きのうはロシア料理を食べに行きました。高田馬場。赤を基調としながらも落ち着いた雰囲気のお店で、料理もとってもおいしい。お値段もそこそこといったところで、また是非行きたいですね。
最近買った本について。
タルホの『天体嗜好症』とユアグローの『ケータイ・ストーリーズ』と西田幾多郎『善の研究』と雑誌『国文学』など。他にも100円で買ったのありますけどね、主だったものはこれらです。
タルホを買ったのは、タルホが好きだから。ユアグローは、やっぱり超短編の書き手だということで。西田哲学には最近少し関心があって、「私」の問題を扱っているらしい、ということで、とりあえず代表作を買ってみました。ところがこれ、岩波文庫なんですけど、旧字体で。読めなくはないと思いますけど、ちょっとなあ。今度新しいのに取り替えよう。『国文学』は、明治から昭和までの文学史上の出来事を編年体で記述してあって、1920年代30年代の日本の動きが分かりそうだな、と思ったから買いました。
文学上の「私」の消去というものに関心が向きつつあります。20世紀初頭、広くヨーロッパでは理性的な主体としての「私」の存在に疑問が突き付けられ、「私」は「大衆」へと分散してゆきます。「大衆」の出現はこの頃のことで、とりわけロシアでは、ゴーリキーは特定の個人ではない、集団を主人公とした物語を書くことになります。一人の主人公の消滅、ということは既にチェーホフが試みていたことではありましたが、労働者という大衆の出現はゴーリキーによって文学上に定着させられたと言えそうです(たぶん)。
その一方で、未来派やダダイストたちは理性的なものを破壊、したがって確固とした個性としての「私」を破壊してゆきます。シュルレアリストたちは自動記述の試みによって「私」を消去し、漠とした無意識の領域をクローズアップしてゆきます。何らかの独自性や心理を持った「私」はテクストの陰に隠れ、作者の個性は無化されてゆきます。
この意味で、ロシア未来派に見られる作者の超人的で宇宙的な考え方はむしろ個性の増大を思わせるものがあって興味深い。自己の能力の過信は、「私」意識とどのように結び付いているのでしょうか。また、スターリン時代における個人と集団との関わり方、など調べなければならないことは多そうです。それにしても、色々と調査してゆくと、ロシアにおいては、20世紀的なものの起点にはいつもチェーホフがいます。無意味、一人の主人公の消去、不条理、コミュニケーション不全・・・。いつかは真剣に取り組まねばならない相手なのかもしれません。
ところで、突然ですが、明日からちっとばかし旅行に出かけます。すぐ帰ります。
最近買った本について。
タルホの『天体嗜好症』とユアグローの『ケータイ・ストーリーズ』と西田幾多郎『善の研究』と雑誌『国文学』など。他にも100円で買ったのありますけどね、主だったものはこれらです。
タルホを買ったのは、タルホが好きだから。ユアグローは、やっぱり超短編の書き手だということで。西田哲学には最近少し関心があって、「私」の問題を扱っているらしい、ということで、とりあえず代表作を買ってみました。ところがこれ、岩波文庫なんですけど、旧字体で。読めなくはないと思いますけど、ちょっとなあ。今度新しいのに取り替えよう。『国文学』は、明治から昭和までの文学史上の出来事を編年体で記述してあって、1920年代30年代の日本の動きが分かりそうだな、と思ったから買いました。
文学上の「私」の消去というものに関心が向きつつあります。20世紀初頭、広くヨーロッパでは理性的な主体としての「私」の存在に疑問が突き付けられ、「私」は「大衆」へと分散してゆきます。「大衆」の出現はこの頃のことで、とりわけロシアでは、ゴーリキーは特定の個人ではない、集団を主人公とした物語を書くことになります。一人の主人公の消滅、ということは既にチェーホフが試みていたことではありましたが、労働者という大衆の出現はゴーリキーによって文学上に定着させられたと言えそうです(たぶん)。
その一方で、未来派やダダイストたちは理性的なものを破壊、したがって確固とした個性としての「私」を破壊してゆきます。シュルレアリストたちは自動記述の試みによって「私」を消去し、漠とした無意識の領域をクローズアップしてゆきます。何らかの独自性や心理を持った「私」はテクストの陰に隠れ、作者の個性は無化されてゆきます。
この意味で、ロシア未来派に見られる作者の超人的で宇宙的な考え方はむしろ個性の増大を思わせるものがあって興味深い。自己の能力の過信は、「私」意識とどのように結び付いているのでしょうか。また、スターリン時代における個人と集団との関わり方、など調べなければならないことは多そうです。それにしても、色々と調査してゆくと、ロシアにおいては、20世紀的なものの起点にはいつもチェーホフがいます。無意味、一人の主人公の消去、不条理、コミュニケーション不全・・・。いつかは真剣に取り組まねばならない相手なのかもしれません。
ところで、突然ですが、明日からちっとばかし旅行に出かけます。すぐ帰ります。