サッカー狂映画監督 中村和彦のブログ

電動車椅子サッカーのドキュメンタリー映画「蹴る」が6年半の撮影期間を経て完成。現在、全国で公開中。

第6回パワーチェアーフットボールブロック選抜大会は関東代表が3連覇

2014年08月27日 | 電動車椅子サッカー
8月24日、鹿児島市内の鹿児島アリーナで、マルハンカップ第6回パワーチェアーフットボールブロック選抜大会が開催された。
パワーチェアーとは電動車椅子のこと、フットボールはサッカー、すなわちパワーチェアーフットボールとは電動車椅サッカーのこと。
ブロック選抜大会とは関東や関西などの各地域(ブロック)の選手たちがクラブチームの枠を超えて選抜され、ブロックを代表して戦う大会、自ら希望しない場合を除き、個の能力が優れた選手がほぼ出場する。
そういった意味で見応えのあるプレーを目の当たりにすることが出来る大会で、6回目の開催となる。
また電動車椅子のスピードは国際ルールの10kmで行われるためスピード感溢れるプレーも魅力の一つである。

その大会に撮影取材観戦で鹿児島まで行ってきた。
8月24日の試合当日は対戦相手を決める抽選から始まった。
参加ブロック数や開催日数によってはグループリーグ&決勝トーナメントの大会も過去にはあったが、7チーム参加の今大会は初戦から「負けたら終わり」のトーナメント制。
しかも抽選次第で試合開始時間が、9時半、11時、12時半の3パターンがある。選手たちはれ9時半キックオフを前日から想定し心身の準備をするが、時間がずれ込んだ場合にほ心身をリセットし臨まねばならない。デリケートで大変な作業だが、例えば国際大会では他の競技などの場合でもよくあること。狙ったわけではないかもしれないが、結果として対応力が試される大会にもなっている。
またそもそも大会会場に行く行程そのものが、選手やご家族にとっても大変な作業だ。もちろんそれほど苦にしない人もいるだろうし、もう「どうせなら楽しんでしまえ」という境地に至ったご家族もいるように見受けられる。

そんなこんなで集まった鹿児島開催の全国大会。
第一試合は、ABの2コートで同時に2試合がキックオフ。関西代表対中部代表と九州代表対中国代表の対戦。
いずれも日本代表候補を擁するチームが目白押し。どちらを観戦し撮影するか迷うものの2試合とも観たいという欲望を抑えられず、きょろきょろと首を振りつつ試合を観戦、得点の匂いがするとカメラを向け撮影。
中部代表対関東代表の一戦は、中部が前半早々2分ににFKから松浦選手、飯島選手とつないで先制するものの、後半に強い関西が有田選手のゴールで追いつき1-1となりPK戦へ。
電動車椅子サッカーのPK戦は、最初の1巡が終わると距離を遠ざけ5mの位置からのPKとなる。レベルの高い試合では最初の1巡で決まることはほぼない。
この試合も2巡目まで突入。
そして有田選手がシュートをブロック、関西が勝ち上がった。
抜群の戦術眼の飯島選手が引っ張る中部は、わずか1試合で姿を消すにはあまりにも惜しいチームだった。

地元の九州は日本代表候補チームのキャプテンを務める塩入選手や東選手がチームを引っ張る。
後半、その九州がFKのチャンス。塩入選手が東選手からのリターンを持ち込み先制、その1点を守りきった九州が中国を退けた。日本代表候補の中野、内海選手は初戦で姿を消した。

第2試合は北陸対北海道。選手層の薄い北海道は0-9と北陸に敗れ、北陸が勝ち上がった。

第3試合は1回戦不戦勝の関東と勝ち上がってきた関西の対戦。
前半、関東の左コーナーキックのチャンス。永岡選手がファーサイドで待ち構える北沢選手に正確無比なボールを供給、北沢選手が押し込み先制。関東がそのまま関西を抑え込み1-0で決勝進出。
もう1試合は九州が3-0と北陸を破り決勝へ。
この試合は全く観れなかったのですが。

決勝は、3連覇をかけた関東に地元九州が挑むという形に。ただでさえノリのいい九州のテンションが地元の大声援を受けさらに上がる(たぶん)。
試合は関東がチャンスを作り出すものの、0-0の時間が続く。
そして前半18分、ドリブルで持ち込んだ北沢選手が起点となり押し上げた吉沢選手へ折り返す。パスを受けた吉沢選手が遠目からシュートを放つ。川崎選手がいったんは弾き返すものの北沢選手が詰め塩入選手のオウンゴールを誘い、関東が先制点をあげた。
前からプレスをかけた関東がチームで奪い取った得点だった。
前半終了間際に間接フリーキックのチャンス得た関東は、紺野選手がチョンと出し永岡選手が強烈なシュート。塩入選手がいったんはブロックするものの、紺野選手がダイレクトで狙いすましたシュートを放ち、ゴールをこじ開けた。
関東は、成長著しい紺野選手のゴールでリードを広げた。
さらには関東は後半開始早々、左サイド北沢選手のキックインから、ニアサイドの三上選手がスルー、ファーサイドの永岡選手がゴールを決め3-0と九州を突き放す。
そして試合終了のホイッスルが鳴り響き関東が優勝、3連覇を決めた。

関西対北陸の対決となった3位決定戦は関西が勝利、3位となった。

尚、MVPには関東代表の永岡真理さんが選ばれた。

終わってみれば、関東代表の層の厚さを感じさせる大会となった。
また関東代表でともに練習し、クラブチームの練習時に骨折したYokohama Crackersの野田拓郎選手の思いが各々の選手に宿っていた、そういったこともあったのかもしれない。

知的障がい者サッカー日本代表、“誇りの”ベスト4

2014年08月25日 | 知的障害者サッカー

知的障がい者サッカー日本代表は、3位決定戦で0-2とポーランドに敗れたものの、史上最高のベスト4という成績で大会の全日程を終えました。

3位決定戦では、キャプテンでありチームの大黒柱の野澤選手が右肘脱臼という怪我を負い交代を余儀無くされたそうで、交代がなければゲームの流れもどう転んだのかわからないといった試合内容だったようです。
以前は、サッカーはとんでもなくうまいがとても無口で感情も表に出すことはなかった野澤選手でしたが、交代後にはベンチで号泣。キャプテンに指名され責任感が格段に増し積極的に話すようにもなった野澤選手、彼の思いを受け山内選手をはじめ他の選手たちも懸命に声を出しピッチを駆け回ったようです。
3位決定戦に敗れたのは残念ですが、ベスト4という成績は歴史に刻まれるべき素晴らしい成果だと思います。
この結果は偶然でもなんでもなく、自国開催の2002年から4大会連続で出場し続け知的障がい者サッカー日本代表の灯を絶やさなかったからこそ。ことに2006年以降は資金難に悩まされながらも出場を続けてきたからこそ。小澤監督をはじめスタッフの方々の熱心な粘り強い継続的な指導があったからこそ。そしてもちろん代表のみならず、地域での熱心な指導者の存在、それに応えた選手の頑張りがあったからこその成果だと思います。
彼らが苦手な、連係した守備、声の連係など、繰り返し繰り返し練習を積み重ねせ課題を徐々に克服した成果がブラジルでも発揮されたのだと思います。

また準決勝や3位決定戦で敗れることはグループリーグで敗れた以上の悔しさもあったかと思います。そこまでいったからこそ得られた悔しさとでもいうのでしょうか。
代表チームは平均年齢もまだまだ若いようです。
次回大会以降、さらなる高みを目指してほしい。私なんかがとやかく言うまでもなく、選手たちはおそらくもうすでに先を見据えていることでしょうが。


知的障害のサムライブルー 準決勝敗退 3位決定戦へ

2014年08月22日 | 知的障害者サッカー

ブラジルで開催中の知的障害者サッカーの世界大会、INAS-FIDサッカー世界選手権大会。
知的障がい者サッカー日本代表はサウジアラビアに1-3と敗れ、3位決定戦にまわることになりました。

詳しくは日本知的障がい者サッカー連盟のHPを参照。
http://jffid.com/post-2817-2817.html

試合経過を見ると前半12分にPKで先制されたようですが、「ファールでしか止められなかった」という感じだったんでしょうか。サウジにはスピード溢れるFWがいたようですし。
(訂正・クリアボールが味方の手に当たり、ハンドを取られたそうです)
その後、前半20分に追加点を奪われ、前半終了間際に再びPKで0-3。しかし試合終了間際の後半45分に浦川選手のゴールで1点を返し、次につながるゴールとなったようです。

3位決定戦の相手は、準決勝で南アフリカに1-1とPK戦の結果敗れたポーランド。
キックオフは、日本時間の8月23日(土)22時。
ポーランドは、グループリーグで1-5と敗れた相手なのでもちろん難敵ですが、最終戦の勝利を願うのみです。
決勝は、サウジアラビアvs南アフリカ。
ベスト4に残った国でFIFAワールドカップにも出場しているのは日本だけですね。

ところでグループリーグ最終戦ドイツ戦(7-0で勝利)の試合映像ダイジェストを見ましたが、ドイツが退場者を出したのは日本が3-0とリードした後でした。ドイツが退場者を出したことも勝因の一つかと思っていたのですが、11人対11人の時点で3点奪っていたわけですね。この点は特筆すべきこと。
浦川選手のハットトリックはもちろん素晴らしいですが、ペナルティエリアにドリブルで切れ込みDFを引きつけアシストを決めたりと、キレのある動きを見せていました。
ダイジェスト映像はドイツの立場からすると失点シーンばかりで良い所はないのですが、それにしても2006年に見たドイツよりかなり力が落ちる印象ではありました。もちろん日本が強くなった、成長したとも言えるわけですが。ドイツは強化合宿などあまりやれなかったんでしょうか。ちょっとよくわかりませんが。

それはともかく、とにかく最終戦は選手・スタッフともに悔いのないように“やりきってほしい”と思います。

 


知的障害のサムライブルー、準決勝進出決定!

2014年08月20日 | 知的障害者サッカー

知的障がい者サッカー日本代表の準決勝進出、ベスト4以上が決定!
対戦相手は2大会連続優勝のサウジアラビア。資金面では負けているかもしれないが、ピッチ上で勝ちをもぎ取ってほしい! ちなみにサウジアラビアはグループリーグを、vsスウェーデン9-0、vsフランス5-0、vs南アフリカ7-1の3勝、勝ち点9、得失点差➕20でグループリーグを1位通過。
試合日程は、日本時間の8月21日木曜日23時40分~。日本は中3日、サウジは中1日。
もう一つの準決勝は、ポーランドvs南アフリカ。

決勝は8月24日月曜日午前3時~(23日深夜)。
3位決定戦は23日(日)22時~。

*試合はいずれも日本時間


知的障害のサムライブルー、準決勝進出濃厚!

2014年08月19日 | 知的障害者サッカー

現在ブラジルで開催中の知的障害者サッカーの世界大会、INAS-FIDサッカー世界選手権ブラジル大会。
日本代表はグループリーグ第3戦のドイツ戦に7-0で勝利、グループリーグを1勝1敗1分けの勝ち点3得失点差+3で終え、決勝トーナメント(=準決勝)進出が濃厚になった。

ドイツは退場者を2人出し“自滅した”ようだ。知的障害者サッカーの場合、精神的にもろい側面を持っている選手も多く、一度気持ちが切れると立て直すのは容易ではない。そのあたりがドイツチームはうまくいかなかったのかもしれない。一方の日本は、小澤監督の12年間の粘り強い指導の下、技術戦術面での成長はもちろんメンタル面での成長も大きい。合宿に足を運んだ際、その点は強く感じた。運も味方した側面もあったのかもしれないがチームの総合力アップが呼び込んだ勝利という気がしてならない。ドイツは8年前の大会の開幕戦で0-3と涙をのんだ相手、倍にして借りを返したことになる。

現在のグループBの順位は1位ポーランド、2位日本、3位ブラジル、4位ドイツ。ポーランドは1位通過、ブラジルはグループリーグ敗退が決定。この大会は変則日程で行われているため、19日のドイツvsポーランドの対戦が終わるまで日本の最終順位は確定しないがドイツがポーランドに11点差をつけて勝たない限りは日本が2位通過となる。もしかりにドイツが11点差で勝利すればドイツが2位通過、日本はグループリーグ3位となり5位ー6位決定戦にまわることになるが、現実的には考えにくい。
一方グループAはサウジアラビアと南アフリカがグループリーグ突破を決め、19日の直接対決で順位が決まる。
3位はフランス、イブラヒモビッチの支援を受け出場したスウェーデンは3戦全敗の得失点差ー21で4位となり7-8位決定戦にまわる。

日本がグループリーグ突破した場合、準決勝は20日水曜日におこなわれ、対戦相手はサウジアラビアか南アフリカ。両チームは前日に試合を行っているため、コンディション的には有利となる。
(しかしどういう日程なんだ)
(*追記訂正 準決勝は8月21日木曜(現地時間11時40分~、日本時間23時40分~)に2試合ともおこなわれるようです。したがってサウジアラビアは中1日、日本は中3日ということになります)


今回は参加国が少なかったことも準決勝進出を濃厚にした一つの要因ではあると思う。もちろん日本チームが自力をつけてきたことが好結果を生んでいるわけであるが、参加し続けていること、チームがチームとして機能し続けていることも大きな要因だ。出なければ勝てないのだ。資金的にも大変な状況のなか出場し続けているからこそ、よりよい結果が生まれようとしている。
一つでも上の順位を持ち帰って来てほしい。

ドイツ戦の行われた日は応援ユニフォームをずっと着てたんだけど、水曜日も着ておかないと!

尚、試合結果の詳細は日本知的障がい者サッカー連盟のHPに随時掲載されています。
http://jffid.com/tag/%E7%9F%A5%E7%9A%84%E9%9A%9C%E5%AE%B3%E8%80%85%E3%82%B5%E3%83%83%E3%82%AB%E3%83%BC

ブラジル戦のダイジェスト映像を見ましたが、浦川選手の積極的な攻めの姿勢が目に付きます。頼もしい限り。

*文中の試合日程はいずれもブラジル時間。