渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

人造人間キカイダー(1972)

2022年08月24日 | open



1972年放送開始。
原作石森章太郎。
前年から始まった『仮面ライダー』
と人気を二分する作品だった。
私個人はライダーよりもキカイダー
のほうがかっちょいいと思ってい
た。ギター背負ってオートバイて
のはチョホイトまちなーの日活
無国籍映画かよ、だっせー、とか
思ってはいたが。

サイドマシーンというカワサキ
マッハのサイドカーもやたらと
カッコよかった。

主題歌は秀夕木さんが歌う。
日立のCM「この木なんの木」を
歌っていた人だ。
このキカイダーの主題歌は50年
経った今でもソラで歌える。
当時、「電流火花が体を走る、
ってショートしてんじゃん」とか
小学校の仲間内で話題になった。
悪の組織ダークの首領プロフェッ
サーギルは江戸出身なのか「ダー
クの秘密(しみつ)」と言っている。
何度も(笑

『人造人間キカイダー』は実は
ハカイダーが哲学的示唆を成し
ていた。
テレビ番組は幼稚だが、原作の
少年サンデー連載の漫画は、か
なりシリアスなテーマの展開だ
った。
これは『仮面ライダー』も同様
で、原作漫画では、改造人間の
醜い手術痕を隠すためにマスク
被るのが大学研究員の本郷猛
った。仮面ライダーは傷隠し
の為に仮面のライダーとなった
のだった。
テレビ版でも初期はその設定で
あり、マスクを脱いだ本郷猛が
首から下はライダーままで何
度か登場した。

仮面ライダーは改造人間。
キカイダーは人造人間。
ライダーは半人間としての苦悩、
キカイダーは人間にとって最も
大切な「良心回路」を付与され
ていたのに人間ではない事の
悩。
両作はテーマは似ていたが、内実
は深刻な別次元の問題として提起
されていた。
小学生たちの中では、その事に
ついての議論が交わされていた。
時はベトナム戦争頂点と沖縄返還
の年だ。
子どもたちは、人間の幸せとは、
について考えざるを得ない環境
の中で生きていた。
また、当時のテレビドラマは、
たとえ子ども向け番組であって
も、社会的箴言を伴う作品だっ
た。
特に実相寺、金城が手がけた
円谷作品はそうだった。
子どもたちは、それらの作品群
を見て育ち、「自ら考える事」を
手に入れていた。

キカイダーはピノキオのようには
最後は人間にはなれなかった。
哀しみの戦士がキカイダーだった。
私は仮面ライダーよりもキカイダー
が好きだった。
それはウルトラマンよりもセブン
が好きだった感性に似ている。



この記事についてブログを書く
« 新500円玉 | トップ | ネット民の犯罪 »