032：ルージュ（梅田啓子）

お別れの日にはまつ赤なルージュつけどうつてことない顔してやるわ

031：忍（梅田啓子）

うしろから「押忍（おつす）」と君の声が抜く葱の葉ひかる四月の朝に

030：湯気（梅田啓子）

冬のあさ松の幹より湯気立ちてしづかに空へ吸はれてゆきぬ

029：杖（梅田啓子）

母の杖思ひ出すことなきやうに物入れの奥のそのまた奥へ

028：供（梅田啓子）

甘口を母が好みし赤ワイン誕生日には遺影に供ふ

027：消毒（梅田啓子）

オキシフルに消毒したる膝小僧しゆわしゆわ泡噴き痛がりてをり

オキシフルに消毒したる膝小僧しゆわしゆわしゆわしゆわ泡噴きてをり（推敲）

 

026：基（梅田啓子）

若き日は黒を基調のファッションに浅川マキとなりて歩きぬ



ちっちゃな時から（YOU　TUBE）
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https://www.youtube.com/watch?v=kEyfaAbXdqQ&list=RD4EmkqJw8IdI&index=9




（画像はお借りしました）

025：あられ（梅田啓子）

あられもなき寝姿とふを見むとして覗けば女は脱皮してをり

024：岸（梅田啓子）

023：用紙（梅田啓子）

画用紙に父描きくれし少女の絵の二重瞼は母に似てゐき

画用紙に父描きくれし少女の絵　二重瞼は母に似てゐき（推敲）

022：低（梅田啓子）

朝まだき低空飛行の轟音に戦知らねど布団かぶりぬ

021：サッカー（梅田啓子）

楕円形の巨大な円盤ひらかれてサッカー場が眼下にひかる

020：鳩（梅田啓子）

伝書鳩を飼ひてゐしいへ廃屋となりて息子はタイに住むらし

019：豆腐（梅田啓子）

冷水に豆腐一丁掬ひたるおじさんの手のまだらのむらさき

018：集（梅田啓子）

切り抜きを父が集めしその中に南田洋子の若き日のあり



※２０１９年１１月７日１３：００からBSプレミアムで、「太陽の季節」が放送されます。





（画像はお借りしました）