サッカー狂映画監督 中村和彦のブログ

電動車椅子サッカーのドキュメンタリー映画「蹴る」が6年半の撮影期間を経て完成。現在、全国で公開中。

CPサッカー日本代表 開催国デンマークに劇的な逆転勝利

2016年07月31日 | CPサッカー

 IFCPF World Championship Qualification Tournament グループリーグ第2戦でCPサッカー日本代表はでデンマークに先制されるもの逆転、勝ち点を6にのばした。

 第1戦で先発した井上天馬はベンチスタート、中岡晧大が先発メンバーに名を連ねた。GKは柳英行、ディフェンスは戸田哲也と浦辰大、中盤右に中岡晧大、左に三浦良介、トップ下に大沢翔太郎、1トップに谷口泰成。

デンマークはパラリンピック出場国よりは実力が落ちるものの、初戦のフィンランドよりは地力もありそうなチーム。そのデンマークに日本は序盤から攻め込まれるが、日本にとっては想定内だったようで耐える時間が続く。
 日本も隙を見てデンマークゴールに迫る。10分にはGKからのボールを受けた三浦が前を向き中央への折り返しを谷口がダイレクトでシュート。11分にはコーナーキックから戸田がシューㇳを放つがデンマークGKがパンチングで弾き出す。
 その後もGK柳の好守や、選手全員の集中した守備でゴールを許さない。
 しかし23分、コーナーキックからのパスを受けたデンマークの選手のファーへ巻いたシュートがゴールネットを揺らし、日本はデンマークに先制を許してしまう。CPサッカーのGKにとってはつらい軌道、見事なシュートだった。

 0-1で向かえた後半、中岡に代わり井上天馬が入りトップ下へ。初戦、中央で安定したプレーを見せてくれた井上は前日の負傷が癒えておらず30分なら行けるという判断だったのだろうか。
 そして向かえた後半2分、右サイドから浦のロングシュートが決まり日本は同点に追いつく。浦は守備の安定感が増し前線へのフィードやシュート力もアップ、今大会好調のようだ。
 
 その後耐える時間帯も多いものの日本の選手たちは集中した守備を見せる。今大会最後尾でプレーする戸田は、以前は天才肌でどこかムラがあるような印象もあったが、例えば後半15分には相手コーナーキックになろうかというボールをスライディングでタッチに逃げるといった泥臭いプレーで強い責任感を示す。今大会の戸田は本当に素晴らしい。
 日本は発展途上のチームだが同じ方向を向いてプレーしていることが伝わってくる。大沢、三浦も懸命に走り回る。
 
 じりじりするような時間が続きむかえた後半28分、左サイドからのクロス(おそらく井上のクロス)をニアで合わせた谷口のゴールが決まりついに逆転!谷口は喜びを爆発させる。
 アディショナルタイムの猛攻をしのぎ切り日本は2-1と勝利し、勝ち点を6にのばした。

 安永イズムが浸透してきていて見ていて面白い。さらに強い相手との試合でどうなっていくか?
 とても楽しみ。


 この後おこなわれるカナダとフィンランドの対戦で、カナダが勝てば日本のグループリーグ突破が決まり来年の世界大会の出場権を獲得する。

次戦はカナダ。キックオフは8月1月曜日18時30分(日本時間)

PS かなり主観で書いている部分もあるのでその点はご容赦を。

追記 その後、カナダがフィンランドに勝利。その時点でグループリーグ突破と来年の世界大会出場が決まりました。おめでとうございます! こうなったら優勝目指して突き進んでください!

CPサッカー日本代表 初戦勝利!

2016年07月30日 | CPサッカー

 デンマークで開催中の「IFCPF World Championship Qualification Tournament」
 CPサッカー日本代表はでフィンランドを4ー1と下し、グループリーグ初戦を勝利で飾った。

 日本の先発はGK柳英行、ディフェンスは戸田哲也と浦辰大、中盤は右に大沢翔太郎、左に三浦良介、トップ下に井上天馬、1トップに谷口泰成。2−3−1の布陣。
(キックオフ時点では谷口選手が中盤左下がり目にいたり、上記とは違う布陣でした。その後わりとすぐに上記の布陣になりました。その他の時間帯もポジションチェンジはよくやってました)
 キックオフ直後から日本がフィンランド陣内に攻め込む。フィンランドは昨年パラリンピック予選で対戦した相手国と比べると地力が落ちるようだ。
 先制したのは日本。前半11分、CKからのパスを受けた戸田が一人かわして左45度からニアサイドを狙いすましたシュートを放ちゴールネットを揺らす。 16分にはハーフウエイライン付近から浦がロングシュート、GKの頭上を越し2点目。19分にはフィンランドに1対1の局面を作られるものの、GK柳が好守を見せる。

 前半を2−0で折り返した日本は、後半、大沢に代わり中岡皓大が入る。
 40分のピンチは柳の好守でしのいだものの、41分フィンランドにPKを与えてしまう。柳がいったんは止めたものこぼれ球を押し込まれ1点を返される。しかし日本は再び攻勢に出る。43分、見事な上がりからの戸田のシュートはフィンランドGKに阻まれるものの、45分左サイド中岡のクロス(シュート?)がフィンランドのオウンゴールとなり3−1とリードを広げる。
 49分には負傷(ちょっと心配)の谷口に代え黒田翔が入る。その後三浦に代わり大野もピッチへ。
 60分には浦の立てパスをゴール前で受けた井上天馬が反転してシュート、ビューティフルゴールが決まり4-1。
 終盤、激しい球際の争いをしのぎきった日本は4-1と勝利した。

 日本は左右の幅をコンパクトにしてフィンランドに中央のスペースを与えない見事な勝利!

インターネット中継では、ポジショニングの指示の声など監督の声が大きく聞こえてきて興味深く観ることができた。
スムーズには走れないCPサッカーにおいてポジショニングはとても大切で、蹴り足が限定されることを考えると事前の体の向きも極めて重要だ。将来的には安永監督の指示がなくとも適正なポジショニングを取れるようになれば、1ランクも2ランクも上にいけるだろう。

 次戦は30日土曜日23時(日本時間)、相手は開催国デンマーク。必見です。 


相模原障害者殺傷事件についての雑感

2016年07月29日 | 障害一般

 神奈川県相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で起きた殺傷事件から数日が過ぎたが、いろんな思いが錯綜している。

 
最初の一報に触れた時は今年2月川崎の老人ホームで起きた殺人事件を想起した。またしても介護の現場で痛ましい事件が起きてしまったのかと。時折起きてしまう“職員による虐待”の延長線上の殺人。
 次に殺された方々の数の多さにただただ驚いた。
  そして
「障害者がいなくなればいいと思った」という趣旨の供述からナチスの優性思想に基づく障害者虐殺のことが即座に思い浮かんだ。現代においてこんなことを実行してしまう人間が本当にいたのか?という、驚き、恐怖、憤り。
 いったい何が起きてしまったのだろう?

 障害といっても実に様々だ。殺人犯は“誰”を殺したのか?報道では当初“重度障害”という漠然とした言い方だった。
 
衆議院議長に充てた手紙を読んだ。重度障害という言い方ではなく重複障害という言葉が使われていた。殺人犯は重度知的障害と何らかの障害の重複障害者を“ターゲット”に考えていたようだった。
 
殺人犯は職員として重複障害者のケアをするなかで「この人たちは何故生きているのだろう、何のために生きているのだろう?生きている意味があるのだろうか?」と考えたのだろうか?   殺人犯と同じ立場にたてば少なからずそんなことが頭に浮かぶこともあるだろう。食事介助や排泄介助が思うようにいかなかったり、家族と絶縁状態にある障害者と接すれば思いが強くなることもあるかもしれない。
 そこまでの部分には共感できるものもあるだろうが、その後「(役に立たない)障害者はいなくなるべきだ」と考え暴力をふるい凶行にいたった植松殺人犯はあくまで特殊事例だ。 仮に手紙の文面で一部共感できる点があったとしても、視覚障害者でもある藤井克徳・きょうされん専務理事も言うように、容疑者の言葉にふりまわされてはならないだろう。
 同様の立場の方々の多くは、何らかの解を見出し仕事を続け重度重複障害者のわずかな感情の変化をくみ取れるような職員になったり、「向いていない」とやめていったりするだろう。
 
 
 だが殺人犯の狂信的な優生思想に共感してしまう人々も少なからずいるのも悲しいながら事実だろう。
 現在の日本において、弱者を切り捨てるといった排外的な空気感が一部あることだけは確かだ。殺人犯もそのことを感じ取り、その空気感が殺人犯の歪んだ正義感を後押しした面も否めないのではないか。少なくとも殺人犯は、安倍首相の目指す社会との親和性を感じたことは確かだろう。
 
 強者のために弱者が切り捨てられる社会、弱者に寛容な社会、どちらの社会に人々は住みたいだろうか?どちらの社会が住みよい社会だろうか?

 亡くなった方々は実名ではなく年台と性別でのみ報道された。家族などに配慮してのことだという。確かに障害者関係の施設などに撮影取材依頼をしても断られたり顔を写せないといったことは多い。家族に障害者がいることを知られたくなかったり、あるいは家族で面倒をみることができず施設に預けていることを知られたくなかったり。現在においては致し方ない面もあるだろう。
 しかし殺された人々は障害者である以前に1人の人間であるはずだ。実名で報道されても問題の無い社会であってほしい、家族を入所させても後ろ指を指されない社会であってほしい。

 「措置入院をもっと長く」という議論も語られているようだが、この事件により精神障害者全般への偏見につながることがあってはならない。また日本は精神科に長期入院させてきた世界でもまれに見る歴史を有し、その問題は現在尚続いている。歴史が逆戻りすることがあってはならない。

 
 殺人犯は友人とのラインのやりとりで「話は障害者の命のあり方です。目、耳に障がいがある人たちの場合は尊敬しています。しかし、産まれてから死ぬまで周りを不幸にする重複障害者は果たして人間なのでしょうか?」と書き込んでいる。
つまり殺人犯は社会に有用な障害者、不用な障害者を分けて考えていたことになる。

 重複障害者や重度障害者が人間であることは間違いない。
しかし「何故生きているのだろう?何のために生きているのだろう?活きている意味があるのだろうか?」
 その問いに明確に答えらる人は多くはないかもしれない。
 
 だが仮にその問いを自らに向けた時、明確な答えを人々はもっているのだろうか?


(社会的には植松容疑者と呼ぶべきなのかもしれませんが、ここでは殺人犯という言葉を使用しています)


CPサッカー日本代表 世界大会への切符をかけデンマークへ

2016年07月27日 | CPサッカー

 CPサッカー(脳性まひ者7人制サッカー)日本代表が昨日7月26日にデンマークへと旅立った。
 7月29日よりデンマークで開催される「IFCPF World Championship Qualification Tournament」へ参戦するためだ。大会にはリオパラリンピックに出場できなかった13か国が参加、4つのグループに分かれ来年開催される「IFCPF World Championship」の出場権への切符をかけ争う。上位8か国、つまりグループリーグを2位以上で通過し準々決勝に進出すれば出場が決定する。ちなみにリオパラリンピックに出場する8か国は世界大会への参加が既に決まっている。
(ちなみにCPサッカーはリオパラリンピックまで開催されるが、東京パラリンピックでは残念ながら開催種目から外れた)

 グループリーグの日程とランキングは以下の通り。日本のランキングは16位。時間はいずれも日本時間。
 第1戦 フィンランド(21位) 29日25時=30日午前1時
 第2戦 デンマーク(18位)30日23時
 第3戦 カナダ(10位)8月1日18時30分

 初戦と第2戦に勝利すること、最低でも負けないことがグループリーグ突破のために必須条件となってくるだろう。

 日本代表を率いるのは元Jリーガーの安永聡太郎監督。今年4月に監督に就任、選手選考会や練習を積み重ねてきた。
 練習には元Jリーガーや元なでしこジャパンの選手、高校サッカー部の選手たちも参加、強烈なスパークリングパートナーとなりチームの底上げに協力というか、CPサッカー日本代表をコテンパンにやり込めた。以前の練習では中学サッカー部、なでしこリーグ2部のユースチームなどと練習試合を組むことなどが多かったようだが、CPサッカーの世界基準と比べるとどうしてもフィジカル的には劣ってしまう。その点、今回の相手は世界大会へ向けての良いシミレーションとなったことだろう。
 
 チームが目指すのはまずはコンパクトなサッカー、この点はサムライブルーも他のサッカーも同じだろう。ただCPサッカーはオフサイドがないため難しい点もある。したがって縦のコンパクトさだけではなく、横のコンパクトさも重要になってくる。
 
 安永監督がモチベーターとして優れているからかチームの雰囲気もとても良いようだった。また昨年行われたパラリンピック予選の惨敗を受けてか選手自身の良い意味での危機感も感じられた。

 まずはグループリーグを突破し世界大会への出場権を得るとともに、少しでも上の順位に食い込んでいい結果を持ち帰ってほしい!
 そしてもちろん安永監督が力強く言うように、優勝を狙ってほしい!


代表カレー食って福島第一原発、野馬追

2016年07月22日 | 日記



日本代表シェフ西さんのお店『くっちぃーな』で代表カレーを食べました。このカレーを食べたのは1年ぶり、伊達と相馬の合戦フェスティバルで食べて以来。
サッカー日本代表、U23代表でも試合の日に食べられていたカレー。素朴ななかにもアクセントが効いた食べやすいカレーです。
西さんには短編ドキュメンタリー映画『MARCH』でとてもお世話になりました。著作を読んだり話を聞くことで南相馬市小高区やJヴィレッジなどの背景を知り、何よりも美味いもの(カレー以外)を飲み食いさせてもらい活力をもらいました!
今回、西さんはサッカー五輪代表帯同のため不在。五輪代表選手たちも西さんの料理で活力を得ることでしょう。
ちなみにリオ・デ・ジャネイロ五輪予選のDVD制作では西さんにもインタービューし最終予選の食事のことに関して語っていただきました。一連のDVDのシリーズで監督選手以外にインタビューしたのは初めてです。他に早川コンディショニングコーチにもインタビュー。もちろん手倉森監督も。選手は遠藤、植田、中島選手にインタビュー。

腹ごしらえした午後からは福島第一原発の視察に行きます。
元東電社員の吉川彰浩さんが立ち上げたAWF主催の視察ツアー、誰でも参加できるわけではありませんが条件に合致すれば参加することが出来ます。
吉川氏は先月発売された『福島第一原発廃炉図鑑』の共著者でもあります。本は廃炉に関する情報を網羅した〝百科全書〟的な作り。なんだかなあという箇所もありましたが、総じてわかりやすい作りになってます。

その後は南相馬へ向かい3日間、野馬追の撮影。映画『MARCH』で野馬追の映像を提供していただいたお礼に、撮影のお手伝いで行きます。

前述した合戦フェスティバルは今年も相馬市のわくわくランドで明日23日に開催されます。

サッカー五輪予選DVDは現在発売中
https://www.amazon.co.jp/gp/aw/d/B01GCCVNZA/ref=mp_s_a_1_1?__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&qid=1468952834&sr=8-1&pi=SY200_QL40&keywords=%E6%97%A5%E6%9C%AC%E4%BB%A3%E8%A1%A8+%EF%BD%84%EF%BD%96%EF%BD%84