渓流詩人の徒然日記

知恵の浅い僕らは僕らの所有でないところの時の中を迷う(パンセ) 渓流詩人の徒然日記 ~since May, 2003~

野外用まな板セット

2020年07月04日 | open
 


野営活動用の野外まな板セットの包丁を
切れ味鋭く耐久性のある骨スキ包丁用に
中の収納スペースを手彫りでくり抜いて
凹穴を広げて加工しました。
 
丸ノミ無しでヒラマチと両刃ナイフのみ
加工。
湿気吸いのティッシュに絡んで包丁収納。


ピタリパチンと閉じるまで微調整で彫り
ます。


完成したら米軍アリスパックに入れておき
ます。
このパックは普段は災害避難用のエマー
ジェンシーザックとして室内に常備
して
います。


純正のキャンプペティナイフは御役御免。
今後は家庭での皮剥き用包丁として働いて
もらいます。


今回の作業で一番働いたのはこれ。
土佐打刃物の木工ナイフで、炭素鋼両刃
の極小ナイフです。
これをヤリガンナのようにして木の表面
を削いで行くのですが、とても使い易い。
研ぎは平地をやや浅いハマグリにしてあり
ます。
今回は丸ノミ丸彫刻刀無しであえて彫りを
やってみました。削ぎの動きはテコ原理
を多用。


 

球磨川氾濫

2020年07月04日 | open


ひどいことになってる。



セイバーグラインドとスカンジグラインド

2020年07月04日 | open



セイバーグラインドとスカンジグラインド

ネイチャーガイドでナイフ
ビルダーの
大泉聖史さんが
分かりやすく解説して

くれている。ご自身でいろ
いろ調べ直し
てみたそうだ。
私は「スカンジグラインド?
聞いたこと
ないなぁ。そりゃ
セイバーだべ」とかずっと
思っていたが、やはり「ブッ
シュクラフト
ナイフ」という
物が登場してからのごく最近
の呼び名のことだった。
昔の私の過去記事を読んでみ
ても、セイ
バーで私は呼称を
統一していた。

スカンジグラインドという呼
び名は
ここ最近の新呼称です
ね。


奇しくも、本早朝、私が日記
で使用した

ブレード断面形状の呼び名の
図は、私の
過去記事から引っ
張ってきたものに新たに
「ス
カンジ」を書き加えたものだ。
同じ物として私は取り扱って
いた(笑)。
それ、大泉説でいくと正解だ
ったみたい。



  


鎬(しのぎ)の大事 ~洋式ナイフの様式~

2020年07月04日 | open


刃物には切るためのいろいろな要素が
形状に込められています。
そのブレード形状ごとに適した用途が
ある。
刃物は多種の使用法がありますが、「断ち
切る」ためには鎬の存在が不可欠な要素
となってきます。
フラットなグラインドで鎬を補完するもの
にハマグリ=コンベックスグラインドが
あり、これは鉄の絶対量を増やして頑丈
さを付与させる目的もあります。
平地がフラットで鎬を設けている典型的
な刃物は日本の和式包丁で、これは斬る
(切開)と切る(切断)と同時に切り割く、
つまり「断ち切る」ことを効率よく行なう
ために先人たちが創意工夫の積み重ねで
考案したものです。

薪を割る道具は斧や鉈ですが、鉈の代用
としてナイフで薪を小割にすることも
野外活動では要求されるシーンもあり
ます。いわゆるナイフバトニング。
野外活動は「まずナイフバトニングありき」
ではないので、そこは勘違いしてはなら
ないと思います。ナイフで薪を割るのは
あくまでも代用の緊急手段であって目的
ではない。ここ、結構大切かと。

ナイフでの薪割りバトニングでは、ナイフ
の形状が薪の割り具合に極めて深く関与し
てきます。
薪では激しい打撃なので、微細な差異が
判りやすい杉板で実験してお見せします。

まず、鎬が存在するフラットな平地ナイフ
での板割り。
マルティーニ・シルバーアウトドアでの
杉板割り


次に全く鎬(らしきものはあるが)が無い
フラットで幅広のナイフでの板割り。
リアルスチール・ガルダリクでの杉板割り

違いがお判りになるでしょうか。
これほど違います。
別な鎬があるナイフで割ってみます。
プーッコ・レンジャーでの杉板割り

ナイフには断面形状から多くのブレード
のグラインドの種類と
呼び名があります。

カッティングエッヂ(刃先)にマイクロ
ベベル(小刃)の刃付けがなされている
かいないかは別問題。
こうした断面構造が大まかに分けた
洋式ナイフの断面から見た形状になり
ます。
さらにこれらを複合的に合体させている
ナイフも多くある。

ランドール・パスファインダーM26S。
パスファインダーの意味は「先行者」。
ランドールは鍛造打刃物です。



こうした複合的なブレード断面形状の
工夫も、単にデザイン上の見かけから
発したのではなく、いろいろな試行錯誤
の末に結実した製作者の指標です。
ナイフには製作者の鋭意と英知が詰まっ
ている

道具というのは面白いものですね。

薪割りナイフバトニングにはハマグリか
鎬ありのセイバーが効率よく薪を小割に
できます。これはもう単に物理的な問題。
焚き付けの火口のフェザーを作るという
ことに関しては、また別な刃先と平地の
在り方の関連性のファクターというもの
が絡んできます。
バトニングは刃先の切れ味で薪を切って
行くのではなく刀身の平地の身で楔作用
で割って行くものなので、刃先はさほど
傷みません。
ナイフの薪割りバトニングで重要なこと
は、ブレードの身の断面形状です。

ただし、ナイフは薪割りの為の道具では
ありませんので、バトニングしやすい
形のナイフ=最強ナイフではないので、
そこは勘違いしてはならないのでは
ないかなぁ、と私個人は思っています。
ブッシュクラフトの技法スキルの意味と
一緒で、「こういうこともできるよ」的
なところでふんわか捉えておいたほうが
いいと思えます。
固定的な決めつけ観念はあんましいくない。


日本刀研磨師が作ったナイフ

2020年07月04日 | open
 


日本刀研磨師が作ったナイフ。
刀友であるうちのブラザーか
ら新品を
貰った。本人も同タ
イプを持っている。
これは私の為にわざわざ作者
に注文依頼
して製作して貰っ
たのだという。有難い。
 
くれた本人も作者の研師の先生
も「ガン
ガン使ってくれ」との
ことなので、到着
直後にガン
ンをやってみた。

 
フェザーも超簡単に作れるし、
他の物を切っても
かなり切れ
る。良い。
ナイフというのは、鋼材だけ
で決まるのではない
のだなあ
と勉強させられる。
それでも、このナイフは八田
工業の試験では
ロックウエル
64とのことだ。
硬い。
硬いが粘る良い鋼。
しかし、切れ味と斬れ味、割
り味、総合力は鋼材
で決まっ
てくるのではない。
鋼材よりももっともっと大切
なことがある。
それはブレード形状だ。
ファンシーなファンタジーナ
イフは、そのあたり
視点が
一切捨象されてしまっている。

プーッコ・レンジャー

2020年07月04日 | open
 


使えば分かる良いナイフ。
プーッコ・レンジャー。
軍事関係者の間ではかなり評判のようだ。
日本国内ではあまり出回っていない。
このナイフの良さをどう説明したらよい
のか。
そう、このナイフはまるで「コルト・ピー
スメーカー」のような良さなのだ。
 
鯉口はローラーロッキングシステムに
なっており、簡単にナイフが抜け落ち
ない構造が採用されている。


シースはカイデックスのバージョンも
存在する。


素晴らしいナイフだ。


私のプーッコ・レンジャーはこちらの中尉
からプレゼントされた。国内では初輸入に
かった。
私は彼には登場したばかりの頃にG.サカイ
のサビナイフを送っていた。
彼は野戦訓練でそれを装備せり。

ケラム プーッコレンジャー

2020年07月04日 | open


切ってよし、割いてよし、突いてよしの
フィンランドのプーッコレンジャーなの
だが、昨夜、南の方から連絡あり。
私と全く同タイプのプーッコレンジャー
を購入したとのことだ。ひゃあ。

ペルトネン・レンジャー。フィンランド
軍制式採用の軍用ナイフだ。
製造担当はマルティーニではなかったか。


横手が無いだけの日本刀のようなブレード
形状になっている。
標準で炭素鋼のための特殊防錆コート処理
済。


オマケ。
フィンランド軍実物ベレーバッヂを英軍
の実物空挺ベレーに着けてみた。


ライオン。フィンランドにライオンは
いないけれどライオン。白銀の獅子で
パンジャみたいだ。



ナイフをいじる

2020年07月04日 | open
 
 
リアルスチールのガルダリク
のマイクロ
ベベルを直線から
Rエッヂに変えた。
フェザーが作りにくかったか
らだ。
 
結果、全然違う。




但し、バトニングはまだ苦手。
これはフラットグラインドの
ため、ビル
とビルの隙間に落
ちて挟まって身動きが
とれな
いようになるからだ。
ナイフバトニングが楽なブレ
ードタイプ
は、鎬がある物か
コンベックスグラインド
とな
る。
コンベックスグラインド=ハマ
グリ刃で
鎬がある物がカチ割り
最強だが、それは日本刀の
形状となる。
 
日本刀の切断力は刃先の切れ
味だけでな
く、断面形状構造
に負う面が強い。
加えて日本刀には反りがある
ため、刀を
振るだけで引き切
りが発生して平衡分力
の摩擦
係数が変化する。とてつもな
く切
れるような物理的な結果
を生む。
秀吉の朝鮮出兵時に日本軍の
武士
たちのことを朝鮮の参
戦者が様子
を文書に残し
いる。
それは、日本軍は勇猛果敢さ
と恐ろし
切れ味の刀で彼
らがその刀を振りかざし

集団で襲って来たら手がつけ
れず、悉く友軍兵士は斬
り伏せられたという
内容だ。
曰く、日本の武士は悪魔のよう
である、と。
和刀の切れ味と頑丈さは完成
された斬撃
武器としてのその
形状に依った。
多分、直刀しか持たなかった
朝鮮軍は、
日本で平将門と対
戦した朝廷軍が直刀しか
無か
った為に刀剣が軒並み折れて、
湾刀を
ふるう将門軍にたじたじ
だったのと同じ
ような恐怖心
を持ったのではなかろうか。
日本では、頑丈で豪壮な切れ
味を生む将門
軍が使っていた
湾刀を大和朝廷も模倣して
使
い始め、やがてそれが平安時
代末期の
古代の終焉と共に、
「日本刀」としての発生
へと
繋がった。
なお、「日本刀」という呼び
名は中国人が
日本の太刀・刀
の優秀さを絶賛した「日本
刀歌」
という詩歌の中で中世に初登
場させ
た単語で、日本では
明治維新時までは日本
刀と
いう単語は使わなかった。
「たち」
「かたな」「けん」
「とう」としか日本人
は言
なかった。
「たち」とは断ち切ることから
きている。
「かたな」とは片刃の訛りだ。
「けん」は元々は両刃を指した
が、日本の
戦闘刃物全体を指す
ように変化した。漢語
読みだ。
「とう」はかたなの音読み。
大和言葉、純粋な日本の言葉は
「たち」「かたな」である。
 
日本刀の形状を採り入れた洋式
ナイフ。
バトニングもフェザーもなんで
もこなす。
今のところ、物理的には最強。
平地は
ハマグリに仕上げられて
いる。
スキニングについては試してい
ないので
不明。
日本刀研磨師がナイフを作ると
こうなる。


こちら日本刀、同田貫(どうだぬき)。
 
日本刀もナイフも「切る」「斬る」
「断
つ」「割く」「裂く」「突く」
「刺す」と
いうことに使うので、
ブレード形状による
物理的な現
象は同じものが出てくる。
奇しくも、シンプルでよく切れ
る北欧ナイ
フのブレードが日本
刀の形状と非常に似て
いるのは、
それはプーッコ自体が歴史の中
で時には刀の代わりに使用され
た事も多分
関係しているのでは
と思われる。