Light in June

文学やアニメ、毎日の生活についての日記。

雑感

2014-04-10 00:56:51 | Weblog
具合が悪かったりして更新できずにいました。

さて、話題のSTAP細胞について雑感。会見を見ていましたが、個人的に大きなポイントだと思ったのは、次の二点。まず、200回以上作成に成功したという点。次に、第三者が作成に成功しているという点。

これらの点に関しては、テレビで大学の先生などがコメントを出していました。またネットのニュースでもちらりと彼らのコメントを読みました。曰く、証拠がないから信用できない。

全くその通りだと思いますが、しかしピントが外れているとも思います。

そもそもいま問題になっているのは、STAP細胞があるかないかということです。しかし、それを証明したとされる論文に疑義が生じたために、その存在は白紙に戻ってしまったわけです。何かが存在することを証明するためには、客観的な証拠を挙げなければなりません。ネイチャーの論文はその証拠を揃えることができなかったので、STAP細胞の存在は証明されませんでした。ですが、不在を証明できたわけでもありません。ここには、「存在」のレベルと「証拠」のレベルという二つのレベルがあると考えることができます。

先の大学の先生らのコメントというのは、この証拠のレベルについてだけ言及していて、存在のレベルの話をしていません。証拠がないから存在しているとは言えないのだ、と主張したいのだと思いますが、しかし不在だとも言えません。つまり、彼らは何も言っていないに等しい。証拠がないから信用できない。確かにそうです。でもいま問題になっているのは、証拠のレベルの話ではなく、存在のレベルの話です。別様のコメントが可能だったのではないでしょうか。

例えば、ぼくは次のようなことを疑問に感じました。彼女は200回以上作成したと言っているけれども、これは明らかに数日で作成できると言っているのと同じです。ところが理研はSTAP細胞が作成できるか調査するには1年かかると言っています。どういうことでしょうか。200回作成したと言うけれども、どの工程から始めてどの工程で終えているのか。同じ作業で200個作成したということなのか。

また、STAP細胞の作成に成功した第三者がいるということですが、世界中の研究者で発見者以外に誰も作成できていないとされる中で、どうしてその人だけが成功したのか、これは非常に素朴な疑問です。いわゆるコツをその人にだけ伝授したのか。もしそうならなぜその人にだけ伝授したのか(その人はインディペンデントではなく身内ではないのか)。なぜその人は成功したことを公表していないのか。

こういった疑問は誰にでも浮かぶはずなのですが、なぜか追及されていません。そうではなく、証拠のレベルの話にすり替わってしまっています。

証拠がないというのは、今更分かり切った話です。ぼくも、今回の会見を聞くまでは、どうやらこの人はとてもずさんな研究をしていて、STAP細胞というのも、そのずさんな研究の結果、誤ってES細胞などが混入してできてしまったものだろうと考えていました。しかし、今日の会見を見てみて、200回以上成功している、第三者が成功しているというのを聞いて、おやと思いました。とりわけ第三者の成功というのはとても大きなことです。というのも、その人の実験ノートを見れば、全て解決する可能性があるからです。また、200回以上作成したという実験も、ノートが残されているかもしれません。そういう点について言及してほしいのに、なぜか記者はあまり重要と思えないことを聞くし、コメントを求められた先生も証拠のレベルの話をしてしまう。

証拠がないから信用できないと切り捨てるのではなく、例えばその第三者に実験ノートの提出を呼びかけるとか、色々できたと思います。


ここまでが1つの話題。
他にもたくさん言いたいことはありますが、長くなりすぎるので手短に。
「悪意」という言葉について様々なことが言われていますが、科学の世界では悪意の有無は問題ではなく、故意にやったかどうかが問題なのだと科学者は主張しています。したがって、故意に画像を変えた行為は改竄であると。しかし、どうやら理研の規定では「故意」ではなく「悪意」という言葉が使われているようです。そうなると、事情が違ってきます。研究所が「悪意」という言葉を選んだこと自体が厳しく問われるべきではないでしょうか。なぜ「故意」ではなく「悪意」だったのかと。もし科学の世界では「悪意」という言葉が意味を為さないのだとすれば(多くの科学者がそうコメントしているように)、どうして理研はわざわざその言葉を用いているのでしょうか。不思議です。

それから任命責任。どうやら随分ずさんな研究をしていたことが今回明らかになりました。ところが、ユニットリーダーに任命されてしまっているわけです。一体どうなっているのでしょうか。業績を残しているからだと思います。その業績の中味までは精査されないのでしょう。

バカンティ教授について。この人についての報道がほとんどなされていないことがすごく引っかかります。かなりのキーマンなはずなのですが。彼の実験ノートを見れば色んなことが分かるんじゃないかって、素人ながら思うわけです。


STAP細胞はないものと決めつけて攻撃的に質問・報道する人、いやSTAP細胞はあるのではないかと擁護するような発言をする人。どちらも情緒的すぎて、あまりよろしくありません。そうではなくて、今回新たに分かった幾つもの事柄に関して抱くはずの数々の疑問点を冷静に検証し、場合によったら取材する姿勢が欲しかったです。

会見での質疑応答やその後のニュースなどを見ても、自分の疑問は解決しませんでした。

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4 コメント

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今回の記者会見 (ネコマ)
2014-04-10 02:06:25
なんだか大袈裟だなぁと感じました。

別に弁護士呼んだりしなくても、
「すみません、本当はこの画像を入れるつもりでした」と生データを見せて、
「詳しい論証についてはまた改めてお伝えします」と、
中間報告で軽く済ませても良かったような気がしています。
なんでわざわざメディアを煽るようなことをするのか疑問です。

あと、STAPに関して海外のメディアは最初から非常に冷静で、理論に対する疑問点などを率直に挙げていました。
日本のメディアとは対照的ですね。
変に盛り上がったり、叩いたり、擁護したりするのはもうウンザリです…。
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複雑な問題 (ペーチャ)
2014-04-10 02:51:10
ネコマ君、コメントありがとうございます。

余りにも多くの問題が噴出し過ぎてしまっていて、始末に負えない感じになってきてしまっている印象を受けました。多くの人にとって大事なのはSTAP細胞があるかないかの一点なのですが、そもそも今回の会見はそれを明らかにすることが目的ではありませんでした。

不服申し立ての内容を詳らかにすることが会見の目的のようで、その過程で法的な語句解釈の問題が生じたのだろうと思います。

理研が彼女一人に責任を押し付けているという主張がありますし、そういうところから、彼女の人権が侵されているとか言われて、弁護士のお出ましになったのかもしれません。よく分かりませんが。

で、日本の科学界のありようとかあるべき姿とかに議論が発展していって、あるいは割烹着が理研のパフォーマンスだとか、これはいじめだとか、女性差別だとか、どんどん核心から離れていってしまっています。しかし今回の会見の質疑を聞いて分かったのは、そういうことが本気で大事だと考えている記者がたくさんいるということ。確かに大きな問題であって、大きいからこそ厄介なのですが、でもSTAP細胞があるかないかというのが焦点になるべきですから、やはりこれは変です。

問題が多岐にわたり過ぎてしまっていて、収拾がつかない感じですよね。

今回の会見はSTAP細胞の存在を明らかにする目的ではないというのも、多くの人にとっては分かりにくいと思います。会見ではなく論文という形で証明しなければならないと考えているのだと思いますが、不親切かなと。核心となるデータを示せないのは、この会見の趣旨とは異なるからで、また次の論文の切り札でもあるからでしょう。

彼女は研究者ですから、たぶん功名心があって、肝心のデータを論文以外のところで公開するのには抵抗があるのではないかな、と勝手に推察しています。なんか様々な憶測を呼ぶ会見でした。

第三者の実験結果を待つか、彼女が適正条件を記した論文を公表するのを待つしかすることは基本的にないのですが、でも今回の会見で明らかになったことの可能性を一つ一つ冷静に検証してゆくのが大事かなと思いました。
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はじめまして。 (さく)
2014-05-09 15:21:28
一か月も前の記事ですがコメントさせていただきます。
端的で鋭いコメントで、こういう人がいることに安心しました。
特に、理研が悪意と故意という言葉を意図して選んでいると気がついていらっしゃる点。
目につくところであるはずなのにあまりに誰もが言及されていないので不思議でした。証拠と存在の話し方にしてもそう。
STAP細胞が出来ると困る方々の権力の力を色々調べていて感じていたので。
ただのインチキ姉さんかもしれませんが…
小保方さんが第二のニコラテスラにならない事を想います。
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はじめまして (ペーチャ)
2014-05-09 21:40:36
さくさん、はじめまして。コメントありがとうございます。

この記事を書いた翌日からこの話題に対する関心を半ば失ってしまっていたのですが、依然として真相は藪の中ですので、もう少し注意深く見守っていようと思います。

個人的にはSTAPがあってもなくても再生医療には発展してもらいたいですね。
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