サッカー狂映画監督 中村和彦のブログ

電動車椅子サッカーのドキュメンタリー映画「蹴る」が6年半の撮影期間を経て完成。現在、全国で公開中。

電動車椅子サッカーとアンプティサッカーの交流(訂正有)

2014年03月26日 | 電動車椅子サッカー

去る22日、広島の電動車椅子サッカーチーム「エルスト」とアンプティサッカーチーム「アフィーレ」の交流イベントがあったそうだ。
その時の様子はエルストのブログを参照。
http://blog.livedoor.jp/erst1007/archives/51788751.html

アンプティサッカーは下肢切断者が松葉杖を使って行うサッカー、松葉杖が軸足になる。
GKは上肢切断者。

イベントでは電動車椅子サッカーのキッカーとアンプティサッカーのGKのPK対決や、各々のルールにのっとったドリブルで速さを競ったり、工夫された交流があったみたいで、是非見たかった!

電動車椅子サッカーと他の障害者サッカーとのプレーを通じての交流は過去にあったのだろうか。
もしあったのならば、どなたか教えてください。

他の障害者サッカー間、あるいはいくつかの障害者サッカー団体が集うイベントは過去にも開催されていて私も何度か参加している。
他の障害者サッカー間はレベルを合わせる配慮などが必要な局面はあるものの、お互いにプレーはしやすい。
ブラインドサッカーの場合は、他の障害者サッカーがブラインドサッカーの土俵に乗る必要があり、ろう者サッカーとブラインドサッカーのプレー上の交流はかなりむずかしいが。
もちろんプレーしなくても“サッカー”を語ることはできるだろう。

障害者サッカーが一堂に会するというイベントも意義はあるのだろうが、こういったように個別に交流し理解を深めるという機会は貴重なのではないかとも思う。


ちなみに、いわゆる障害者サッカーとよばれているものを分類してみると以下のようになる。
11人制サッカーと基本的には同じルールが「知的障害者サッカー」と「ろう者サッカー」。
11人制サッカーより狭いピッチで行われるのが「脳性麻痺7人制サッカー」。
フットサルコートの大きさで5人制で行われるのが「ブラインドサッカー」。
「アンプティサッカー」は7人制。そして4人制の「電動車椅子サッカー」。
(訂正! アンプティサッカーは5人制ではなく7人制です。訂正します。アンプティサッカーの関係者とは交流がなく間違えてしまいました。大変失礼しました。アンプティサッカーのプレーは2度見たことがあるのですが、いずれも他の障害者サッカーとの交流の場だったため勘違いしてしまいました。その時に強烈に印象に残ったのがエンヒッキ・松茂良・ジアス、とにかくボールタッチても柔らかくて繊細!
エンヒッキさんの取材記事は以下を参照。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/3023


パラリンピックとの関連で言うと、パラリンピック種目が「脳性麻痺7人制サッカー」「ブラインドサッカー」(B1クラスのみ)。
「電動車椅子サッカー」と「アンプティサッカー」は東京パラリンピックの競技種目として立候補したが選から漏れたようだ。


また全ての障害者サッカーに共通しているのは、日本サッカー協会の協会員ではないということ。
各障害者サッカーの日本代表は青いユニフォームに身を包んでいるが、サムライブルーやなでしこジャパンのユニフォームとは異なる。


全日本難聴者・中途失聴者団体連合会より声明文

2014年03月26日 | 手話・聴覚障害

3月24日、佐村河内氏の記者会見解の質疑応答で、「障害者手帳の対象でなければ聞こえるはず」という障害者手帳交付制度と難聴について大きな誤解が生じていることを憂慮し、全日本難聴者・中途失聴者団体連合会より声明文が出されました。

http://www.zennancho.or.jp/special/statement20140324.html

わかりやすく書かれていますので是非ご一読を。


電動車椅子サッカー ドリームカップのことなど

2014年03月24日 | 電動車椅子サッカー

22日は、電動車椅子サッカーの強豪チームが各地から集うドリームカップに行って来ました。
毎年平塚で開催されています。
17回を数えるドリームカップは様々な変遷があったようですが、現在は国際ルールの10kmで開催されるという点が一つの特徴になっています。
日本における電動車椅子サッカーは国際ルールの制限速度10kmと国内ルールの6kmがあるのですが、客観的に見るには10kmの方がスピード感もあり断然面白いんです。
もちろん6kmは6kmなりの楽しみ方があり、存在意義もあるのですが。

で、実際レベルの高い試合が繰り広げられました。
また各チーム、考え方や戦術が異なり、とても面白いんです。
もちろん選手一人一人のプレースタイルの違いなども面白い点です。

出来れば全試合観たいところですが、同時に2コートで試合が行われるのでそうもいきません。
スムーズな運営のためには当然なんですが。

そして、できれば肉眼で観たいんですが、そうもいきません。
なんせ撮影しにいってるわけですから。
でも撮影していると全体蔵が見えずに欲求不満になることもけっこうあるんです。

優勝したのは東京のレインボーソルジャー。本当に“負けない”チームです。
準優勝は鹿児島のナンチェスターユナイテッド!
いつもお世話になっている横浜クラッカーズは3位でした。

ドリームカップは大会終了後に選手やスタッフなどの交流会があるのも一つの特色になっていて、選手たちの別の側面(渾身のパフォーマンスなど)も垣間見ることができました。

その日は、今まであまり話すことがなかった他の地域のチームの監督さんや審判の方などとも話す機会があり終電で帰宅。
翌日はAPOカップの報告会が横浜であり参加しました。
APOカップとは昨年1月にオーストラリアで行われた電動車椅子サッカーの国際大会。
日本からはチームジャパンとチームニッポンが出場しチームジャパンが優勝、私もオーストラリアまで行って来ました。
その報告会が全国を巡り、最終報告会があったわけです。
様々な報告や課題、意見、提言など、活発な議論が繰り広げられました。

資金難をどう打開していくのかは常にテーマとしてあり、その点も当然話題にあがりました。
日本電動車椅子サッカー協会はサポーターを募集しています。
詳しくは  http://www.web-jpfa.jp/supporter/index.html

また電動車椅子サッカーは東京パラリンピックの正式種目に立候補していたのですが、残念ながら1次審査で落選してしまいました。
通過したのはバドミントンとテコンドー、バドミントンは見たことはありませんが、立位、シッティング、車椅子などがあるようです。
テコンドーは、よくわかりません。隻腕の人がやったりするのでしょうか。

この3連休は、ブラインドサッカーのクラブチームの選手権大会、知的障害者サッカー日本代表の合宿も行われていたのですが、そちらには顔を出せませんでした。


ノーマライゼーションカップでの ブラインドサッカー日本代表と盲導犬など

2014年03月22日 | ブラインドサッカー

ブラインドサッカーとさいたま市がタッグを組んだ「さいたま市ノーマライゼーションカップ」に行ってきた。
メインイベントはブラインドサッカー日本代表とドイツ代表の親善試合だが、ノーマライゼーションと銘打っているように他にも様々なイベントがあり、体験してきた。

まず見えにくさの体験。
ゴーグルのレンズに細工がしてあり、視野欠損や視野狭窄、白内障、中心が見えにくかったり、視野が狭かったり、ぼやけて見えたり、光しか感じれなかったり、ある色が見えにくかったり…。なかなか貴重な経験となった。
出来ればこれらのゴーグルつけてロービジョンフットサルを体験してみたい。
しかしとっても難しそうだ。

それから盲導犬との体験歩行。
会場に盲導犬がいるので、「観客で試合を観に来た人と来たのかな。試合は観るというより聴いて感じるのかな」などと考えていたら体験歩行が出来るという。早速アイマスクを付け注意を聞き体験開始。しかし腰が引けてうまく犬といっしょに歩けない。なんか引きずられているというか、「おいおいおい、ちゃんと俺と息合わせようぜ」という盲導犬の声が聞こえてきそう。だが後半は少しずつ息があってきて少し感じが掴めてきた。
とても貴重な体験だった。

そしてブラインドサッカー日本代表とドイツ代表の親善試合(25分ハーフの前後半)。
試合は前半16分(くらい)、日本はPKをとられドイツに決められ0-1と先制される。日本はその後、りょう(川村怜)のドリブルシュート、キャプテンおっちー(落合啓士)のセットプレーからのドリブルシュートなど惜しい場面はあったものの、0-1で前半修了。
後半7分(くらい)、守備ブロックは出来ていたが寄せが甘かったのか、間をすり抜けられて押し込まれ2点目を献上。その後もりょう(川村怜)が決定機を作り出し再三ゴールを脅かすが、終了間際にはドイツの6番の選手に豪快に蹴り込まれ、0-3と敗れた。

(以下、試合を観ての勝手な雑感です)
日本代表の試合を見たのは1年ぶりだが、守備がより整備されていて、緻密なポジショニングなど練習を積み重ねてきた成果が見て取れた。
しかしブロックは出来ているものの寄せきれなかったりと課題も見えた。
ドイツの6番の選手はいわゆる黒人特有の身体能力で、シュートできる体勢を作っては豪快に“ゴール方面”にシュートを放つ。大きく外れることも多いが、シュートの意識がかなり高い、そういった選手にかなりシュートをうたしてしまった。
昨年のブラジルの選手は足に吸いつくようなドリブルが凄かったが、ボールタッチは多いのでボールの音は比較的聴こえていたかもしれないが、ドイツの6番は一気に1タッチで持ち出してドカンと蹴るものだから、ボールの音が聴きにくいということもあったのだろうか。
ただ課題はあぶりだされたようで、今後よくなっていくでしょう。
攻撃面はセットプレーからのドリブルシュートは練習を積み重ねたのか、再三チャンスを作り出していたが、流れの中からはあまりチャンスを作り出すことはできなかった。
しかしこの時期の国際親善試合、とても得るものが大きかったのではないだろうか。


“ノーマライゼーション”カップですから、試合の開閉会式などには、当然手話通訳がつきます。
私としては当然手話通訳者にも注目。
ブラインドサッカーをいわゆる「盲」「サッカー」というような手話表現ではない表出をされたのでとっても気になり、イベント終了後手話通訳者に質問。
表現自体はとてもわかりやすかったのですが、ひょっとしたらアメリカ手話だったのか、それとも工夫してそう表出したのか、それとも私が知らない間のブラインドサッカーの手話表現が確定(?)したのか?
答えは「打ち合わせをして、今日はそういう表現でいこうということになったんです」とのこと。
納得。
手話表現は一つではないので、この日はこれでいきましょうということも多いんです。

ところで、いきなり質問し名前と正体を名乗り忘れてしまった。


NHKの佐村河内氏関連番組調査報告書を読んで

2014年03月17日 | 手話・聴覚障害

佐村河内氏関連番組の調査報告番組を視聴し、HPにアップされていた報告書を読んだ。
感想を書き記したい。

 
3月16日NHKとておきサンデーの枠内で、佐村河内氏関連番組の調査報告が行われた。
時間は10分ほどで調査報告チームの責任者が緊張気味に説明。
簡単に言えば「NHKスペシャルの番組関係者も気付けなかったと申しております。気付けなかった理由は、かくかくしかじか。すみませんでした。今後気を付けます。詳しくはwebで。」みたいな内容。

番組はとても薄い内容だったので、即座にNHKのHPにアップされていた調査報告書を読んだ。
http://www.nhk.or.jp/toppage/report/20140316.pdf

報告書を読んだ全体の印象は、そもそもディレクター(番組は提案者である契約ディレクターと職員ディレクターの2人体制)は番組制作にあたり、聞こえないとはどういうことなのか、中途失聴者はどういう存在でどういう特徴があるのか、何が大変なのか?、そういった番組のベースになることをきちんと調べて理解していたのだろうか? そして、何か番組作りの根本的な部分が、とてもとても浅い意識の上で作られているのではないか、そんな印象があった。

また伝音性難聴で骨伝導によりピアノが“聴けた”と言われているベートーベンと違い、感応性難聴の全聾あるとされていた佐村河内氏が本当に作曲したのなら「現代のベートーベン」どころかベートーベンをはるかに超えた奇跡の作曲家である。
そこまでの認識はあったのだろうか?

また基本的に疑っていなかったということが書かれているが、嘘をつくメリットがある人間の場合は疑ってかかるという批判的な目でみる必要もあったのではないだろうか。


次に報告書を目次別に見ていきたい。
目次は以下のようになっている。

1発覚の経緯
2訂正とお詫び
3ご出演、ご協力いただいた方々への対応
4番組で取り上げるまでの経緯、および番組の概要
5番組のチェック体制
6なぜ気づくことができなかったのか
(1)本人が作曲していなかったことについて
(2)聴力について
(3)3月10日の聞き取りで佐村河内氏が語ったこと
7今回の問題に関する報道について
8再発防止について

1~5は省略し、6から順次みていきたい。


6なぜ気づくことができなかったのか
(1)本人が作曲していなかったことについて
  ー(事前調査したが)本人が作曲していないのではないかという情報はなかった。
  ー「記譜するシーンを撮影しようとしたが断られた
  ーしかし、 曲のイメージを本人に質問したところ、すらすらと全体構成図を書いた
  ー「出来上がった曲はその通りになっていた」

  以上の理由で気づかなったそうだ。見事に騙されたということだ。 
  ただ完成した譜面の音符の字体と表紙の名前の字体の違いに違和感を抱いたスタッフがいたそうだ。
      “捏造”した創作ノートと照らし合わせれば、嘘に気づけたのかもしれない。

  また、8再発防止の項で「佐村河内氏に関しては、そもそも、別の人物が作曲しているかもしれない、という想定はまったく持っておらず…」とあるが、私は存在を知った時から、かなりの部分を手伝うアシスタント的な人物はいるのではないかと思っていた。
前述したように、感音性難聴の全聾という状態で作曲しているのならばベートーベンより凄いことになり、すべての作業を1人でやっているとはとても思えなかったからである。
ベーシックな部分の作曲をするだけでも充分凄いと思っていた。
いったい何故そういうアシスタント的な存在を考えてもみなかったのか?
そうすれば何かが見えてくる可能性もあったかもしれない。
ただ会議では、聞こえない人がどうやって作曲するのか何度も話題になったようで、そういった意見も出たのかもしれない。


(2)聴力について
ー医師の診断書と障害者手帳の存在で信じこんだ。
ー常に手話通訳を介しての会話で疑わなかった。
ー新たに加わった職員ディレクターによると、佐村河内氏はとても流暢に話すので、最初は、「耳が聞こえないのにあんなに話せるものなのか」と思ったが、手話通訳の人から、中途失聴者はこれくらい話せると聞いたので、「そうなのか」と納得していた

流暢に話せるというのは、中途失聴者の特徴だ。発音は多くの場合、きれいだ。だから聞こえると勘違いされ大変な思いをすることがある。しかし、声の音量の調節ができずに静かな空間で場違いな大きな声を出したりしてしまうこともある。また発音はきれいでも、(うまく言えないが)声に表情をつけるのがなかなできない時もある。番組を見た時に、佐村河内氏が声の表情や音量にいたるまで完璧にコントロールしているので疑問をもった。
おそらくディレクターが疑問に思った点は、ただ発音がきれいだという点だと思われる。そうであるとすれば、理解や下調べが足りなさすぎないか?
もっと突っ込んだ疑問であるのなら、手話通訳者の説明くらいでは到底納得できないだろう。またそもそも手話通訳者は通訳するために現場にいるわけで疑問に答える相談役としているわけではないだろう。


耳が聞こえないと痛感した2つのエピソードも紹介されている。
ー(職員ディレクターが)新幹線の車内で会話中(手話通訳を介して)、トンネルに入りゴーッという音で声が聞き取りにくくなったが、佐村河内氏は同じ声の大きさで話続けていた。

聞こえる人なら声が大きくなるという理屈だ。まさに佐村河内氏の演技の見せところだったわけだ。
しかし前述したように、しゃべれるけど聞こえない人は静かなところで大きな声を出したり、自分の声の音量を調節できないことが多い。
そういったことを把握していれば、一定のトーン、音量でしゃべる佐村河内氏に対して違和感を感じた時があってもおかしくはなかったわけだ。

次に2つ目のエピソード
ー契約ディレクターが、石巻市の被災現場で「今日、どんなことを感じたか」をインタビューした際、佐村河内氏は車道に背を向けていたが、車が近くを走っても気づかなかった。ところがその後、車が視界に入ったらしく、突然驚いた素振りでインタビューをさえぎり、「(耳が)聞こえないので、車が急に来る感じがする」と言った。このときの様子は撮影素材に残っている。

撮影素材が残っているのなら、是非、公開してほしい!!

聞こえないのなら、突然視界に入ってくるのが当たり前なのに、何故佐村河内氏は驚いたのか?
驚くほど近くを通ったのか?
だとすれば風を感じたのではないか、振動も感じたかもしれない。
車との距離や車の大きさによっては、風や振動を感じない方が不自然ということもありうる。
もし仮にそうだとすれば、聞こえない演技をしていることに気づくチャンスだった可能性もある。

以下のようなこともあったようだ。
ー石巻でのコンサートのあとピアニストに演奏についての感想を言う場面を目にして、「不思議に思った」と言うが、「特別な感性を持っている人にはわかるのかな」と、それ以上疑うことはなかったと話している。

 佐村河内氏としては、少し聞こえているのかもというぼろを出した瞬間というよりもむしろ、ピアニストの手の動きを見れば脳内で再生され“脳内”では聴こえていると言いたかった場面だったのかもしれない。

 
7今回の問題に関する報道について
ー契約ディレクターに関し、佐村河内氏の虚偽を知っていたかのような報道があるが、本人は全面的に否定
ーその裏付けとして、佐村河内氏とのメールのやり取りと、佐村河内氏の発言が引用。

 一体全体、佐村河内氏の言葉が裏付けになるのだろうか?
 だとすれば、報道の否定の根拠は「償いきれないほどの裏ぎりをした」という佐村河内氏のメールの文面だけになる。

 根拠もなく契約ディレクターを疑ってはならないが、気づけなかった点も含めて、契約ディレクターに対する調査が足りないのではないか。契約ディレクターはNHK出版から本も出している。番組の制作以外の時間も佐村河内氏と時をともにする時間もあったようだ。
番組制作時以外は、調査対象外としているようだが果たしてそれでいいのだろうか。

ー被災地の少女を探し出したのはNHKスタッフではない。
 
 これも裏付けは、佐村河内氏の言葉である。
  
 8再発防止について
ー佐村河内氏の「音楽的経歴」については、両親への取材を申し入れたが、拒否された。友人にも話を聞いたが、佐村河内氏の経歴を疑わせる発言はなかった。もっと取材範囲を広げて裏付け取材を行えば、経歴が虚偽であったことを見抜けたかもしれない。
社会的に一定の評価が定着している人物を番組で取り上げるとき、その経歴や評価についてどこまで確認をとるべきなのか、番組制作の教訓として重くとらえている。

確かに、どこまで裏付け取材をするのかむずかしい問題ではある。
ただ、嘘をつくことによりメリットを得る可能性が高い人の場合は必須であろう。

また再発防止のためには、前述したようにベーシックな部分に対する理解がもっと必要なのではないだろうか。
今回の件で言えば、 聞こえない聞こえにくいこと、そしてそれにまつわることは、とても理解するのがむずかしい。
私自身の体験で言えば、ろう者サッカーのドキュメンタリー映画を撮った際には、(ある程度の)理解のために膨大な時間を費やした。
たまたまそういった蓄積があり、番組を見た時点でも疑問に思うところが多々あった。

ところが、疑問や疑念があるのにも関わらず、その後、佐村河内氏のことを特に調べたり何もしなかった。
そのことをとても後悔している。
ひょっとしたら嘘に気づけたのではないか。そこまでいかないまでも、確信をもっておかしいとは思えたのではないか。
新垣氏の会見の後しばらくしてから、本当に落ち込んだ。

ブログにしつこいくらい書き込み続けているのは、そんな理由があるからだ。

それはさておき、結果として間違った情報を垂れ流し、佐村河内氏個人の“嘘の”宣伝番組を多くの予算を使って制作した報告書としては、あまりにも物足りない。
再発防止のためにも、直接関わったディレクターやプロデューサーがきちんと肉声で語る検証番組が必要なのではないだろうか?