奇跡を起こせ 続き
それからがたいへんだった。製造費のほかに製品を保管する冷蔵倉や、
運送費など量が多かったので思いもしなかった経費がかかった。
とにかく製品を販売して代金を回収しなければ、資金繰りにも困ったのであ
る。
商品の宣伝をすればよいのだが、その金もなかった。この種のものは宣伝
費がものをいうので、宣伝費のだせる大手でないと不可能だと、当初まわ
りの人たちが言っていたのが、いまごろになって思い当たったのだ。
< やはりムリだったのかなあ。>
と私が思いだしたときのことだ。思いがけなないことが起きたのである。
それはNHKテレビが・南海の神秘、イラブウナギの秘密・というテーマで特
別番組を放送したのである。
「古来から滋養強壮に効果があるとされているイラブウナギは、薬効があ
るので漢方薬にも採用され、中国古代の宮廷料理としても珍重されてた。」
という内容である。
民間放送が驚くような番組を三十分間、しかも月に二回特集したのだ。民
間放送で広告を出したとすると、とても億の金ではすまないような内容であ
った。この放送の効果はてきめんだった。
イラブウナギを原料にした我が社のドリンク剤に注文が殺到した。これをき
っかけに精力増強のドリンク剤の販売は軌道にのり、やがて全国の薬局と
か、ゴルフ場での販売網ができあがったのである。
私はドリンク剤の成功に気をよくしてまた新しい事業を始めた。
ある人から、ウグイスのフンが肌を美しくするのに効果があり、平安朝の昔
から宮中の女官のあいだで愛用されていた。ということを聞いたので、これ
で化粧品を作ろうとしたのである。
いろいろ情報を集めていると、中国からウグイスを輸入して養殖している人
が、知多半島にいることが分かった。早速連絡して、ウグイスのフンを買い
たいと言うと、先方は喜んで応じてきた。
ドリンク剤の製品化の経験があったので、こんどは手際よく製品にすること
ができた。
いよいよ発売しょうという時に、またまた幸運に見舞われたのだ。覚えてい
る人もいると思うがNHKテレビの定期番組に、ウルトラ・アイという番組が
あった。科学技術とか、新しい発見を紹介する番組である。
その番組でウグイスのフンの漂白効果を試す実験をしたのである。
次回に続く