サッカー狂映画監督 中村和彦のブログ

電動車椅子サッカーのドキュメンタリー映画「蹴る」が6年半の撮影期間を経て完成。現在、全国で公開中。

第18回電動車椅子サッカー関東大会~そして全国大会

2014年09月24日 | 電動車椅子サッカー

昨日(9月23日)、東京都府中市で開催された第18回電動車椅子サッカー関東大会に行って来ました。
大会はディビジョン1と2に分かれ、トーナメント制でそれぞれのディビジョン(1の方がレベルが高い)で優勝を争います。

試合はまずディビジョン2から始まりましたが、先週3日間日本代表合宿を観ていたためか、(いい悪いではなく)なんだか別の競技を観ているかのような錯覚に陥りました。
日本代表などは国際ルールの10kmでプレー、関東大会は6kmでプレーします。スピードの差もありますが、代表は戦術的な動き、オフ・ザ・ボール(ボールを保持していない状態)の動きも多く、目が離せないというか観ていても頭がついていかなかったりします。ついそれと比べて時が止まったかのように感じてしまいました。もちろん前述したように、どちらがいい悪いということではありません。それほどの違いを感じたということです。しかしディビジョン2の選手たちも、それぞれの力を存分に発揮しようとしている気持ちは充分伝わってきました。
ディビジョン1になると電動車椅子サッカー専用マシンとでも呼ぶべきストライクフォースに乗っている選手も多く、速度こそ6kmですが、ボールスピードは格段に上がってきます。しかし10kmでは追いつけるはずのボールに追いつけないなど、先週代表合宿に参加した選手たちは、最初のうちは6kmに対応することに苦慮していました。

ディビジョン2の優勝は、4名で参加したウルトラForce。
1回戦でBLACK HAMERSをPK戦、そしてじゃんけん(!)の末破り、ここで勢いにのったのでしょうか?準決勝ではウイニングフェニックスに1-0、決勝では東京M.F.Cゴール電ファイアーズを3-0と下し優勝。
1回戦敗退のBLACK HAMERS(昨年優勝)は、かなり悔しい思いをしたのではないでしょうか。

ディビジョン1は、FINEを4-2で下したレインボー・ソルジャーと、YOKOHAMA BayDreamの挑戦を2-0で退けたYokohama Crackersが決勝で激突。両チームは現在の関東の2強、Yokohama Crackersは昨年の全国大会の優勝チーム、レインボー・ソルジャーは3位の強豪チームです。
結果は2-0でレインボー・ソルジャーの優勝で幕を閉じました。

そしてその両チームは、10月18日~19日に石川県金沢市で開催される全国大会のグループリーグで顔を合わせます。関東大会で敗れたYokohama Crackersも、このまま引き下がるわけにはいかないでしょう。

ところで今度の全国大会では、出場チームが3チームずつ6つのグループに分けられ、各グループの1位と、2位の上位2チームが決勝トーナメントに駒を進めることになっています。両チームの入ったグループには、なんと昨年準優勝のRed Eagles兵庫も入り、1位2位3位のチームが同じグループに同居するといった、いわゆる死のグループとなってしまいました。おそらく戦力も拮抗しているこの3チームの対戦で2位でグループ通過することは考えにくく、初日で2チームが姿を消すことになりそうです。
客観的な言い方をすれば、初日のグループリーグから“痺れる試合”が繰り広げられるはずです。

ちなみに関東大会は全国大会の予選ではありません。予選は既に終了しており、関東からはYokohama Crackers、レインボー・ソルジャー、YOKOHAMA BayDream、FINEの4チームが参戦します。

追記 最初にアップした時点で、全国大会出場チームからFINEが抜けていました。失礼しました。アップして40分くらいで気がつき訂正しました。


脳性麻痺7人制サッカー日本代表合宿

2014年09月23日 | CPサッカー

先日(9月20日)、脳性麻痺7人制サッカー(CPサッカー)日本代表合宿でのトレーニングマッチを観てきました。トレーニングマッチの対戦相手は神奈川県の女子サッカーチーム「ノジマステラ神奈川相模原」のユースチームである「ノジマステラ神奈川相模原ドゥーエ」。現在は中学2年(の一部)から高校1年生がまで在籍しているようです。
CPサッカー日本代表を見るのは本当に久しぶりでおそらく2010年の11月末の合宿以来、現在の佐野監督になってからは初めてです。監督になられる前からの知人であるにも関わらず、何という不義理!
来月韓国で開催されるアジアパラ競技大会(アジア大会版パラリンピック)の前にはなんとか観に行きたいと思っていて、やっと行ってきました。

まずCPサッカーのことを知らない方のために簡単に説明しておきます。
(噛み砕いて人に説明するほど詳しいわけではないのですが)
CPサッカーは、脳性麻痺、脳卒中などの脳血管障害脳性麻痺、脳外傷や頭部外傷(原因として交通事故など)により、身体に麻痺を持つ人が行うスポーツ。
障害程度によりC5からC8の4段階のクラス分け(C5がもっとも重い)がなされています。(公式ルールとしては)走れることが前提となります。もちろん健常者のようには走れません。一例を言えば、C7の選手は片側が麻痺していて引きずるような走り方だったりします。蹴り足は自由に使えても軸足がぶれてしまったり、そんなこともあったりします。
(さらに重度の選手もともにプレーする“楽しむ脳性まひ者サッカー”もあるかとは思いますが、そのあたりの事情はあまりよくわかりません)
競技人数は7名。ピッチの大きさは11人制サッカーのおおよそ半分で、オフサイドはありません。
またブラインドサッカー(視覚障害者サッカー)とともに、パラリンピックの正式種目にもなっています。
詳しくは以下のサイトを参照
http://jcpfa.jp/cp_soccer/index.html

 実はCPサッカー日本代表を観るのは確か4回目。ですから精通しているわけではなく以前との比較がうまくできないのですが、全体的に以前よりかなり組織化されているといった印象を受けました。特に守備。前線やサイドの選手も守備の意識が高いことが目に付きました。
ちなみにシステムは、2・3・1みたいな感じです。
個々の選手の印象で言えば、現キャプテンでFWの芳野竜太選手(絶対的エース。かっこ内はチームの紹介映像にあった売り文句)は攻撃力のみならず、全体を見渡し気を配ることができるように進化していました。攻撃面では、ポストプレー、ドルブルからのシュート、クロスに飛び込んでのヘディングシュートなど、見せてくれました。
大ベテランのGK加賀山ヘンリー直義(王国からの贈りもの)選手はポジショニングの良さを感じました。
サイドの谷口泰成選手は(ハマのダイナモ)の異名の通り、豊富な運動量で攻守に貢献。
若手でセンターというか(トップ下というかボランチというかなんと呼べばいいんでしょう)の戸田哲也選手(2020東京の主役)も豊富な運動量とパスセンスでチャンスを作りだします。
相馬勇樹選手(世界基準)は頼れるディフェンスリーダー、最終ラインで体を張り味方を鼓舞します。

そんな選手たちが来月開催のアジアパラ競技大会に参戦するわけですが、2位以内に入れば来年の世界大会への切符を手にすることができます。イランがかなりの強国らしく、組み合わせの妙もあるようです。
そして来年開催の世界大会でベスト8に入れば、悲願のパラリンピック初出場が決まります。2020年東京パラリンピックは開催国枠での出場が決まっていますが、是非自力での予選突破を決めてもらいたいところです。
ブラインドサッカーも同様に自力でのリオパラリンピック初出場を目指していますが、ブラインドサッカーが前回大会予選でぎりぎりのところでパラリンピック出場権を逃したことに比べると、CPサッカーの方がかなり壁は高いようです。

CPサッカーの強豪国は、クラス分けのなかでもっとも軽いC8(極めて軽度な麻痺)の選手が活躍する場合が多く国際大会ではスーパーなC8の選手が試合を決めてしまうということが多々あるようです。しかし現在の日本代表にはC8の選手は存在せず、C6(四肢に不随的な動きがあるが走可能)とC7(走可能な片麻痺)の選手だそうです。
ちなみにC8の選手は同時に2名まで出場可能。試合中は必ずC5(両下肢に麻痺があるが走可能)またはC6クラスの選手が出場しなければならず、いない場合は6人で試合をすることになっています。

ルール内で認められたもっとも軽度な選手を中心にチームを作り、勝ちにいくことの是非に関しては各障害者スポーツでも議論の分かれるところかもしれません。このあたりはかなりむずかしい問題でもあります。
また相手チームの選手の弱点をつく。つまり障害の部分こそをつくということも、勝ちにこだわるスポーツとしては必要かと、個人的には思います。もちろん対極として、楽しむための障害者スポーツがあるべきだということは言うまでもありません。


脳性麻痺7人制サッカー日本代表のパラリンピック出場までの壁は高いようですが、まずはアジアパラ競技大会で世界選手権への切符を掴み、リオパラリンピック出場への道のりを歩んでもらいたい!


電動車椅子サッカー日本代表合宿

2014年09月15日 | 電動車椅子サッカー
9月13日~15日の3日間、兵庫県内で開催された電動車椅子サッカー日本代表合宿に行ってきました。少しずつ撮り進めているドキュメンタリー映画撮影取材のためです。

選手たちはいずれも個の能力に優れ、所属するクラブチームを引っ張る選手ばかりですが、そう簡単には代表チームとしてうまくいかないところが電動車椅子サッカーの難しいところ。
もちろん連動性が求められる他の競技にもあてはまることではあります。

だからこそチームの完成度が徐々に高まっていく場に立ち会えることはとても得難い経験です。

代表チームは11月の国内合宿を経て、来年1月国内で開催予定のAPOカップに臨みます。
APOカップにはオーストラリア代表などが来日予定。

アギッッレ(アギーレ)ジャパンのアンカーは?

2014年09月10日 | サッカー

ウルグアイ戦、ベネズエラ戦と新生アギーレジャパンの2連戦が終わりました。
(ベネズエラ戦は生観戦、ウルグアイ戦はTV観戦)。
この2連戦を通じて最大のサプライズは、初戦のメンバー発表でセンターバックが3人いたこと。
「えーどうなってんの?3バックなの?」とも思いましたが、解としては森重選手がアンカーにまわるということだったわけで。
(サッカーにあまり詳しくないかたのために説明しておきますと、アンカーというのは中盤の底にポジションをとり、まさに錨(いかり=アンカー)のように守備を安定させる役目を担います。基本的に両センターバックの前にポジションをとり、そのスペースを絶対に相手に使わせないようにします。2010年南アフリカワールドカップでは阿部選手がその役回りで“影のMVP”と、一部サッカーファンの間でも囁かれました)

マスコミはこぞって細貝選手のアンカーを予想していて、蓋を開けたら全然違っていたということですね。
ボール奪取系のアンカーではなくて、散らして展開系とでもいいましょうか。尚且つディフェンスラインに入っても問題ない選手が、アギーレ監督が考えるアンカー像だったということでしょうか。
会見で監督は「3バックの真ん中」というように呼んでいるみたいで、センターバックが前目に位置しているということなのでしょう。

ザッケローニ監督時代との大きな違いの一つはアンカーを置くか置かないかということ。もちろん山口選手と遠藤選手のダブルボランチの場合は山口選手がアンカー気味にプレーしたりはしていたわけですが、明確にアンカーというポジションを置くわけではありませんでした。

でははたして、最初から森重選手がアンカーの一番手候補だったのでしょうか?
あるいは負傷のため離脱した長谷部選手をアンカーとして考えていたのでしょうか?

今回の2連戦、センターバックで選出されたのは、吉田、水本、坂井、森重の4選手。
一方中盤は 細貝 柴崎、田中、森岡、扇原、そして長谷部の6選手。
選出された選手を見てみると、細貝、柴崎選手は結果としてアンカーとしては考えられていなかった。とすると長谷部選手がアンカーの第一候補、扇原選手が第二候補とも読み取れます。
(横浜で一般公開された紅白戦でアンカーをつとめていたのは、森重選手と扇原選手)
そして長谷部選手の離脱により、扇原選手が繰り上がるかと思いきや、森重選手が急遽アンカーに回ったのでしょうか。扇原選手は、守備面での不安を監督が感じたのでしょうか?
森重選手はセンターバック、アンカーの両方で考えられていて、練習を見て、アンカーで行けるという判断だったのかもしれません。
扇原選手もベネズエラ戦で、森岡選手とずっとアップしていましたから、おそらく川島選手のミスによる失点がなかったら15分位は、両選手の出番があったのかもしれません。(その際の交代は、森重→扇原、柴崎→森岡)

森重選手自身、そしてアギーレ監督も、森重選手のアンカーに手応えを感じたと思いますが、今後、長谷部選手、そして山口選手が召集された場合、誰がアンカーのポジションに入るのでしょうか?
長谷部選手がもともとアンカー候補と考えられていたのなら、当然長谷部選手が一度は試されるでしょう。
以前のプレースタイルであればインサイドハーフが適任だと思われますが、幅の広がった今はアンカーも有りなのかもしれません。
また山口選手は細貝選手と同じインサイドハーフと考えられているのでしょうか。アギーレ監督の就任会見で、4・3・3という言葉を口にした時、即座にアンカーは山口選手と思ったのですが、そうではないような感じですね。

実はアギーレ監督が考えているアンカー像をもっとも的確に具現化できる選手は、浦和レッズの阿部選手なのではないかという気もします。もし4年前にアギーレ監督が就任していたら間違いなく中心選手だったのでは?
今回は年齢を理由に召集されないのでしょうか?
映画風に言うならば、阿部選手は南アフリカワールドカップでは、岡田監督の望むアンカー像を演じた。そしてアギーレ監督の臨むアンカー像も演じ切れると思います。
また今野選手も充分ありなんですが。ただ身長はかなり重要視されているようで。

アンカーが誰になるのか?
アジアカップまでには確定していくのでしょうが、目が離せません。

アンカーとともにインサイドハーフもどうなっていくのか。
香川選手もこのポジションで考えられているのかもしれませんし、攻撃的に行くときと守備的に行くときの使い分けもあるでしょう。
こちらも楽しみです。