サッカー狂映画監督 中村和彦のブログ

電動車椅子サッカーのドキュメンタリー映画「蹴る」が6年半の撮影期間を経て完成。現在、全国で公開中。

デフサッカー女子日本代表 強豪アメリカに0-1で敗れる

2022年05月08日 | デフリンピック

ブラジルデフリンピック女子サッカー、日本代表3戦目の相手は強豪アメリカ。出場を辞退した前回大会(2017年トルコ・サムスン開催)以外の大会ではすべて優勝している強豪国。
そのアメリカ相手にどんな戦いを見せてくれるのか?

この試合は日本ろう者サッカー協会がスマホで配信、詳細はわからないものの、なんとか観ることができた。

先発はDF右サイドバック宮城実来、左に酒井藍莉、センターバックは高橋遥佳と久住呂文華、中盤はボランチに宮田夏実、川畑菜奈、右サイド杉本七海、左サイド高木桜花、2トップに大上志穂子と押領司真奈の4・4・2の布陣。
Gkは國島が今大会初先発となった。
ベンチには田中惠と松川容子。その他3人のメンバーはコロナ陽性、あるいは発熱のため、初戦から離脱している。

日本は立ち上がりから超守備的布陣で試合に入る。ハーフウェイラインより前に行くことはなく、マイボールやゴールキックも大きくクリアする。ハーフウェイラインというよりはディフェンシングサード(アメリカのアタッキングサード)からもほとんど出ない状態で、サイドにも広がらず4・4・2のスリーラインでコンパクトに守備を固める。

アメリカはサイドを崩しクロスを入れゴールを狙うが、日本の選手たちが中央では決してスペースを与えずフリーにさせない。こぼれ球に反応したミドルシュートにも素早いチェック、GKの國島も落ちついて処理する。

アメリカは4・4・2(もしくは4・2・3・1)で、余ったディフェンスラインの選手が上がることもなく、普段の自分たちのサッカーを貫き通しているようにも見える。9年前、13年前にアメリカを生で観たときも、どこか綺麗なサッカーをするというイメージがあり、ゴリゴリとゴール前に侵入してくるというふうではない。

だが何本ものクロス、シュートを放ち、前半33分にはミドルシュートがポストを叩く場面もあった。
38分にアメリカは2人の選手交代。3バックにしたようで、ウイングが上がりめの3・4・3みたいなイメージだろうか。
ともかく前線を厚くした。

選手たちはアメリカ選手相手に痛む場面も増えてくる。右サイドバック宮城実来が一度ピッチから出されるが何とか戻る場面もあった。
いったいアメリカが何本シュートを放ったのかよくわからないが、なんとか45分間を無失点で凌ぎきり前半を0-0で折り返す。
日本は、与えられたタスクを高い集中力でこなした。


ハーフタイムのロッカールームではキャプテン宮田夏実が激を飛ばす。だが熱いだけではなく、冷静さも各選手から感じ取られた。

後半に入っても日本の戦術は変わらない。
ただドン引き一辺倒ではなくスリーラインがコンパクトに保たれているので、オフサイドをとることもある。

そして後半20分、「攻めてもいい」「攻撃しろ」というサインがベンチから出される。しかし選手たちはボールをつなごうとするが、なかなかアメリカゴールまでは迫れない。
だが左サイド高木桜花(たぶん)のクロスに、右サイド杉本七海(たぶん)が侵入するという場面も見られるようになる。

28分にはFWで守備に走り回った押領司真奈に代えて、松川容子が投入される。松川は初戦のケニア戦、第2戦のポーランド戦ではGKとしてフル出場している。合宿でもフィールドプレーヤーに入ることもあり、それが活かされた形だ。
こういう事態も見越しての國島先発だったか、あるいはアメリカのサイド攻撃からのクロスには長身の國島が適任という判断だったのかもしれない。
この時点でベンチに残っているのは負傷している田中惠のみである。総力戦である。

日本がアメリカ陣内に攻め込む回数が増えると今度はカウンターをくらうようになる。しかし左サイドバック酒井藍莉やセンターバックの久住呂文華や高橋遥佳がアメリカ選手を自由にさせない。
股関節のケガから復帰した大上志穂子や、最終合宿ではケガのため別メニューだった川畑菜奈も走りを止めない。
日本の選手たちの高い集中力に気圧されてか、アメリカは攻め疲れているようにも見える。

しかし後半43分、アメリカは右CKからのこぼれ球を左45度からミドルシュート!
プレスが遅れフリーで狙いすましたシュートが長身の國島の手をかすめ、ファーサイドのゴールネットを揺らした。
なんとか日本も1点を取りに行こうとするもののゴールが遠い。

全員がタスクを高いレベルでこなして力を出しきった試合だったが、強豪アメリカに惜しくも0-1で敗れた。

選手たちの気持ち、気迫が伝わってくる胸が熱くなる試合でもあった。選手たちがピッチに突っ伏している姿はとても印象的だった。


日本は3戦を終えて1勝2敗の勝ち点3、得点14、失点 6、得失点差  8となり、自力での決勝進出はなくなった。
しかしブラジルがポーランドに勝ち日本がブラジルに勝てば、3か国が勝ち点6で並ぶ可能性もある。
もし得失点差の争いになった場合、アメリカに1点しか与えなかったことはとても大きい。

日本の次の試合第4戦は11日10時(日本時間22時)キックオフ、中3日でのブラジル戦となる。
ブラジルVSポーランド戦はその前々日の9日に行われており、その結果次第で4戦目の位置づけが変わってくる。
決勝進出をかけた戦いになるのか、3位決定戦の出場が既に決まっていて消化試合となるのか。

消化試合になっていれば重要なのは言うまでもなく銅メダルをかけた3位決定戦となる。その際は3位決定戦もブラジルとの試合となり、第4戦はある意味難しい試合となる。3位決定戦で勝つための第4戦ということになる。
3位決定戦に選手たちがベストパフォーマンスで臨めるようなやり繰りは必要となるであろう。
しかし離脱した3人が戻ってくることなく13人で戦い続けなくてはならないのであれば、松川容子や田中惠が他の選手たちを休ませるためにフィールドプレーヤーとして出場するということもあるのかもしれない。
あるいは初戦から3位決定戦は中10日、決勝までは中11日空いていることもあり、離脱した選手が戻ってくる可能性もあるのだろうか。そのあたりのことはよくわからない。


いずれにしても今後は「ブラジルにどう勝つか?」ということになる。

今後の日程は以下
第4戦 ブラジル戦 11日10時(日本時間22時)
3位決定戦に出る場合は相手は、相手はブラジルだろう 14日14時(日本時間15日午前2時)
決勝に出る場合は、相手はアメリカだろう 15日10時(日本時間22時)

何とかメダルを持ち帰ってきてほしい。

*この記事はスマホでの配信を元に書いており、間違い等あるかもしれません。ご了承ください。


(追記)
ポーランドが2-0でブラジルに勝利し決勝進出決定。
アメリカはまだ決まってないが現実的には決勝進出。よもやケニアに負けるとは思えないので。
ということで日本はブラジルと銅メダルをかけて3位決定戦を戦うことになります。
キックオフは14日26時(15日午前2時)。
11日22時からもグループリーグ残りのブラジル戦がある。
いずれも日本時間。

(追記の追記)
日本選手団よりコロナ陽性者が出たことにより、日本は11日のブラジル戦を棄権。0-3の不戦敗となり、記録としては4位で大会を終えた。

大会辞退は致し方ないこととは言え、本当に残念、無念です。



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