算太郎日記

日々の日記を綴ります

「獄中シェイクスピア劇団」を読む

2021年02月28日 | 日記
獄中シェイクスピア劇団」(マーガレット・アトウッド著/鴻巣友季子訳)という本を読みました。
この本は、シェイクスピアの名作を、世界のベストセラー作家たちが語り直すシリーズの第一弾ということらしいです。

で、作者のアトウッド氏が語り直したのは、「テンペスト」という作品です。と言われても、私は恥ずかしながらこの作品を知りませんでした。
それもあって、この本に手が伸びたという訳です。そして、この劇が「老人の劇」でキャリアの最晩年にさしかかった人の話というのも興味を引きました。

あらすじは、書評の紹介によると「舞台『テンペスト』の演出に心血を注いでいた芸術監督のフェリックスは、ある日突然、部下トニーの裏切りにより職を奪われた。失意のどん底で復讐を誓った彼は、刑務所の更正プログラムの講師になり、服役中の個性的なメンバーにシェイクスピア劇を指導することになる。12年後、大臣に出世したトニーが刑務所の視察に訪れることに。ついに復讐の好機を得たフェリックスは・・・・・」ということになります。

作者のアトウッド氏がインタビューで語っています。「誰かに復讐心を抱くのは、地下牢の檻に入ると言うことと同義語です。そこから抜け出す唯一の道は、「赦し」にあります。誰かを赦したとき、復讐心を抱いていた相手に、人生を支配されなくなるのです。」と。なるほどと思いました。
この作品は「赦しの物語」「自分が解放されることの物語」なのです。

「テンペスト」を芝居で是非観てみたいものです。

ただ、話の展開は面白かったのですが、獄中の登場人物の名前がなかなか覚えられなくて苦労しました。年のせいですかねえ。