渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

シース、ホルスター、ベルト、リグ

2020年08月25日 | open
ナイフの鞘はシースと呼ばれ
る。
ホルスターというと主に拳銃
の容れ物を
指し、ガンベルト
というとベルト+ホルス
ター
を指すことが多い。
さらに、リグというのは、拳
銃のベルトと
ホルスターとい
う物理的な物体を指すだけ

はなく、装備としてのガンベ
ルト全体の
ことを指す米語だ。
 
ナイフでもこの図のような拳
銃のフロント
サイドポジショ
ンホルスターのようなシー
スもある。日本国内には個
人カスタム作品以外
では全
く存在しない。


これなどは銃のホルスターぽい。
これも刀身を横にしてベルトに
装着できる
仕様になっている。


これもそうだ。


これもホライズンセットのベ
ルトループが
ある。


横抱きもベルトへの縦吊りも
ある二択の
シースだ。極め
て優れた発想とデザイン
だ。


タクティカルナイルの場合は
システム
セットパーツにより、
ベルトへの装着
向きを変更で
きる。
バックサイドポジションは活
動を阻害
せずにとても便利だ。
シティタクティカルナイフの
場合は、
コンシルード性が高
くなるため、米国で
はこうし
た携帯方法も特殊部隊員や工
エージェントでは採用され
ている。







腰のベルトの位置に刀身が
カンヌキのよう
に横抱きに
なっているのは、実はとて
実用的にも使いやすい。
これはタクティカルシース
のためセッティ
ングで装着
向きが変えられるシステム。




これはベルトに垂らし下げの
タイプの
レザーシースのルー
プ幅最大に寝かせて、
無理や
り日本刀方式の装着にした状
態。


これは吊り下げ式の標準携行
法のシステム
を利用してベル
トループで横抱きにした
軍用
プーコ。こちらはナイフ自体
が非常
に優れたレンジャーナ
イフだ。災害時にも
一番信用
できる。

この位置にナイフを帯びる
のは、とてつも
なく使い易
いのだ。日本刀と同じ左腰で
カンヌキ=地面に並行に真っ
直ぐに差す。
江戸期には、徳川実紀などに
よると、武士
刀のカンヌキ
差し
は即抜刀斬りのポジ
ョンなので、武張っ
たもの
であるとし
て、登城武士た
ちはほん
のやや刀を起こす
セキレイ差しというポジシ
ョンを平時の
フォーマルと
していた。45度まで起こす
とそれは
落とし差しといっ
てだらし
ないものとされた。
江戸期武士の通常は
ほんの
僅か、鶺鴒(セキレイ)の尾が僅
かに
やや水平より角度が付く
ような鞘の角度に
刀を帯びた。
 
カンヌキは、実は邪魔になら
ない。
即抜きポジションは、抜刀だ
けではない
実用性も偶然に加
味されている。
江戸期の武士などは刀を「抜
きにくい
位置」にすることこ
そが
作法心得心遣いとされ
ていたという合理主義を排
した社会
通念があった。故に
刀掛けでも鳥居形を
崩す小刀
上掛けなどは存在していない。

バックサイドダウンポジション
での装着。
日本刀では、奴差しなどと
も呼ばれるが、
崖を登る時
などは、中間(ちゅうげん)の
ヤッコでない武士でもこのよ
うに刀の柄
を後ろに回して
崖や石垣を登る。
普段は非合理であっても建前
を旨とする
武士社会ではある
が、戦闘局面では実用
性重
視を徹
底させていた。武士
は「戦う
種族」だからであ
る。
それに通じる実用性重視の、
というかそれ
しかない現代ア
ウトドア活動は、合理主義

な事柄が重視される。
これは、簡易安全なキャンプ
でさえも、
実用性こそが第一
義とされて優位性を持
つ。
故にグランピングなどはキャ
ンプで
もアウトドア活動でも
何でもない。
地上最悪の野外活動の紛い物
がグランピ
ングだ。下手した
らテントに電気式エア
コンを
設置するかような発想に凝
り固まっ
ているのがグラン
ピングだからだ。
 
ところで、日本国内では、ア
ウトドアで
私以外にナイフ
刀のように左腰に差す
よう
に携帯する人
は見たことが
無い。
皆無。
北米などでは非常に多いのだ
が、元来日本
の帯び方と
同じポジションを日本人が
全く採用せず(知らないか
ら?)、日本刀と
は無縁の
アメリカ人が実用性から左
腰の
ベルトにナイフを日本
刀のように帯びる
ことを
くやっていることは、社会
文化的
現象としては非常に
面白い。

アメリカでも、標準的で一般
的なナイフの
帯び方は切先を
真下にしてベルトにシース

ループを通してぶら下げるこ
となので、
日本人はそれを真
似しているのだろう。
また、多くの入門書などは
「ナイフはこう
やって携帯す
るのが正しい」などと、一本
調子で一つの携行法しか解説
していない。
日本の野外活動普及者は視点
が狭過ぎる。
世界観も狭過ぎる。
日本では稀有な存在としてア
ウトドア洋式
ナイフを左腰
カン
ヌキに差して帯びてい
る私は、日本刀の用法を意
識してもいる
が、主たる要
は実用性からというアメ
カン方式の発想からきて
いる。
日本人は決められた事しかや
ろうとしな
い。
また、こうだと教えられた事
から抜け
だそうとはせず、集
団で金太郎飴をやって
それで
満足している。
ナイフの左腰帯刀形式の帯び
方をしない
人だらけなのはそ
のためだろう。
そして、ミリタリーベレーが
かぶれないのが
日本人のほぼ
全体であるように、ナイフの
携帯装着法についても視野を
開かない。
 
いろいろ自分でやってみれば
いいのにな
あ。
教習所が如何に嘘ばかり教え
ている「決め
事動作」の伝習
所でしかないことが理解
でき
るのに。
固定観念で凝り固まるのはよ
くない。
 
上着で見えないが、左腰のベ
ルトに大型
ナイフを差してい
る。(2000年)


左手で見えないが、左胸スト
ラップに
ハンドルを下にして
コンバットナイフ
を装着して
いる。(「週刊読売」から
1984年)
 
ナイフの携帯装備方法につい
て、固定的な固着に拘泥する
のは思考停止であろう。



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