ここ6、7年の間、ずっと読みたいと思っていた、E.L.カニグズバーグの『クローディアの秘密』をやっと読みました。もっと幼い頃に読んでおけばよかったのですが、二十歳をとっくに過ぎた今、読んでしまいましたよ。
12歳の少女と9歳の少年の姉弟が家出をして、ニューヨークのメトロポリタン美術館に隠れて過ごしてしまうというお話。そこでミケランジェロ作かもしれないと噂されて評判を呼んでいる天使の像を見つけ、その真偽を確かめようとする二人。大まかなストーリーはこんな感じです。この程度の説明は、本の表紙の折り返し部分に書かれているので、いまここで書いても問題ないでしょう。
ストーリーそのものにはあんまり引き込まれなかったんだけど、後半ちょっとよくなった。ストーリーとは別のところで。そこらへんから、題名になっている「秘密」についての話が出てくる。要するに、人は秘密を持っているから充実できる、みたいな話なんだけど、なるほどなあと思った。こういう話は他のところでも聞いたことがあるような気がするんだけどね。
一番感銘を受けたのは、人間には不可能なことがある、という大人の言葉が真実として紹介されているところ。それは苦々しい事実だけど、こういう真実を子どもは受け止めなくちゃいけないんだな、と思った。それは子どもの心に刺さる棘なのかもしれないんだけども。でも、裏返せばそれは、この本には嘘がないということなんだな。真実というのはときに棘になるから(これもどっかで聞いたような台詞だな)。棘がない児童文学っていうのは、やっぱりどこか甘いところがあると思う。おれは棘があるのが好きだな。そういうところがまた心に残るんだよね。
やはり嘘がない児童文学としては、フィリパ・ピアスの『トムは真夜中の庭で』がある。この本はすばらしい。「児童文学」の枠組みの中で語られるけど、「大人になること」がよく描かれている。もっと言えば、大人になることの切なさが。それと「時間」について、そして「出会い」についてが、うまく主題化されている。宮崎駿はこの本に影響を受けていると思うよ。特に『ハウルの動く城』。『トムは真夜中の庭で』は、一番の仕掛け、というか、オチはすぐに察しがついてしまったんだけど(これも二十歳を過ぎてから読んだ)、分かっててもラストは感動的だ。ああ、小学生くらいのときに読んでればなあ。運命の本になってたかもしれないのに(仮定法)。
さて、『クローディアの秘密』に話は戻りますが、この話は現代的な冒険譚です。『トム・ソーヤーの冒険』みたいな冒険はありませんが、現代っ子ならこんな冒険をするんじゃないかっていう作者の想像力の賜物でしょうね。男の子よりも女の子向きかも?
12歳の少女と9歳の少年の姉弟が家出をして、ニューヨークのメトロポリタン美術館に隠れて過ごしてしまうというお話。そこでミケランジェロ作かもしれないと噂されて評判を呼んでいる天使の像を見つけ、その真偽を確かめようとする二人。大まかなストーリーはこんな感じです。この程度の説明は、本の表紙の折り返し部分に書かれているので、いまここで書いても問題ないでしょう。
ストーリーそのものにはあんまり引き込まれなかったんだけど、後半ちょっとよくなった。ストーリーとは別のところで。そこらへんから、題名になっている「秘密」についての話が出てくる。要するに、人は秘密を持っているから充実できる、みたいな話なんだけど、なるほどなあと思った。こういう話は他のところでも聞いたことがあるような気がするんだけどね。
一番感銘を受けたのは、人間には不可能なことがある、という大人の言葉が真実として紹介されているところ。それは苦々しい事実だけど、こういう真実を子どもは受け止めなくちゃいけないんだな、と思った。それは子どもの心に刺さる棘なのかもしれないんだけども。でも、裏返せばそれは、この本には嘘がないということなんだな。真実というのはときに棘になるから(これもどっかで聞いたような台詞だな)。棘がない児童文学っていうのは、やっぱりどこか甘いところがあると思う。おれは棘があるのが好きだな。そういうところがまた心に残るんだよね。
やはり嘘がない児童文学としては、フィリパ・ピアスの『トムは真夜中の庭で』がある。この本はすばらしい。「児童文学」の枠組みの中で語られるけど、「大人になること」がよく描かれている。もっと言えば、大人になることの切なさが。それと「時間」について、そして「出会い」についてが、うまく主題化されている。宮崎駿はこの本に影響を受けていると思うよ。特に『ハウルの動く城』。『トムは真夜中の庭で』は、一番の仕掛け、というか、オチはすぐに察しがついてしまったんだけど(これも二十歳を過ぎてから読んだ)、分かっててもラストは感動的だ。ああ、小学生くらいのときに読んでればなあ。運命の本になってたかもしれないのに(仮定法)。
さて、『クローディアの秘密』に話は戻りますが、この話は現代的な冒険譚です。『トム・ソーヤーの冒険』みたいな冒険はありませんが、現代っ子ならこんな冒険をするんじゃないかっていう作者の想像力の賜物でしょうね。男の子よりも女の子向きかも?