渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

映画『ワイルド・ギース』ブルーレイ ~決定版!日本語吹替版あり~ (2017年記事再掲載)

2022年01月25日 | open



日本語吹替版がどうして観たくて
ブルーレイを購入した。

東北新社から出されたDVDのボー
ナス解説トラックが史上最低の

クソトークだったので、DVDは
歴史上の最低編集の最低円盤と
なっていたが、
このブルーレイ
はそういうことはない正統派
メディアだろう。
この初ブルーレイは、なかなか
凄い内容だ。

・オリジナルネガより製作した
 HDニューマスター版

・デジタルリミックスによる
 5.1ch音声を世界初収録

・TV版日本語吹替音声(テレビ
 朝日「日曜洋画劇場版」)を収録

・ユアン・ロイド、ロジャー・
 ムーア等による音声解説を
 初収録

・ファン筋然の貴重な映像を満載
 した特典ディスク付き
(メイキング
 /各種インタビュー/製作者ドキュ
 メンタリー/予告編 他)


映画作品の洋画は原音で観る
のが基本だと思う。
ただ、私は日本の声優は俳優で
あると思っているので、声の俳優
さんの演技もぜひ堪能したいのだ。
特に『荒野の決闘 ~愛しのクレ
メンタイン~』などは、日本語
吹き替えの声優陣の演技が秀逸
で恐れ入った。
また、どうしてもクリント・イー
ストウッドなどは山田康雄さんの
あのトボけた人を喰ったしゃべり
方が合っているように思えるのだ。
原音のイーストウッドはスティー
ブン・セガールのようにボソボソッ
と話すのだが、あれは演技だ。
作品によっては軽快に早口で明瞭
にクリントはしゃべる。
吹き替えの山田マジックでは山田
キャラが活きて来て別キャラの
ようになる。

この『ワイルド・ギース』は実際
にコンゴに実戦投入された傭兵
部隊の第五コマンド=ワイルド・

ギースから名称を取っている。
各地を転々とする並んで飛ぶ渡り
鳥の姿が野性の雁の飛ぶ姿に
ソックリだからだ。降下作戦で
落下傘降下する姿はまさに野生
の雁たちが飛ぶ姿そのものだ。
ギースとはグース(野性雁)の
複数形のことである。
そのため、航空機から管制塔に
着陸許可を申請する時には
「こちらはワイルド・グースだ」
と言っている。そういう細かい
ところも映画の見所だ。
さらにこの作品の軍事アドバイ
ザーは本物のワイルド・ギースの
指揮官だったマイク・ホアー
中佐本人が担当した。
そして・・・イアン・ユーリ
はじめ、本物の当時の傭兵たち
が実に多くこの作品の撮影で
傭兵役のエキストラをやって
いるのだ。
ユーリのみ俳優として名前が
出てくるが、他のメンバーたち
はテロップにさえ名前を出さ
ないようにしている。
使用銃は、映画版『戦争の犬
たち』がイングラムをUZIの
ように見せかけたUZIグラム
と呼ばれるナンチャッテガン
を使っているのに対し、こちらは
すべて実物を使用している。
将校はUZIを使い、下士官と兵は
FALとL1A1(英軍FAL)を使用し
ている。
また将校は護身用短銃として、
1970年代当時はまだメジャー
だったワルサーP38を使用して
いる。日本軍でも個人的に装備
していた将校たちもいたりした。
(日本軍は将校・下士官の軍刀
と拳銃は自弁で揃える必要が
あった。私の伯父は少尉だったが
ブローニングM1910を携帯して
いた。この銃は峰不二子の愛銃
として有名だが、戦後1980年代
まで日本の私服刑事の多くに
配備されていた。38口径と
.32口径の二種があり、日本
警察の場合は.32口径が多かっ
た。この流れで、現行標準配備
の私服刑事やSPなどに配備され
たシグ・ザウエル社のP220-JP
採用の際には.32口径が円滑に
採用されたのではなかろうか)

映画『ワイルド・ギース』は
各シーンの表現描写において
かなりリアルだが、これは作品
のスーパー・バイザーの役目を
担ったマイク・ホアー中佐の
アドバイスによるものだろう。
指揮官役のリチャード・バートン
はマイク・ホアー本人の役どころ
だが、非常に容姿骨格もホアー
中佐本人に似ている。ホアー氏も
あまり長身ではなかったが、
リチャード・バートンもそうで
あるし、何よりも顔の雰囲気が
似ている。

リチャード・バートン。映画
『ワイルド・ギース』から


マイク・ホアー中佐。某国政権転覆
の傭兵作戦失敗で民間機をハイジャ
ックして脱出したため逮捕収監され、
公認会計士の国家資格は剥奪された。
民間旅客機は強奪ではなく、機長ら
の協力による脱出行為だったが、
国際法上はハイジャックとされた。
傭兵は国際法上はテロリストなの
である。現行国際法では傭兵の
存在自体が禁止されたため、現行
傭兵は警備会社のガードマンと
いう名目になり、内実としても
組織も気質も旧来の傭兵は一切
消滅した。
今の傭兵たちは大国の利益の為だけ
に戦闘行為を行なうが、かつての
傭兵たちは西も東も関係なく義勇
軍的な戦闘にも参加した。参加条件
は報酬の多寡ではなく、戦闘行為
がもたらす先の中身如何だった。
そこが現代戦争屋と大きくきっぱ
りと違う点だ。
そういう意味でも現代PMCは従来
の概念での「傭兵」とは呼べない。



本物の傭兵ワイルド・ギースたち。
これはコスプレではない。


これはあくまでコスプレ。
だってこれはあくまで俺だから(笑


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