サッカー狂映画監督 中村和彦のブログ

電動車椅子サッカーのドキュメンタリー映画「蹴る」が6年半の撮影期間を経て完成。現在、全国で公開中。

映画「蹴る」来春公開決定 東京国際映画祭で先行上映

2018年10月13日 | 映画「蹴る」

2011年夏より撮影を始めた電動車椅子サッカーのドキュメンタリー映画「蹴る」が今年完成し、来春(2019年春)ポレポレ東中野での上映が決まりました。

それに先立ち、東京国際映画祭のミッドナイト・フィルム・フェスでワールドプレミア上映されます。

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10月26日22時よりトークショー開始。もちろん私も行きます。
FCバルセロナのドキュメンタリー 『ボールを奪え パスを出せ/FCバルセロナ最強の証(あかし)』に引き続いての上映。
深夜の上映ですが、是非、電動車椅子サッカーの世界に触れ、選手達の生き様を観てください。

「蹴る」の後は、サッカー日本代表がW杯初出場を決めたアジア予選を証言で振り返った『ジョホールバル1997』の上映。
サッカー映画3本立のオールナイト上映になります。

今回の上映は日本語字幕版(聴覚障害者用日本語字幕付き)ではありません 。来年の公開時は、日本語字幕版での上映の機会を作ります!

 
映画“蹴る」の情報等は
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 映画「蹴る」電動車椅子サッカードキュメンタリー (@kerupictures) | Twitterhttps://twitter.com/kerupictures
Facebook   蹴る   kerupictures

個人のFacebookは 中村 和彦
twitterはほとんど使っていませんでしたが、これからは少しずつ発信していこうかと思います。
中村和彦 映画監督 kz_nakamura

 


横浜F・マリノスカップ 電動車椅子サッカー大会

2018年10月08日 | 電動車椅子サッカー

 10月6日~7日、横浜ラポールで開催された「横浜F・マリノス第16回電動車椅子サッカー大会」へと行って来た。
 どうしても都合がつかなかった年を除き2012年3月の第9回大会よりずっと通い続けた大会だが、撮影しなかったのは初めて。それも当然、撮影は電動車椅子サッカーのドキュメンタリー映画「蹴る」を作るためであり、映画は既に完成したからである。マリノスカップだけでもかなりの時間撮影したのだが、結果的には映画では全く使用していない…。というかマリノスカップのみならず、映画のために撮影したほとんどを使用していないと言っても過言ではないかもしれない。
 映画「蹴る」は膨大に映像から編集した1時間58分の映画となった。

 映画の話はともかく、マリノスカップは横浜マリノス㈱が共催から主催に回った頃から規模も大きくなったように思う。
 今大会は前回に引き続き、電動車椅子の制限速度6kmのカテゴリーと10kmのカテゴリー、2つが行われた。また両日とも電動車椅子サッカーの体験会も開催、多くの人々が電動車椅子サッカーに直接触れる貴重な時間にもなった。最後は横浜F・マリノスのキャラクター、マリノスケ君も体験。あの“体”で車椅子に座れるのかと思ったが、なかなかのテクニックを見せていた。

 今大会は関係者の皆さんに新作映画の報告をしたり、特に1日目はあまりじっくり試合を観れないこともあったが、個人的目線で簡単に大会を振り返っておきたい。(いつもはわからない点は選手に確認したるするのだが今回は怠っているので誤っている点があったらすいません)。

 6kmカテゴリーには、4チームが参加。決勝に進んだのは2連覇中のBLACK HAMERS(埼玉県)とDKFBCディスカバリー(愛知県)。試合の序盤互いに点の取り合いになり2-2となったが、その後スコアは動かずPK戦へ。優勝したのはDKFBCディスカバリー。ディスカバリーの長谷川監督は映画撮影時にもお世話になり、自宅へも伺った。その時の映像はしっかりと使用している。
 3位となったTAMA猿(東京)は、以前見たときよりストライクフォース(アメリカ製の電動車椅子)比率が上がって、そういう面での強さも増している印象。

 10kmカテゴリーは6チームが参加。まずは3チームがグループリーグを戦った。
 第1試合はYokohama Crackersと北海道のSafilva。Safilvaは2人しか試合に出場できず Crackersが10-0で勝利。
 隣のコートで行われたのはFCクラッシャーズとYOKOHAMA Bay Dreamの対戦。それにしてもクラッシャーズの飯島は“魅せる”選手である。フェイントなどの個人技はもちろん、2手先3手先を考えたプレー。ビブスを着用しないでプレーしていたのでよりダイナミックなプレーが見れるような期待感を抱かせた。(ビブスは世界的にはGKが着用するが、日本ではチームの中心センタープレーヤーが着用し、攻守の大黒柱となることが多い。ビブスをつけた選手はゴールエリア内においては、電動車椅子サッカー特有のルールである2オン1の適用を受けない。少々わかりにくいかと思いますが…。)
 その飯島、森山、佐藤とつながった2点目は見事だったし、 Bay Dreamのゴールニアサイドがわずかに空いた隙を逃さなかったキックインからの直接ゴールも素晴らしかった。ということでクラッシャーズが4-0と勝利。

 第2試合はSafilva0-7Red Eagles兵庫。Red Eagles兵庫はマリノスカップ初参戦。
 Crackersの若手とベテランで新たに編成されたYokohama Red Spirits はキャプテン中山が無念のスピードテスト失格(試合前に制限速度以上にスピードが出ないように設定されているかどうかのチェックがある)、そのことがどこまで影響をあたえたのかどうかはわからないが、YOKOHAMA Bay Dreamに0-4の敗戦。

 第3試合は2日目。Yokohama CrackersとRed Eagles兵庫の試合。地力のある両チームの試合は拮抗した試合となり後半残り1分まで0-0。終盤押し込んでいた兵庫が、間接FKのチャンスに内海の蹴ったボールを上月が合わせてゴール。兵庫がそのまま逃げ切り1位通過となった。Crackersとしては0-0で終われば1位通過。少し気持ちが守りに入った点もあっただろうか。
 もう1試合は自力に勝るクラッシャーズがYokohama Red Spirits に4-0の勝利。Red Spirits は前半4点を奪われたものの、後半は無失点、成長の跡も見せた。
 
 続く順位決定戦は2人のSafilvaに苦戦したYokohama Red Spiritsだったが、何とか1点を取り5位。Safilvaは6位。2人でお疲れ様!
 3位決定戦は横浜同士Yokohama CrackersとYOKOHAMA Bay Dreamの対戦。前半7分 Bay Dreamの自陣からのクリアボール(というかCrackers選手のシュートの跳ね返り)が無人のCrackersゴールへ、一度はポストに助けられるが加藤が詰めてBay Dreamが先制。Crackersは紺野のポジショニングに難があったのかもしれない。しかしCrackersは9分、永岡が左サイドでうまくボールをキープ、中央へのパスを三上が決めて同点に追いつく。後半(時間忘れました)、Bay DreamのFKが加藤(高林?)、菅野とつながり、最後は安田が決めて勝ち越し。Bay Dreamがそのまま逃げ切った。
 近年、Bay DreamにとってCrackersはどうしても勝てない相手だった。しかし先日の県大会に続いての勝利。以前のBay Dreamは、ある程度のタレントは揃っている印象があったが、どこかしら勝負への執着心が薄いような感じを抱いていた。しかし現在は個々の力が上がったことも相まって総合力が高まっている。何よりもチームの一体感を感じた。日本選手権でもとても楽しみなチームだ。
 一方、Crackersはベテラン竹田引退後のチームの形がなかなか見えてこない。いわばどん底の時期かもしれない。是非、日本選手権までに立て直して、勢いのあるCrackersのサッカーを見せてほしい。昨年の優勝チームでもあるのだから。

 決勝はRed Eagles兵庫とFCクラッシャーズの対戦。
 FCクラッシャーズは前述した飯島のみならず、森山も力を伸ばしている。佐藤も安定間のあるプレーを見せ、太田も粘り強い守備を見せている。そのクラッシャーズは前半3分、飯島のFKを森山がうまく方向を変えて先制。というより森山は逆サイドに折り返そうとして当たり損ねてうまくゴールの方向に転がり、内海と上月の間を抜けたようにも見えた。しかし8分には兵庫の浅原がゴールを決め同点。12分にはFKから内海、井上、中村とつながり逆転。2-1でRed Eagles兵庫が優勝した。
 MVPの内海は大車輪の活躍。有田が去った後のRed Eagles兵庫の中心選手となった。最初に内海を見た時は体は強いものの技術的な面では首をかしげざるを得ないこともあったが、その時とは隔世の間がある。アメリカW杯ではあまり試合に出られない悔しさもあっただろう。飯島とも1対1でかなり渡り合っていたし、声も単に大きいというだけではく、チームの中心選手としてのコーチングへと進化を遂げつつあるという印象だった。Red Eagles兵庫は井上がストライクフォースになったこともチーム力アップにつながっているようだ。
 今年の日本選手権は12月1日~2日、例年になくチーム力が拮抗しておりとても楽しみである。

 横浜マリノスは知的障がい者サッカーチームフトゥーロの活動や、電動車椅子サッカーマリノスカップの開催に力を注いでいる。各Jリーグチームも既に様々な取り組みをされているチームもあるだろうが、今後も地域の障がい者サッカーと連携した活動を行っていってほしい。