大宮に国際女子サッカークラブ選手権の決勝を観に行った。
INAC神戸レオネッサとフランスのクラブチーム、オリンピック・リヨンの対戦。
昼間は手話の講演に行っていたので、試合会場にはぎりぎりの到着になってしまった。
観客は決して多くない。いやむしろ少なすぎる。
有料入場者数は4201人だった。
日本代表とフランス代表、スェーデン代表などがひしめき合っていて、Uー20女子ワールドカップよりはるかにレベルの高い試合が繰り広げられているのに。
TV中継もBSフジのみの放送だったようだし、世間的にもあまり注目されていないのが本当に残念。
INACの先発は、
GK海堀、DFは右から近賀、甲斐、田中明日菜、ベッキー。
中盤は、澤、チ・ソヨン、大野。
基本的に澤が中盤の底にいて、チ・ソヨンは下がってきてボールも裁くし中盤を動きまわる。
毎回思うのだが、チ・ソヨンは本当にいい選手だなあ。
FWは、右に川澄、左に高瀬、中央にゴーベル・ヤネス。
4・3・3かなあ。
リヨンの先発は、
GKサハ、DF右からジョルジュ、ルナール、アガー、ボンパストール。
中盤はアンリ、アビリー、ネシブ。
FWは右にトミ、左にルソメール、中央にシェリン。
中盤が逆三角形の4・3・3かなと思ったのだが、アンリとアビリーがボランチでネシブがトップ下の4・2・3・1なのかな。
とはいえ、ネシブも準決勝の時より随分下がり目に見えたが。
準決勝とは先発が4人異なっていた。
準決勝はボランチにブサグリアとアンリが入っていたが、決勝はアンリとアビリー。
より攻撃的な(たぶん)アビリーが先発だったのが注目点。
そのアビリーとチ・ソヨンが対面することが多く、このあたりが勝負の鍵を握るかも、などと考えながら観戦。
また右サイドバックは、準決勝で先発したフランコではなく、準決勝で途中からセンターバックに入ったジョルジュ。
なでしこリーグ得点王の高瀬を警戒して、より守備的に入ったのかもしれない。
INACは川澄の右サイドでチャンスメークして、左の高瀬が決めるというパターンが今季は多かったし。
最初の決定機はリヨン。
右FWのトミが裏に抜けて折り返し、触れば1点の場面。
トミはわかっていても速い。
しかし、それ以外の時間帯は神戸の左SBベッキーがかなり頑張って押さえ込んだいた。
神戸の試合を久しぶりに生観戦して思ったのは、ベッキーとゴーベル・ヤネスの進化。
ベッキーの守備は危なっかしい印象があったが、今回は安定していた。
ゴーベル・ヤネスも動きの質・量もいいし、ボールタッチも柔らかい。守備も頑張るし、シュートにも絡む。
川澄はベテランのボンパストールに押さえ込まれ、なかなか持ち味を出せないでいたが、
前半39分、その川澄が右サイドからグラウンダーのクロスを入れ、ゴーベル・ヤネスがヒール気味のシュート、こぼれ球をチ・ソヨンが強烈なシュートを決め、神戸が先制した。
チ・ソヨンの動き出しが良かった。マークしていたアビリー(たぶん)は、ボールウオッチャーになって、チ・ソヨンのマークを外してしまった。
後半に入るとリヨンの怒涛の攻めが続く。
リヨンは、選手交代も早かった。
後半頭から左FWにディッケンマン、後半6分には右サイドバックにフランコを投入。
後半16分にはボランチのアンリに代え、FWにトナッジを投入。
2トップにして1点を取りにきた。
ボランチにはネシブが下がり、アビリーとの攻撃的な二人。
リヨンがチャンスを作り出すが逆にバイタルエリアが空くことも多く、大野やチ・ソヨンが侵入、神戸もゴールに迫る。
しかし後半35分、長身DFルナールのロングフィードを右サイドバックのフランコがペナリティエリア内で1トラップ、左足でニアに蹴りこみ、神戸が同点に追いつかれた。
試合は10分ハーフの延長に入り、むかえた延長後半3分。
リヨンのトミが交代出場の高良を振り切り、右サイドをえぐって折り返す。
FWトナッジをマークしていた甲斐が反則をとられ、リヨンがPKを得る。
リヨンのキャプテン、ボンパストールがポストに当てながらゴールを決め、リヨンが逆転。
ボンパストールのPKも素晴らしかった。
左足でキックだったが、軸足は完全に左を向いているにもかかわらず、体をねじってコースは逆方向へ。
その後、神戸はチ・ソヨンに代え南山、ゴーベルヤネスに代え中島を投入、大野をトップにあげる。
一方のリヨンは疲れの見えるネシブに代えブサグリアを投入、守りを固める。
この大会は交代枠がなぜか3人ではない。
リヨンはその特別ルールをうまく使い4人の選手交代を行なった。
神戸は交代しようにも先発とサブの差があるという判断だったのだろうが、後手を踏んだ印象はぬぐえなかった。
しかしこの特別ルールはどうなんだろう。
準決勝はベストなコンディションで決勝を迎えるために特別ルールがあって良い様な気がするが、決勝は交代3人までで良かったのではないだろうか。
というか、この大会はいったいどういう位置づけの大会なのだろう。
好試合だっただけに釈然としないものが残った。
試合は本当に面白かったが。
ところで試合後インタビューがあり場内でも流されたが、もう少し具体的なことを聞けないのだろうか、というかもっとまともに質問できないのだろうか?
「試合の感想は?」「大会の感想は?」という質問だけなので、リップサービスのような受け答えにしかならないし、フランコ選手へのインタビューも頓珍漢だった。
繰り返しになるが、もっと多くの方々に生観戦してほしい試合だった。
こんな面白い試合を観ないなんて、もったいなさ過ぎだ。
ちなみにこの大会では、リヨン対ベレーザの準決勝、リヨンと神戸の決勝の2試合を観戦したが、ベレーザは、リヨンや神戸に比べて、球際で完全に負けている印象だった。
ワールドカップや五輪の経験の差ということになってしまうのだろうか?