サッカー狂映画監督 中村和彦のブログ

電動車椅子サッカーのドキュメンタリー映画「蹴る」が6年半の撮影期間を経て完成。現在、全国で公開中。

ICU

2020年04月19日 | 日記

ICUということばを聞くと、いつもドキリとします。

16才の時に交通事故で腎臓破裂、緊急手術後、目覚めた場所がICUでした。その時はICUに一人だけでした。
翌日か翌々日、他の患者がキャスターで運ばれてきました。
その数時間後だったでしょうか翌日だったでしょうか、医師、看護士、親族らしき人が周りを取り囲んでいる風景がチラリと見えました。寝返りも打てないので、横目で視界に入る程度です。
そして音が一瞬無くなりました。その後、漏れ聞こえてくる嗚咽の声。

「死んだんだ」少年の俺は思いました。

その翌日か翌々日、また患者が運び込まれてきます。同じような光景が繰り広げられ、一瞬の静寂がおとずれます。
そしてまた3人目が…。
静寂の瞬間、息をしているのは俺だけでした。
1週間ほどの間に、3人の方がICUに運び込まれ、命を落としました。
「なんて人間の命ははかないんだろう」

そしてやっと生き延びて、ICUを脱出することが出来ました。
ICUが死へと向かう場所でないことを願います。
生き抜く場所であることを。
ICUにも入れず、その前に息絶えるとしたら、あまりにも無念です。


都知事会見の手話通訳

2020年04月10日 | 手話・聴覚障害

本日の小池東京都知事の会見。
「私はちゃんとやろうとしたんですが国からいろいろ言われて」
「知事は中間管理職」
ということで、例えば居酒屋は協力費を支払うつもりだったが、払えなくなったということでしょうか。
補償を出すべき業種だと思いますが。

政府からすると国民の命は第一義ではないのかと思う今日この頃ですが、
都知事会見で手話通訳、日本語字幕を各局がどう対応しているかチェックしてみました。

生中継していたのは、NHK、日本テレビ、テレビ朝日、TBS、フジテレビ、MXTV。東京の地上波では、テレビ東京以外全て。
手話通訳は全局ワイプで抜いていましたが、フジテレビは少し遅れて、日本テレビがかなり遅れており最初は通訳無しでした。
日本語字幕は、TBSとMXTVは無し、他はあありました。

また各局が都知事の右に立っている通訳者をワイプで抜いているのに対し、MXTVだけは独自の通訳者がグリーンバックで抜かれていました。
MXTVに詰めている通訳者ということでしょうか。
その2人のうちの1人が、地域の手話通訳者の先生だったので個人的にはびっくり。

ワイプの大きさは日本テレビとMXが大きめで、あとはあまり変わらないようでした。

手話通訳者の読み取りやすさは、日本手話が母語のネーティブサイナー、日本がかなり頭に入っているろう者、中途失聴者によって違うかと思うので、
選択すると良いかも。
今日の方式だと選択肢は2つ、MXTVとどこか他局。

今日の放送で言えば、聴覚障害者は、手話通訳と日本語字幕が最初からあったNHKかテレビ朝日が良いということになります。
MXTVは日本語字幕はありませんでしたが、通訳者が違うので選択肢に上がってきます。

大阪府知事の会見に手話通訳をつけないという記事を読んで驚き、思わず下記のtweet、都知事の手話通訳に関してチェックしてみました。
「手話通訳をつけないなんて考えられません。
情報保障をなんだと思ってるんですか!
とにかく現在頼めるベターな手話通訳者をつけるべきです。
マスクを外せば聴覚障害者が読み取れると思っているのなら、無知の極みです。」


植松聖死刑囚移送

2020年04月08日 | 障害一般

本日8日横浜拘置所へ『相模原津久井やまゆり園事件』植松聖死刑囚の接見に初めて行ったのだが、空振りに終わってしまった。
昨日、刑場のある東京拘置所へ移送されたそうだ。

事件が起きたのは2016年7月。当時は電動車椅子サッカーのドキュメンタリー映画『蹴る』の撮影中で、障害への理解や製作資金捻出のため介護の資格を取り訪問介護の現場に身を置いていた時期でもあり、とても衝撃を受けた。
しかしその後は『蹴る』の撮影、編集、公開でいっぱいいっぱいで、数冊の書籍に目を通す程度。
今年に入って公判が始まって以降、正確に理解しよう事件と向き合おうという思いもあり、慌てて新聞、書籍、雑誌『創』等に目を通し、裁判の抽選に通い一度だけ公判の傍聴ができた。
そこで植松死刑囚本人の顔や姿かたちは目にすることができたが、肉声は聞くことができなかった。
その後、植松死刑囚の自宅~津久井やまゆり園~小学校への通学路を歩き彼の人物像を思い描くのだが、裁判が犯行動機に深く分け入らなかったことも相まってなかなかイメージ出来ない。
そこでどんな声でどういうふうにしゃべるのか一度接見してみようと先月ご挨拶したばかりの『創』の篠田編集長にお願いし、同行することは出来たのだが既に移送された後だった。
念のため東京拘置所へも行ったが面会出来ず。今後、植松死刑囚は親族と弁護士にしか接見できないという。

これからは、情報も減り話題になることも少なくなってくるだろう。
自分としては出遅れてしまったのだが、この事件のことは考え続けていきたい。