荻窪鮫

元ハングマン。下町で隠遁暮らしのオジサンが躁鬱病になりました。
それでも、望みはミニマリストになる事です。

黒川博行の巻。

2013年02月16日 | 枯渇した生活に豊潤な読書を
黒川博行著【繚乱】を読了しました。

【悪果】に続いての堀内・伊達コンビ登場であります。

弁当箱二段組みの大作です。

競売にかかったパチ屋に、極道・企業舎弟・警察OB・フィクサー気取りのジジイ達がわんさかと群がるお話し。

これに堀内・伊達コンビがひと儲け企む、といった図であります。

黒川博行作品といえば、やはり【疫病神シリーズ】が筆頭に挙げられるかと思うのですが、この作品も結局、トーンとしては一緒かな、と。

とはいえ一例を挙げるなら、堀内はホルスター迄入手し拳銃を持ち歩きますが、二宮は持たないでしょうな。

どこか川にでも捨てちゃいそうです。

勿論、桑原も極道であるが故に持つ事はないでしょう。

尤も、【ケンカの国の王子様】である桑原がいれば拳銃等必要ありませんが。

伊達も粗暴さを持ちつつも、女房や娘を気にする小心な部分も描かれております。

この辺、家庭に全く向かない二宮や桑原とは行動原理が異なって来るかも知れません。

さて、黒川博行に関しては、僕も御多分に洩れず【疫病神】からスタートしました。

いや、なんて面白いのかと読後しばらく呆けてしまったものです。

第二弾【国境】はスケールが大きくなり(過ぎ)、二宮・桑原コンビは北朝鮮迄出張します。

ラスト、キャバクラでの桑原の粋な計らいには僕も涙が出ました。

黒川博行の魅力は、やはり作中飛び交う関西弁でありましょう。

僕は生まれも育ちも東京なので関西弁の細かいニュアンスは全く分かりません。

関西人に言わせますと、黒川博行のそれは違和感が無いでもない、との事です。

黒川博行は愛媛生まれですから、若干のニュアンスの違いは生ずるのかも知れませんね。

【疫病神】を読んだ頃、白川道の【海は涸いていた】も読みました。

僕の中では、このふたりは『エンターテイメントのノワール/ブラン』として印象付けられたのでありました。

それにしても、何度も直木賞候補に挙がりながらも受賞に至らないのは残念至極であります。


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