富士山

日本人はなぜ富士山に惹かれ
るのか。
というのがずっと疑問だった
が、西日本に転居してから、
それは全国版意識ではない事
を実感した。
西日本では、馴染みの無い富
士山には人々はさして興味は
抱かない。
東日本、とりわけ富士山が毎
日見えるエリアの人々と全く
まるっきり感性が異なる。

昨日邦画『日本誕生』(1959)
を観た。
日本神話をベースにしたスサ
ノヲからヤマトタケルの話だ
が、その中でヤマトから下向
したミコトが富士山を見るシ
ーンがある。地元の者があが
めているというミコトが初め
て観た富士山は噴火していた。
神話の世界であり、推定年代
も記録の無い時代だが、ヤマト
の人間にとって富士山は未見
の山であり、富士が見られる
エリア以外では、外威征伐で
下向したヤマト人のみが富士
山を実見した事だろう。
無論、万系一世を旨とする大
王(おおきみ)でさえ、富士山
を見た者は歴史上一人もいな
い。見たのは明治以降の新天
皇制度時代になってからの事
だ。
そして、その「馴染みの薄さ」
「富士山についてピンと来な
い感覚」は現代にあっても西
日本においては続いている。
それは現日本人の主流の意識
のベースが、古代から続くヤ
マト中心に形成された歴史的
背景によるものだろう。

なお、現在の日本国は制度上
「首都」を定めていない。
つまり、厳密には明治以降の
現在の日本は「都」が存在し
ない。
東京を首都とするのは、あく
までも事実上の行政機関の立
法府として機能している都市
として「東京」を形式的な首
都とみなすと解釈しており、
法規法令で首都を東京とは定
めてはいない。
それどころか、国の正式名で
ある国号も日本国は法文上定
めていない。
首都だけでなく国号＝国の正
式名称も定めず存続している
国家。
これは、地球上では極めて珍
しい国となっている。

日本は国としては「仮」の姿
を継続している国なのだ。
その仮の状態は、かなり長す
ぎる。
いつまで「仮の国」が続く
のか。
神州日本も戦後の立憲民主
国家日本も、どちらも全て
まやかし。
独立主権国家としての真日本
は未だ到来していない。
これが明治ニセ「維新」の
成れの果てだ。
国家を持たない国民は、仮
装国家を国家と信じて百万
人以上が短期間に死んでい
った。