goo blog サービス終了のお知らせ 

荻窪鮫

元ハングマン。下町で隠遁暮らしのオジサンが躁鬱病になりました。
それでも、望みはミニマリストになる事です。

読書の巻、ふたたび。

2016年09月23日 | 枯渇した生活に豊潤な読書を




『僕は本を買うとまず結末を読む。読み終える前に死ぬと困るから』ノーラ・エフロン(米国の脚本家/映画監督・1941~2012)



『ミニマリストに近付きたい』と思う以前は、蔵書が1,600冊以上ありました。

この蔵書をブックオフ送致してからは、主に図書館を利用しております。

もっとも、リーマンを辞めたので通勤時間が無くなり、読書量も激減しましたが。

まぁ読書量は置いとくとして、図書館を利用し始めて、顕著になった事があります。

何かと申しますと、作品がつまらないとすぐに読書を止め、返却してしまう事・・・。

買った小説であれば、もったいなので、どんなにつまらなくても読了します。

が、借りた小説じゃ、やっぱ駄目ですねぇ。

『タダだし、つまんないし読むの止~めよ』

ってなっちゃう。

これは映画も一緒で『ネットでタダ』と思うと、つまらないとすぐに視聴を止めちゃうんですね。

最近は【陽気なギャングが地球を回す】が、そう。

クッソつまらなく15分もちませんでした・・・。



先日、白川道著【竜の道 昇龍篇】を借りて来ました。



今作はシリーズ第2弾なのですが、なにぶん第1弾の刊行が、だいぶ前。

内容を忘れた事と、白川道が昨年逝去された為絶筆である事もあり、読了せず返却となりました。

おそらく、これが最後の白川作品なのでしょうが。

まぁ、これも仕方無いでしょう。



さぁ、読書の秋ですね



『読書は体にとっての運動と同様の効果を精神にもたらす』ジョゼフ・アディソン(英国の随筆家・1672~1719)

過去の関連記事。
読書の巻。
白川道の巻。
白川道の巻、ふたたび。

奥田英朗の巻、ふたたび。

2016年08月10日 | 枯渇した生活に豊潤な読書を




奥田英朗著【向田理髪店】を読了しました。

さすがの安定感で、とても楽しい作品となっております。

北海道夕張市をモデルにした、架空の町・苫沢市が舞台。

その昔は炭鉱で栄えるも、エネルギー革命のあおりを受け衰退。

様々な公共事業を投入はしたのですが、これもことごとく失敗となります。

やがて苫沢市は財政破綻をむかえる事に。

そんな町で理髪店を営む向田康彦が主人公となります。

50歳過ぎの康彦が、小さな田舎町で起きる、ちょいとめんどいトラブルに右往左往する物語。

左程、田舎町をステレオタイプに描き過ぎていないトコに『奥田英朗って達者だなぁ』と感じました。

僕はトーキョー・下町生まれの江戸っ子ですから、よく分かりませんが、それでも『田舎町ってこんな感じだろうなぁ』と。

都会と違い、物理的にも心情的にも狭い社会で日常生活を送るのは、めんどい事でしょう。

でも、ほんのちょびっとは、狭い社会ながらの人情もある。

そんな田舎町が羨ましくすら思えました。

是非、続編を希望します。

あと、BSあたりで原作通りのドラマ化も。

映像的にもキレイじゃないかなぁ。



『田舎の人が歓迎したら、それは歓迎したんだから早く帰れということです』永六輔(ニッポンの放送作家・1933~2016)

過去の記事。
奥田英朗の巻。
田舎の巻。
田舎の巻、ふたたび。
田舎の巻、みたび。



こんな感じかな・・・。

奥田英朗の巻。

2016年01月26日 | 枯渇した生活に豊潤な読書を




奥田英朗は、好きな作家で結構作品を読んでおります。

最初に読んだのは、三人称多視点が秀逸の【最悪】。

また、直木三十五賞受賞作【空中ブランコ】他の精神科医・伊良部シリーズも一気に読破しました。

トーキョー・中野を活き活き描いた【サウスバウンド】は桃子ちゃんが可愛かったなぁ。

そして何よりイチオシなのが、ドラマ化もされた【オリンピックの身代金】。滅茶苦茶面白かった。



そんな中『読みてぇなぁ』と思っていたのが新作【ナオミとカナコ】。

図書館に予約を入れましたが100人待ち以上。

今もって、借りるに至りません。

と思ってたら、広末涼子&内田有紀主演でドラマ化されちゃいました。



平凡なオンナふたり【ナオミとカナコ】が計画殺人を犯す…。

殺しの的は、カナコの亭主。

なんとな~く桐野夏生の【OUT】を思い出しました。

過去の記事。
桐野夏生の巻。
桐野夏生の巻、ふたたび。
桐野夏生の巻、みたび。

視聴率は芳しくない様ですが、実に面白い。

主役ふたりはもちろん良いのですが、佐藤隆太のDV亭主もハマってますし、吉田羊の嫌~な芝居も違和感なし。

楽しそうに演じてる、高畑淳子の怪しい中国人も最高です。



あと一歩踏み込んだら、コントになっちゃいますが。

まだ2話分の放映ですが、【殺し】までどうやって引っ張るのでしょう。

キャストを見ますと、警察サイドからの視点はなさそう。

という事は、吉田羊あたりが執拗に、ふたりの犯罪を追い込むのでしょうか。

今後が楽しみです。





ドラマ版【オリンピックの身代金】で唯一残念なのが、警察庁から警視庁に爆弾を運ぶ役がニールではなかったトコ。

このシーンは原作を忠実に描いて欲しかった。

『爆弾を運ぶ』という、あまりにも危険な任務は、独身で飲み屋のツケが溜まってるニールだからこそ活きるのに…。



『良書とは、期待を持って開き、利益を修得して閉じる書物である』アモス・ブロンソン・オルコット(米国の教育家・1799~1888)















ホント、好きだったなぁ…内田有紀

永井荷風の巻。

2015年11月16日 | 枯渇した生活に豊潤な読書を




ひとり位、好きな歴史上の人物なんてぇのが居ると、生活が一寸は豊かに成る様な気がします。

以前、好きだったのは白洲次郎。

過去の記事。
白洲次郎の巻。

然し乍ら為人を知る程、彼の卑小さが際立って仕舞い、結果、嫌いに成っちまいました。

そして次に白羽の矢を立てたのが【永井荷風】。


白洲次郎同様、此のヒトも只のお金持ちなんですが、格好を付けて無いトコが好感持てます。

格好付け乍ら徴兵逃れをしたオトコと、飄々と文学とエロに生きたオトコ…。

何方が潔く見えるか、直ぐに分かろうってモンで有ります。

扨て、其の様な僕ですが、荷風先生が執筆した作品は一冊も読んで居ません。

全部、所謂【永井荷風本】。


でも、滅法面白い。

助平ぇに生き、食いたいモノを食い、孤独を貫いた…。

何処となく僕自身とダブるんです。

ま、荷風先生はお酒は余り呑まなかったと聞きますが。



好きなエピソードが有ります。

荷風先生は年賀状の遣り取りが好きじゃ無かった。

あの菊池寛から来た年賀状すら送り返したって言うから気合いが入り捲ってます。

芥川賞選考に意地汚い執念を見せた太宰治とはどエラい違いなのです。



以前、荷風先生の行き付けと言う浅草の洋食屋を訪ねた事が有ります。

其の名は【アリゾナ】。


荷風先生ファンにはお馴染みのお店です。

正直『荷風先生贔屓のお店』って以外、特筆すべきトコは有りませんが。

ま、吉原帰りに寄ってみるのも良いかも。

『自覚さえすればどんな生活にだって深い意味が出来る』永井荷風(ニッポンの小説家・1879~1959)



浅田次郎の【天切り松 闇がたり】シリーズにも荷風先生は登場して居ります。

此方も是非共、読んで頂きたい作品。

過去の記事。
天切り松 闇がたりの巻。

白洲次郎の巻。

2015年11月15日 | 枯渇した生活に豊潤な読書を




『虚像で構成されて世に与えられている歴史に対して、実像を組み立てるのが歴史家である』和歌森太郎(ニッポンの歴史学者・1915~1977)

歴史上の人物を尊敬するってぇのは、若いヤツなら微笑ましい。

聖徳太子・織田信長・坂本龍馬・リンカーン・エジソン・ジョブズ…。

ところが、いい歳ブっこいたオトナが『伊達政宗を尊敬してるんだ』なんて言ってんのを見ますと、かなりイタい。

とは言え、好きな歴史上の人物がいるってのは、それなりに人生を豊かにしてくれるのも確かです。

いっとき白洲次郎が好きでした。

彼は文章を残していないので、いろんなヒトが勝手に書いた、いわゆる【白洲次郎本】ばかり読んでおります。

全部で4~5冊は読んだかな。

先日もムックを買っちゃいましたし。


しかしながら様々な白洲次郎本を読むにつれ、ある違和感がムックムクと大きくなって来たのです。

それを代弁してくれたのが、僕の敬愛する芸人・ビートたけしでした。

確か【SAPIO】と言う雑誌でしたが、ビートたけしが古今東西の有名人を評するって企画にて。

小泉純一郎やイチロー、田中角栄、黒澤明なんぞは、かなりの文字を使って評しておりました。

果たして、白洲次郎の名前も。

しかし、彼に対するコメントはたった一行。

『ただの金持ちだろ』

そう。そうなんだよ。オレが持った違和感は。

白洲次郎は金持ちで無ければ、ああいった人生は決して送る事は出来なかった…。

そう思うと急速に白洲次郎への憧憬は無くなりました。

2009年、NHKで放映された『ドラマスペシャル・白洲次郎』も嫌悪のトリガーに。

なぜかってぇと、僕は伊勢谷友介が大嫌いだから。






まぁ、白洲次郎が何かを語っていたわけでも無いから、好きだの嫌いだのガタガタ言われるのは彼としても迷惑千万なお話ではありますな。

周りが勝手に彼を神輿に担いじゃったって感もかなり強い。

良くも悪くもマスゴミが創り上げた人物、と認識するのがオトナってもんでしょう。

実際は優位な立場を利用し、徴兵を逃れた卑怯者でもあったわけですから。

『マッカーサーを怒鳴りつけた』などという与太を信じている様なバカにゃ分からねぇとは思いますけど。

『ある日白洲さんが家に見えて、“辰巳さん、俺、招集されちゃったよ”と言われるんです。(中略)白洲さんの時は早速に招集主任に連絡を取りました。白洲次郎という人を説明し、そんな人を招集するなんてけしからんじゃないかと言いました。それで召集取り消しになったんです』辰巳栄一(ニッポンの陸軍軍人・1895~1988)

C層の巻。

2015年11月13日 | 枯渇した生活に豊潤な読書を




『最も賢い者と最も愚かなものだけが、決して変わることがない』孔子(中国の思想家・BC552~BC479)

適菜収著【日本を救うC層の研究】を読了しました。


【日本をダメにしたB層の研究】以来の適菜収本です。

過去の記事。
B層の巻。

このヒトの語り口は好感が持てますし、実に読み易い。

そもそも“B層”とか“C層”とかって何か?

詳細はウィキでも読んで頂くとして、簡単に紹介しましょう。

『新しいモノが好きな利口』がA層。

『新しいモノが好きな馬鹿』がB層。

『新しいモノが嫌いな利口』がC層。

『新しいモノが嫌いな馬鹿』がD層。

かなり乱暴ですが、こんな感じです。

小泉内閣時、スリードという広告会社に作成させたカテゴリーだとか。


小泉純一郎は大衆コントロールのキモが、この【B層】にあるとし、徹底的に【B層】向けのパフォーマンスを続けました。

それが大成功だったのは、皆さんご存知の通り。

さて、【~C層の研究】ですが、実際の内容はC層よりB層に言及しております。

まぁ、C層を語るよりB層を語る方が簡単でしょうし、香ばしいでしょうから。

おおむね楽しく読めましたが、ひとつだけ気になった部分が。

適菜氏は『プロの事はプロに任せなさい』という旨をいつも説いております。

もちろん政治や行政についても。

それは正しい。

そして正し過ぎる。

プロがプロとして、成立し従事するのであれば何も問題はありません。

しかしながら、政治屋も官僚をはじめとする公務員もクズばかり。

クズがプロを名乗り、やりたい放題…。

ここに関しては、さすがにトーシロも口を出したくなるってもんです。

プロの質の低下、トーシロの発言力の台頭、様々なファクターがこのニッポンと言う国を蝕んでおります。

そんな中、ニッポンを救えるのは確かにC層しかいないでしょう。

国力アップのため、革新・改革・進歩が必要な時代もあるのは良く分かる。

しかしながら国力も安定し、過度の成長も左程見込めない状況では、古典を見つめ、保守につとめる事こそが肝要ではないか、と改めて感じました。

『祖先を顧みようとしない人々は、子孫のことも考えまい』エドマンド・バーク(英国の政治思想家・1729~1797)

過去の記事。
行列の巻。
行列の巻、ふたたび。
行列の巻、みたび。
貧乏人の巻。

【B層】と言えば【行列】。













ラーメン・パチンコ・スマホに宝くじ…。

【B層】の【B】はバカの【B】だと思ってましたが、貧乏人の【B】なのかも。

黒川博行の巻、いつたび。

2015年09月24日 | 枯渇した生活に豊潤な読書を




過去の記事。
黒川博行の巻。
黒川博行の巻、ふたたび。
黒川博行の巻、みたび。
黒川博行の巻、よたび。

黒川博行著【後妻業】を読了しました。

筧千佐子の事件もまだまだホットな中、実にタイムリーな作品。

もちろん、とても面白かったです。

近年の黒川博行作品においては、あまり殺人が絡まなかった様な気がしますが、さすがにこの作品では殺人が描かれておりました。

そのせいか、どこか作品のトーンが暗かった様な気はします。

作品中、【後妻業】はチームで動いております。

黒幕は結婚相談所の所長・柏木、実行犯が69歳の小夜子。

決してチーム仲は良くありません。

もっとも悪党が組む理由なんて【お金】しかないのでしょうが。

この柏木の目線。

そして小夜子に父親・耕造を殺された娘・朋美の目線。

朋美の弁護士が雇った私立探偵・本多の目線。

この三者の目線で物語は進むのでした。

さすがの筆力でして、サクサク読めます。

黒川博行作品お馴染みの喧嘩シーンもちゃんとありました。



一方、筧千佐子は一本独鈷で犯行を重ねていたのか、と思ってましたが、どうやらそうでもなさそう。

黒幕に東大出の弁護士がいるとか。

確かに法的なジャッジを70前のババアが出来るとは思えません。

木嶋香苗もそうでしたが、オンナはホント怖い怖い。

そう。だから僕はババアやデブやブスが嫌いなのです。



さて、この【後妻業】ですが来年映画化されます。

さすが直木賞を受賞するとバンバン映像化のお話が来るんですな。

小夜子に大竹しのぶ、柏木に豊川悦司、朋美に尾野真千子、耕造に笑福亭鶴瓶、本多に永瀬正敏という豪華キャスト。

ん~、豪華は豪華なんですが、ちょっとミスキャストってトコがあるかな。

大竹しのぶって僕は全然お芝居が上手いと思いません。

泣き叫んでるだけって感じしかないのです。

その大竹しのぶの関西弁か…、ダメそうだな。






たかじんの嫁も怪しいとか言われています。

過去の記事。
やしきたかじんの巻。

『君がよい妻を持てば幸福になるだろうし、悪い妻を持てば哲学者になれる』ソクラテス(古代ギリシアの哲学者・BC469~BC399)

松田優作の巻。

2015年08月08日 | 枯渇した生活に豊潤な読書を




松田美智子著【越境者 松田優作】を読了しました。

2008年に刊行された、いわゆる“松田優作本”です。

ただ今までとちょいと毛色が違うのが、著者が松田優作の前妻・松田美智子氏であるという事。

過去、様々なヒトが“松田優作本”を記して来ました。

僕も結構な数を読了しております。

コンビニで売ってるマンガ【松田優作物語】なんてぇのも読んじゃいました。

どの作品も期待に違わない松田優作像が描かれていたものです。

しかし、ど~も納得はいかなかった。

人間、そんなにカッコ良いものか?という単純な疑念です。

もちろん、【人間・松田優作】としてムキ出しの姿を描こう描こうとしている作品もありましたが、やはりどこか劇画風なんですよね。

そんな中、この【越境者 松田優作】は今までの“松田優作本”の中でNo.1でしょう。

やはり“あの”松田優作の妻であった松田美智子氏が記している事が大きい。

家族でしか知り得ない松田優作を記せるのですから。

これが次の妻・松田美由紀が記したとすれば、スーパースター・松田優作になってしまうでしょう。

松田美由紀こそが松田優作を無闇矢鱈に松田優作を神格化させているのですよ。



実際に読み進めますと、松田優作の弱く不安定な感情を多く見る事が出来ます。

若い頃の渡米も決して本人の意思ではなく母親主導であり、しかもイジメに遭った事で、たった1年で帰国した、とありました。

また、その一方で過去の“松田優作本”にて見受けられる『ケンカに負けた事は一度もない』『会うやいなやブン殴られた』などの武勇伝は、かなり信憑性が薄いとも。



映画【竜二】で有名になった金子正次との関係にも言及しておりました。


命日が松田優作と同じだった事もあり、奇妙な因縁を持たざるを得なくなったマイナー舞台人・金子正次。

大雑把な“松田優作本”だと【親友】と記された事もありましたが、かなり眉唾モノです。

さほどの下積みもなくスーパースターになれた松田優作と、“映画スタア”に憧れていたマイナー舞台人・金子正次がホントに【親友】なれるとは、到底思えません。

間違いなく金子正次は松田優作の成功に嫉妬していたはず。



スーパースター・松田優作に触りたい俳優やクリエイターが多いのは、よ~く分かります。

一回、松田優作に会っただけでも“舎弟”を名乗るバカもいますからね。

香川照之なんかも、そのひとり。

以前、テレビで『父親の愛情を知らないで育った』ってファクターを、松田優作との魂の共通項として語っていやがりました。

片や地方の赤線に在日の非嫡出子として生まれた人間と、片や仲違いしながらも歌舞伎界の大物の父・大女優の母を持つ人間に共通項を見出そうってのがあざと過ぎます。

それは【ラストデイズ】っていう番組です。

『お前は、オレになれる』って松田優作に言われたとか。

ホントかよ。

ウソ臭ぇ~。

まさに“死人に口なし”です。



死ぬ直前、仏教に傾倒していたという逸話が残っていますが、これは松田美由紀の母親が紹介した新興宗教でした。

“あの”松田優作が新興宗教に傾倒していたなど決して彼のイメージに合いませんから、松田美由紀がオミットしていたのでしょう。

この本によると、かなり怪しい新興宗教だった様です。



美智子氏の松田美由紀に対しての嫉妬も隠さずに吐露しているのも好感が持てました。

オンナだろうが、オトコだろうが嫉妬という感情を持たないヒトはいませんから。

とは言え、松田優作も所詮はオトコだったんですねぇ。

当時18歳の若いオンナにフラフラ吸い込まれちゃったんですから。

このあたりは【松田優作物語】なんかではドラマチックに描かれていましたが。



『松田優作が生きていたら…』というifをよく見かけます。

『ニッポン映画界の損失だ』なんてフレーズも見かけました。

ホントにそうかなぁ、というのが僕の本音です。

当時、松田優作ってそれほど必要とされていない俳優だったんじゃないか、と記憶してるんですよ。

もちろん【ブラックレイン】の出演によって状況は変わったかも知れませんが。

デ・ニーロからのオファーがあったとも聞きます。

しかしながら、それ1作で終わっていた可能性の方が高いと思うんです。

神格化され過ぎて、皆さんめくらになっている気がしていました。

そんな中、【人間・松田優作】を感じる事が出来た今作、後世に残したい名著であります。




【探偵物語】で“ダンディー”を演じた重松収氏も【ラストデイズ】に頻出します。

後年は松田優作の運転手を務めていたとか。



『お前たちは、俺には絶対に勝てない。なぜなら、俺は24時間映画のことを考えているからだ』松田優作(ニッポンの俳優・1949~1989)

直木賞の巻。

2015年07月16日 | 枯渇した生活に豊潤な読書を




【第153回芥川賞・直木賞】の受賞者が発表されました。

芥川賞は羽田圭介と又吉直樹のダブル受賞。

直木賞は東山彰良の受賞。

なんとなく又吉直樹の受賞は分かる気がします。

出版不況が叫ばれて久しい中、又吉直樹に受賞させりゃ、普段、読書なんてしないヤツでも『買お~かな』となるかも知れないからです。

【情報ライブ ミヤネ屋】なんか観てるヤツ。

ここで言いたいのは『買お~かな』であり『読も~かな』ではありません。

んで、諸方面からのクレームをかわすために本命の羽田圭介を持って来る、と。

所詮は芸術ではなく商業なわけです。

ま、当たり前の事なんすが。



僕は芥川賞にはあまり興味がなく、もっぱら直木賞派でありました。

もっとも、近年は読書量が目に見えて減りましたし、すっかり図書館利用者に成り果て、書店に行かないので新しい作家をよく存知上げません。

今回の受賞者・東山彰良もまったく知りませんでした。

一方、【アンタッチャブル】という作品で馳星周がノミネートされていた様ですね。

馳星周は好きでデビュー作【不夜城】から読んでおりました。

とくに【鎮魂歌(レクイエム)不夜城II】は僕にとって衝撃作です。

中坊の時にこの作品を読んでいたら、きっと発狂していた事でしょう。

とはいえ、近年はちょっと馳星周作品からは遠のいてしまっています。

さて、今回は6回目のノミネートとの事。

まことに残念であります。

黒川博行は6回目のノミネートで受賞しましたからねぇ。



所詮は商業。楽しくやりましょう

そういえば黒川博行の【煙霞】がWOWOWでドラマ化されるとか。

キャストが全員関西出身者で固められている様ですね。

そう。黒川博行作品のキモは関西弁。

非関西人の似非関西弁は寒~いですからね。

ま、【破門】での濱田岳は非関西人ながら大阪弁が非常に上手でしたが。



『本がなければ生きられない』トーマス・ジェファーソン(米国の大統領・1743~1826)



過去の記事。
大沢在昌の巻。
大沢在昌の巻、ふたたび。
大沢在昌の巻、みたび。
黒川博行の巻。
黒川博行の巻、ふたたび。
黒川博行の巻、みたび。
白川道の巻。
白川道の巻、ふたたび。
三浦しをんの巻。
三浦しをんの巻、ふたたび。
船戸与一の巻。
天童荒太の巻。
横山秀夫の巻。
横山秀夫の巻、ふたたび。
桐野夏生の巻。
桐野夏生の巻、ふたたび。
桐野夏生の巻、みたび。
吉田修一の巻。
垣根涼介の巻。
村上春樹の巻。
伊集院静の巻。
月村了衛の巻。
ブラディ・ドールの巻。
天切り松 闇がたりの巻。
読書の巻。

白川道の巻、ふたたび。

2015年06月30日 | 枯渇した生活に豊潤な読書を


過去の記事。
白川道の巻。

本年4月に逝去された小説家・白川道著【世界で最初の音】を読了しました。

いつもながら良いタイトルですね。

文芸色がプンプンします。

白川道で初めて読んだ作品は【海は涸いていた】でしたが、これもジャケ買いならぬ、タイトル買いでした。

黒川博行も少しは見習って欲しいっす。

【悪果】【煙霞】【螻蛄】【落英】【繚乱】【勁草】…難しい熟語、飽きた。

面白いけど。

過去の記事。
黒川博行の巻。
黒川博行の巻、ふたたび。
黒川博行の巻、みたび。



さて、今回もどっかで読んだプロットであります。

過去を引きずった主人公のオトコ、オトナのオンナ、お金持ちのご息女、友のために命まで投げ出そうとするダチや舎弟、そして主人公を執拗に追う刑事…。

【海は涸いていた】で唸ったプロットは、その後も【天国への階段】【最も遠い銀河】そして今回の【世界で最初の音】と脈々と継承されました。

折角ですので【世界で最初の音】と【海は涸いていた】の登場人物を相対化してみましょう。

赤字…【世界で最初の音】  青字…【海は涸いていた】


桜井達也伊勢孝昭 …過去を引きずった主人公のオトコ

阿部清美藤城千佳子 …オトナのオンナ

広末衣公子馬渕薫 …お金持ちのご息女

矢田京一布田昌志 …友のために命まで投げ出そうとするダチ

荒本明三宅慎二 …友のために命まで投げ出そうとする舎弟

押田学佐古章生 …主人公を執拗に追う刑事



とまぁ、こんなトコですかね。

今回ちょいと不満だったのは

押田警部の描き方がステレオタイプ

矢田の死が唐突過ぎる

ってトコかな。

もちろん白川節炸裂男泣きワンダーランドではありましたけど。

もう、こういった作品が読めなくなったのはホントに残念至極であります。



そういや【海は涸いていた】について

『天童荒太の【永遠の仔】や北方謙三の【ブラディ・ドール】シリーズに似た雰囲気を持つ作品』

というレビューがありましたが、心底『アタマの悪ぃ評価だなぁ』と感じました。

全然違うじゃん。

過去の記事。
天童荒太の巻。
ブラディ・ドールの巻。



【海は涸いていた】の映画版【絆】には押田刑事なるキャラクターが登場しております。

今作の押田学と同一人物なのでしょうか。



『窮境の中でこそ、潔い態度を』アーネスト・ミラー・ヘミングウェイ(米国の小説家・1899~1961)

船戸与一の巻。

2015年04月26日 | 枯渇した生活に豊潤な読書を



直木三十五賞作家・船戸与一が亡くなりました。

白川道に続いての小説家の訃報です。

ニッポンを代表するエンターテイメント作家が続いて亡くなるなんて、まことに残念。

さて、僕の印象ですと、白川道は90年代の作家で、船戸与一は80年代の作家ってイメージがあります。

80年代は船戸与一以外にもエンターテイメント作品界に逢坂剛・北方ラーメン謙三・佐々木譲・藤田宜永等錚々たる顔ぶれが登場した黄金期です。

文芸もさぞかし景気が良かったでしょう。

まぁ、白川道は80年代はナカに入っていたんでしょうけど。



あの近辺の作家で最初に触れたのは、逢坂剛だったと記憶しております。

そのせいでスペインまで行っちゃいましたから。

過去の記事。
スペインの巻。
スペインの巻、ふたたび。

そうこうしているうちに、船戸与一に辿り着くのは当然かも知れません。

『逢坂剛に比べるとエグいなぁ』というのが最初の感想でした。

なんせ登場人物がほとんど死んじゃいますからね。

それに比べると逢坂剛はお洒落だなぁ、と。

船戸作品でもっとも好きなのは【猛き箱舟】です。

文庫本で全4冊。

実に読みごたえがありました。

友だちと『シャリシャリ心臓食っちゃうよ~』なんて言ってたものです。

壮大なスケールの中で繰り広げられる殺戮は、唯一無二のインパクト。

ヘラヘラした主人公が最後、孤独な復讐者に変貌を遂げた描写が今でも忘れられません。



ここ数年は船戸作品を読んでいませんでした。

正直、食指が動かなかったんです。

最後に読んだのは、確か【夢は荒れ地を】あたりかなぁ。

読み手も歳を食いますと、だんだん作家の好みが変化しますからね。

作家自身の作風も、もちろん変化しますし。



享年71歳。

先日、亡くなった白川道は享年69歳。

生死を問わず、ひょっとしたらエンターテイメント作家の限界って、その辺の年齢かも知れません。

今年68歳になる、北方ラーメン謙三もすっかりエンターテイメント作品を書かなくなっちゃったし。

ご冥福をお祈りします。


白川道の巻。

2015年04月25日 | 枯渇した生活に豊潤な読書を



白川道が亡くなりました。

僕が初めて白川道の作品を手にしたのは【海は涸いていた】です。

オトコの魂と純情がつまった名作でした。

僕はギャンブルを一切やらないので【病葉流れて】シリーズは読んでいませんが、他の作品はほとんど読破しております。

ま、物語のパターンはだいたい一緒なんですよね。

過去を引きずった主人公のオトコ、運命のオンナ、お金持ちのご息女、友のために命まで投げ出そうとするダチや舎弟、そして主人公を執拗に追う刑事…。

それでも毎作毎作、あれだけの量を面白く読ませる筆力は素晴らしかった。

【天国への階段】で直木三十五賞にノミネートされながらも、受賞に至らなかったのは残念至極であります。



白川道自身も小説になりそうな履歴です。

経済犯でパクられ実刑を受けた事もあり、ギャンブルに明け暮れる豪放な性格だったそうですが、ホントにそうなのかな、と。

あんなロマンチックなハードボイルド小説を書く様なヒトは、豪放なだけではないはずです。

なにせ中瀬親方のダンナですからねぇ。

あんま意味はないですけど。



白川道【海は涸いていた】と同時期に黒川博行の【疫病神】を読みました。

過去の記事。
黒川博行の巻。
黒川博行の巻、ふたたび。
黒川博行の巻、みたび。

エンターテイメント界の“白と黒”、“Blanc & Noir”。

僕はそう呼んでおりました。

このふたり、仲良しらしく麻雀なんぞよく打ってたそうです。

享年69歳。まことに残念。【竜の道】は未完に終わっちゃいましたしね。

ご冥福をお祈りします。




クソ議員・上西小百合のメイクを真似た中瀬親方。

腹かかえて爆笑しました。

大沢在昌の巻、みたび。

2015年04月02日 | 枯渇した生活に豊潤な読書を



過去の記事。
大沢在昌の巻。
大沢在昌の巻、ふたたび。

【雨の狩人】で【狩人シリーズ】は終了するのでしょうか。

気になって仕方ありません。


さて、昔【狩人シリーズ】第1弾【北の狩人】を読み、そしてその後【眠たい奴ら】を読んで『おやぁ』と思った事がありました。

【北の狩人】の宮本&佐江をトレースしたのが【眠たい奴ら】の高見&月岡ではないか、と。

カッコ良くて決して悪とはいい難いヤクザと、口も見た目も悪いが正義の心を持つ刑事…。

もちろん、硬質な【北の狩人】と軟質な【眠たい奴ら】と、作品硬度は違いますが僕は間違いないと踏んでいます。

ここで申し上げたいのは『キャラクターの使い回しをしてんじゃねーか?』では断じてありません。

逆です。

一度登場したキャラクターを更にブラッシュアップし、まったく別なカラーのエンターテイメント作品にハメ込む…さすがの大沢ザイショーでありました。

おまけに、この【眠たい奴ら】は地方の温泉街が舞台。

やはり、ひなびた温泉街を舞台にした短編作品【湯の町オプ】も僕は愛してやみません。

この作品のファクターも加味されているとも思っております。


大沢ザイショー作品って結構、色とりどりですよね。

正統派ハードボイルド・軽ハードボイルド・SF・女性主人公モノ…。

北方ラーメン謙三が『オレは大沢みたいに、脳味噌が入れ替わっちゃう話なんて思いつかないもん』と言っていましたが、僕もこの辺の作品群は敬遠しますな。

とはいえ、まだまだ北方ラーメン謙三から比べたら若いのですから、もうちょっと頑張って下さい。

お願いですから、カッコ良いハードボイルドを読ませて下さい。


全然、関係ないんですが…。

榮倉奈々ちゃん大好き!





大沢在昌の巻、ふたたび。

2015年04月01日 | 枯渇した生活に豊潤な読書を



過去の記事。
大沢在昌の巻。

大沢在昌著【雨の狩人】をようやく読了しました。

昨年7月に購入したものの、面白くなかったので放置していたためです。

過去、【北の狩人】【砂の狩人】【黒の狩人】とありました。

全て読了しておりますし、シリーズ自体も好きなのです。

なのに『面白くない』。これは由々しき事。

実は近年の作品には退屈な事が実に多いのです。

【闇先案内人】【語りつづけろ、届くまで】そして【雨の狩人】。

いや【絆回廊 新宿鮫X】も、です。

どうも、こねくり回した会話が続きキャラクターが動かない印象が強い。

おそらく大沢在昌本人がいちばん苦しんでいるトコだと思いますが。

なんでも【闇先案内人】は上梓までに8年もかかったとか。

超難産です。

もちろんサクサク読める作品もないではない。

【海と月の迷路】【罪深き海辺】あたりはスピーディーに読めました。

ま、僕も歳取りゃ大沢在昌も歳取りますから、そんなもんかも知れません。

読み手と書き手のバランスが未来永劫変化しない、なんてぇ事はないのです。


さて、大沢在昌作品で気になってしまうのが【新宿鮫シリーズ】とのリンク。

【北の狩人】では
『佐江は煙草をとりだした。(中略)確かにあの時も新宿にいたが、刑事課でなく防犯課だった。今の防犯は、キャリア崩れの訳の分からない野郎が、でっかいツラをしている。骨はあるらしいが、協調性のない、嫌な野郎だという話だ』
と、鮫島を示唆する表記があります。

これは嬉しかったですねぇ。

一方【帰ってきたアルバイト探偵】では、リュウくんが通う高校の社会科教師が鮫島のいとこだったり、冴木涼介が『鮫の旦那がなんちゃらかんちゃら』とブツブツ言ったりと、少々“鮫”ネタがしつこ過ぎましたな。

今回【雨の狩人】にもありました。“鮫”ネタが。

P370に『銃に詳しい新宿署の鑑識係』とあります。

これは藪英次っすよね


【新宿鮫シリーズ】もここんトコ、キャラの断捨離が続きました。

【狩人シリーズ】も【雨の狩人】にて整理機構送致なのでしょうか。

黒川博行の【堀内・伊達シリーズ】の様に、刑事を辞めた佐江の物語も読んでみたいです。

好きなシリーズなので今後が気になって仕方ありません。


あ、あと何が“雨”だったのでしょう

月村了衛の巻。

2015年03月09日 | 枯渇した生活に豊潤な読書を



月村了衛著【土漠の花】を読了しました。

行きつけのバーのマスターから借りっ放しになっていたヤツ

この月村了衛のヒトが書いた作品というのを読んだ事が一度もない上に、弁当箱サイズなんですね。

それで、なんとなく読むのを躊躇してしまったのです。

このヒト、2010年デビューで、既に“吉川英治”や“大藪春彦”なんかを受賞しています。



さて、この【土漠の花】ですが、2015年本屋大賞候補だそうで、はたまた“文春ミステリー“や“このミス”にもランクインしているとの事。

作品の感想。

感動と興奮。いま最も評判の号泣小説!

こんな物語を待っていた!

自分の生き方を問われた気がした。

こんな男たちに守られたい!!

どうやら絶賛の嵐です……………が。

う~~~~~ん……………。

そんなに良いすか?

ゾンビみたいにワラワラ出現するソマリアのテロ武装集団を、洞窟・川・村・ゴーストタウンといった各ステージで、バンバン撃ち殺すというゲームを観させられている感じなんすよ。



新開や梶谷や由利の自己犠牲は『オレの事は放っといて、先に行けぇ~!』みたいな事を言ってる映画版のジャイアンみたいで、既視感あり過ぎです。

また、由利の回想シーンがいきなりインサートされたり、それまで決断力はあるけど非情だった新開が、いきなり良いヒトになっちゃったり、全体的にストーリー展開が唐突なんです。

新開なんか『アスキラを見殺しにしよう』とか言ってたのにね。

おまけにガキと戯れるのに、竹とんぼ……………って仕置屋の市松かいっ!




あと、三人称一視点だと思ってたら、三人称多視点だったりするのも、いささか読みづらかった。

クルマの達人・泳ぎの達人・バイクの達人・合気道の達人・射撃の達人……………って【ザ・ハングマン】とか【サイボーグ009】かよ

とくに射撃の達人は凄すぎます。実戦経験皆無なクセに一発必中、デューク東郷をやすやすと超える手練。

しっかし刑事ドラマでも射撃の達人って、過去にトラウマがあって撃てなくなっちゃった、っていうプロット多いすよね。

それにしても頭にお花畑が咲いてた、たった7人の自衛隊員が、何十人いや何百人を殺しまくるってぇのはあまりにもリアリティなさ過ぎ。

銃ってホント当たんないっすよん。

一方の、ソマリアのテロ武装集団は上述した様に、ゾンビ扱い以外の表現なし。

いっさいのイデオロギーをもオミットされた、悪の組織としか描かれていません。

ラスボスを倒すシーンも、これまた既視感バリバリでした。



ラストのラブラブ・ハッピーエンドもなんだかなぁ!

この作品は、自衛隊の海外派遣の是非といった政治的・外交的内容では断じてありません。

あくまで7人のオトコたちがそれぞれの得意技を駆使し、次々襲来する強敵をなぎ倒して、お姫様を目的地まで送り届ける、というエンターテイメント。

これが現実なら、24ページ目で全員ブッ殺されてます。

その辺、間違っちゃいけないぜっ!



つまんなくはないんですが、う~~~~~ん……………。評価に困る迷作って事にしときましょう。