けろっぴぃの日記

最近、政治のことをはじめとして目を覆いたくなるような現状が多々あります。小さな力ですが、意見を発信しようと思います。

「激論!原発再稼働と日本のエネルギー」を見てのコメント~その3~

2015-03-10 00:40:10 | 政治
二日分のブログで「激論!原発再稼働と日本のエネルギー」へのコメントを書かせて頂いたが、最後に本筋と違うところでのコメントを二つほど追加させて頂く。

まず一つ目は、山本一太参院議員とNPOハッピーロードネット理事長の西本由美子氏の指摘されていた問題についてのコメントである。まず、西本氏の発言の中でナルホドと思った部分がある。この方は、ウクライナまでチェルノブイリに関する調査に行ったそうで、その先で見てきたことの中に、「コンパクト・シティ」の活用が重要とのことであった。コンパクト・シティと言う言葉が有名になったきっかけには、夕張市長の鈴木直道氏の活動であろうか?報道でも良く特集されていたが、財政破たんした夕張市としては行政サービスのコスト低減が必要な訳で、今までの様に広いエリアに低い密度で散在する住民に対し、効率の悪い行政サービスを継続することは出来ず、そこで単純サービス打ち切りとするには忍びないので、住み慣れた住居を離れて市の中心部に住民を集約し、そこに質の高いサービスを集中させることで行政サービスとのコストを低減し、一方でサービスの質は寧ろ向上させるという考え方である。当然、住み慣れた場所を離れてもらう必要があるので、住民の多くは当初は反対して聞いてもらえなかった。そこで市長は小さな町の集まりに頻繁に出向いて、そのコンパクト・シティの必要性を繰り返し繰り返し説くのである。その誠意ある対応に、やがて住民は移住を決意し、徐々に行政サービスの効率化が進みつつあるのだという。都会の東京から田舎の夕張市に移り住んでまで、その町に人生をかける若者市長の熱意が如何に熱いかが伝わってくる。この様なコンパクト・シティの発想が福島でも有効ではないかと言う提案であった。

この様な流れの中で山本氏からあった発言が興味深い。福島の町で除染が終了しても、そこに戻りたいという帰還希望者は2割ぐらいだという。これは町に戻っても仕事がなければ経済的に成り立たず、しかも買い物をしたくても買い物をするお店がなければ生活できない。医者やその他のサービスも寂れてしまっては戻りたくても戻れない訳で、これらをひっくるめた復興計画がなければ帰還は現実的ではないという。

であるならば、福島第一原発の周辺の例えば避難指示解除準備区域などの様にある種象徴的エリアで、且つ除染などで生活可能なレベルに放射線量をコントロール可能な地域をスポット的に3~5カ所程度を選定し、そこを特区としてそこに法人税を優遇して企業を誘致し、その周辺に格安の居住設備(アパート等)を作ると共に、医療機関を始めとする各種インフラを集中的に国策的に投入するのである。その一つには、原理力関連の研究施設も造り、将来必要となる廃炉ビジネスのスペシャリストを育成するのである。仕事があり、住処があり、各種インフラもあり集中的な除染などで安全性が確保できれば、そのコンパクト・シティは賑わいを取り戻すであろう。本当に自分が生まれた家の周りに帰還することができなくても、そのすぐ近所の町まで戻り生活することができたなら、セカンド・ベスト的に福島の再生を象徴する存在になり得る。福島第一原発の周辺の多くの地域を広範囲で復興したくても、職もなければお店もない状態で復興計画は成り立たない。ここではコンパクト・シティ化が重要で、基点となる街を作り上げてから徐々にその周辺に復興を拡張するのが効果的なのだと思う。

さて、次なる気になる点は次のニュースに対する対応である。多分、ジャーナリストの藍原寛子氏の発言だったと思うが、福島在住の個人の放射線被ばく量の測定結果を、GPSを活用しながら自動収取するという計画に「ケシカラン!」と噛みついていた。多分、下記の記事のことを意味していると思われる。

福島民報 2015年1月13日「個人被ばく線量 政府がGPSで自動収集検討

全く笑ってしまう記事で、米軍が軍事用に開発したGPS(Global Positioning System:全地球測位網)にデータを送信という、とても新聞記者とは思えない記事を書いている。多分、このシステムは下記の資料のシステムと思われる。

国際廃炉研究開発機構 2014年6月9日「国際研究産業都市における帰還住民の健康支援

元々、路線バスなどの移動体に装着されて空間線量を定常的に広範囲で測定していたシステムを個人用に改良したシステムの様で、データの収集はGPSなんかで行われるはずはなく地上の(無線)ネットワークで行われ、細かな狙いなども以下の様に説明されている。

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また、個人線量被曝の追跡についても、個人が超小型の線量計を携帯し、被曝線量が、位置情報(GPS)や時刻とともに自動的にネットワークで集約されるシステムを開発中である。これにより、個人の行動に伴う被曝線量の経緯が全自動で確認できる。既存の他の手法では、線量計を読み出した上で、データを観ながらカウンセラーが被曝のあった時の状況を問診で確認する方法がとられているが、データの信頼性や手間がかかるという問題がある。提案する方法は、特に、どこで何をしていたかを十分覚えていないような子供にも適用でき、データ読み取り等の手間がかからない。開発中の装置は、個人被曝線量をその行動と共に、全自動で測定できる超小型のシステムである。線量測定センサーと回路の設計はすでに完成し、実証試験までを終了している。
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つまり、時刻と場所情報と共に被ばく量が記録され、それを自動的にネットワークに集約されて、さまざまな活用が出来るという。この場所情報が重要な訳で、例えば子供が裏山でカクレンボをしていた際に被ばく量が増大していたとすれば、子供たちにその裏山に近づかないような指示を早急にするとともに、その裏山の除染を速やかに手配する必要がある。しかし従来のやり方ではこの様な速やかな対応は不可能である。何故か特定の子供だけが被ばく量が多くても、その子供の被爆を防ぐ手だてがない。バスなどの移動体で収集したデータに基づく線量マップは、あくまでも車が通れる場所しか測定されないが、特に被ばくに対する耐力の弱い子供ほど、想定外の場所で被爆する確率が高いから、この様な子供が被ばくすることを効率的、且つ速やかなフィードバックが可能なシステムは、福島の復興の上でも生命線になり得る重要な課題である。しかし、これらの反原発の人にはこの様な活動が受け入れにくいらしい。

変な話であるが、沖縄の普天間基地問題で大騒ぎする人たちは、普天間飛行場が危険だから基地の返還を求めている。その様なラディカルな多くの活動家は、普天間飛行場の近くで米軍機が飛来すると、それに合わせて大型のバルーンを打ち上げて、米軍機の飛行を邪魔するのである。「基地に反対だから、飛行の邪魔をする!」と言うのだが、このバルーンのせいで事故確率は格段に高まっている。「危険だから基地反対!」と言う人が、更に危険な状況を意図的に生み出すという不思議な状況がある。彼らは、これで米軍機が民間人の住宅街に墜落すれば、米軍基地を追い出せるだろうと考えているのだろうが、到底、民主主義の国で許される行為とは思えない。しかし、これを取り締まる法律の不備があり、野放しにされている。しかし、その様な現状を報道するマスコミはいない。

先程の福島の話に戻れば、「子供の安全が第一」と「どうしても故郷に戻りたい」という願いの両立を図る中で、どうしても避けては通れない細部まで気の利いた線量管理を実現しようとすると、それに反対するというのが非常に類似していると感じる。当然、この装置の携帯は義務ではなく、希望者を対象にしている。であれば、それに対して「福島県民はモルモットじゃない!」とこれまた感情論に訴えて、結果的に福島の子供達を危険に晒す様な行動は、論理的に考えれば全く理解不能である。しかし、反原発系の方々にとっては自然に受け入れられる主張らしい。しかし、司会の田原総一郎氏も「安全の為に良い話じゃないのか?」と食って掛かっていた。

この様な話を色々聞くにつけ、少しづつ事態は快方には進んでいるのは確かなようだが、しかし、満足できるような歩みではないことは確かである。論理的な議論を主流派に繋げることが、この様な福島の復興への近道ではないかと感じた放送であった。
(完)

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