渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

日本刀研磨師の手業

2020年09月02日 | open

久しぶりに良作映画『武士の献立』
(2013/松竹)を観た。
この作品はきめ細やかに、役者の
演技も表現演出も編み上げられた
かなりの佳作だ。
脚本が優れれているのと同時に、
監督の手腕が冴えた一作だ。

作中、主人公が差料を自ら研ぐシーン
がある。奸計を計った藩の家老を
討つためだ。

やけに日本刀研磨の独特の「構え」も
しっかりしている
なあと思ったら、
本職の日本刀研磨師
が技術指導をして
いた。

そして、驚くべき事がある。
私はこの作品の初見では、このシーン
での日本刀は真剣だと思っていた。
しかし、個人的に技術指導の研師の
関係者から撮影裏話を聞いた。
この刀は何と模擬刀なのだそうだ。
模擬刀に真剣に見えるような加工を
日本刀研磨師の技術で施したのだと
いう。
これはしたり。してやられた。
映像上はどう見ても真剣にしか見え
ない。化粧研ぎの中の焼刃まで真剣
そのものに表現された、いわばリアル
なステージガンならぬステージソード
だったのである。
本職の技術者というのは凄いものだ。

 

 

 


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