、もっと以前は8月中にオンエアされていました。

今年の高校生クイズは例年と大幅に違っていました。いつもは知力と体力とがバランスよく備わっていなければ突破できないクイズが出題されていましたが、今年は、体力や運など「知」以外の要素を削ぎ落とした問題ばかりを出題。また、例年ならどこかへ旅をして自然に触れ合う機会が設けられるのですが、今年は全てスタジオで収録。総じて、より普通のクイズ番組に近づいたと言えます。

ただし、問題のレベルが非常に高い。素人の目からはかなりマニアックな問題が出題されていました。世界で三番目に高い山や、星座の形状から「御者座」を答えさせる問題など。他にも、「毳毳しい」の読み(正解=「けばけばしい」)とか、数学オリンピックで実際に出題された問題など。

高校生たちの正答率がかなり高くて驚いたんですが、早押しクイズを見ていて思いました。たぶん、問題のパターンというのがあって、彼らはそれを覚えているのだ、と。早押しだから、問題の本当に最初の部分を聞いただけで答える人がいるわけですが、ぼくからすれば、後半の問題がどのようになっているか、想像がつかないわけです。もちろん想像が可能なものもありましたが、「AはBですが、Cは何でしょう」みたいな出題の場合、彼らは「Aは」の部分を聞いただけで、「Dである」を答えてしまうのです。どうしてCが問われたのか、というと、やっぱりCというのは問われやすいからなんだと、そういうパターンだからなんだと思います。彼らはそのパターンを知っているわけです。

あと、星座の問題担当という人もいましたが、これは、クイズでは星座が問われやすいというある種のパターンを熟知していたからこその配役です。実際に、今年の高校生クイズでは、星座の問題が2題も出題されました。

問題の多くは雑学と呼べるものです。あるゲスト(東大生)が、こんな問題が解ければ東大になんか簡単に入れるよ、と言っていましたが、それは恐らく間違いで、こう言い換えなくてはならないでしょう、「こんな問題が解けたって、東大には入れないよ」と。

しかし、彼らの多くは学校の勉強もできるようで、開成や灘を始め、いわゆる偏差値の高い学校の生徒が参戦していました。純粋に数学の問題もあり(ちなみに解き方をオンエアしなかった)、偏差値がクイズの出来に反映されることもあったようです。

彼らは「頭が良い」と一般にはみなされるのでしょうが、それは、彼らがこういう問題を解けるからです。数学ができて、星座の知識もあって、漢字も読めるし国旗も分かるからです。でも、他の知識(要するに「勉強」とはされない知識)はあるのか、というと、それは分かりません。例えばアニメおたくは、アニメや声優、音楽などについて膨大な知識を持っているでしょうが、彼らは「頭が良い」とはみなされません。仮に持っている知識量が同じだとしても、その種類が異なれば、一方は「頭が良い」とみなされ、他方はそうとはみなされません。結局「頭のよさ」というものは「学力」に直結していて、「学力」というものは、あくまで「学校の勉強」のことだからです。知識がなくても非常に頭の回転の速い人がいますが、学校のテストが赤点ばかりなら、「頭が良い」とはなかなか認めてもらえないでしょう。

要するに、彼らは学校で習う事柄(及びその発展)が得意なわけです。社交術はゼロかもしれません。もちろん、それだって器用にこなす人がいるかもしれませんが。ただ、社会が「これができたら優秀だ」と決めている事柄を得意にしているというだけで、その人を「優秀だ」と持ち上げるのは、少しおかしい。それは限られた社会の枠内での論理であって、普遍的なものではありえません。そもそも「学力」の定義など普遍的でありえないのだとしたら、やっぱりそのことに常に懐疑心を抱いていた方がいいと思います。

テレビで高学歴者を持ち上げるタレントを見るにつけ、本当にそう思いますね。
ちょっと理屈っぽいことを書いてしまいましたが。
高校生クイズからはちょっと離れてしまいましたね。