Catch Ball

修業の時計を止めない教師でありたいです。

新学期スタート 2

2011-04-12 22:44:44 | 教師修業
 このあと,子どもたちの横に立って一緒に校長の話を聞いていたが,思いもよらぬ事件が起こった。

 1人ジャンパーのフードをかぶっているのが目に入った。
 A君である。
 激高するとパニックになり,手がつけられないほど暴れる。最もマークすべき存在の一人である。

 「どうしたのですか。帽子をかぶって」
 「髪を切ってきたので…」
 「でも,いつまでもこんなものをかぶっているわけにはいきません。取りましょう」
 「いや…」
 「いいから取りなさい」

 抵抗するのも構わず,力任せにフードを引っ張った。
 「ビリッ」。
 初めはファスナーが外れたのだと思ったが,そうではなくジャンパーが破れてしまったのである。

 これは一大事である。
 パニックになり,大暴れすることを覚悟した。
 A君はジャンパーの破れた部分を気にして,しばらく触っていた。

 「ごめん。これは先生が悪かった。破れてしまったみたいだ。あとで直すから」と言ってきかせた。
 すると,意外なことにA君は落ち着いた。
 ジャンパーの破れなど全く気にしなくなり,校歌も歌っていた。
 このあと,ジャンパーは特別支援コーディネーターの先生に直していただいた。

 教室に戻り,本格的な子どもたちとの出合いである。
 事前に考えたシナリオ通りに進めていく。

 「おはようございます」と挨拶すると,「おはようございまーす」と返してきた。
 「5年生らしい挨拶ではありません。『まーす』などとだらだら伸ばしません」と言い,即座にやり直しを命じた。
 このやり直しをさせることもシナリオ通りである。

 1人1人の名前を呼んでいった。
 「先生がしてほしい返事は『はい』ではありません。『はいっ!!』です」と言ってから呼名した。
 きりっとしたいい返事が返ってくる。
 1人1人に「いい返事です」「満点です」「元気があっていいです」と評価していった。

 その後,自己紹介をし,質問タイムに入った。
「先生には秘密や特技がたくさんあります。
 でも,先生は嘘つきなので,めったに本当のことは言いません。
 言っていることの70パーセントは嘘です。
 ただ,今日はみんなとの出合いの記念日だから,今から3分間だけは本当のことを言いましょう」
と言ってから始めた。

 出た質問は,「結婚しているのか」「誰と結婚したのか」「何歳か」である。
 「何歳か」の質問の頃には3分経っていたので,28歳と嘘を答えた。