
イーストマン・カラーによる大映第一回
総天然色映画『地獄門』を見た思い出を…
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ブザーの音とともに館内が暗くなって
スクリーンに大映マークが映ります。
タイトルが終わると,三方の上の巻物の一つが広げられます。
合戦の淡い色彩の絵巻物です。
焼き討ちを受ける御所の横移動のシーンにオーバーラップします。
この戦は平清盛(千田是也・せんだこれや)の厳島詣の留守を狙って
起された平治の乱です。
手前で黒い軍鶏(シャモ)が騒いでいる奥を兵士が横切っていきます。
「これは平治の乱です」とナレーションが被ります。

焼討をうけた御所から、平××(香川良介・かがわりょうすけ)は
御妹上西門院を救うため
「誰か身替わりにならないか」
と集まった女官に叫びます。
「私がなりなす」
と、集まっている女官の中から
袈裟御前(京マチ子)が出てきます。
美しく化粧した京マチ子の紹介カットです。
身替りの袈裟(京マチ子)を乗せた車は御所を出発します。
真っ黒の林の間を行く御所車は美しく描写されます。
案の定,御所車は敵に包囲されます。
御所車の黒い大きな車輪の横から袈裟を護る
遠藤武者盛遠(もりとう)(長谷川一夫)が現れます。
凛々しい長谷川一夫の紹介カットです。
この2人の紹介カットは主光線2、おさえの光線1の
柔らかい照明の
バスト・ショットで撮られています。
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色彩の時代劇に違和感があるのではと
見るまでは心配でしたが
物語の進行とともに美しい絵巻物を楽しめました。
つづく…
