叙事詩 人間賛歌

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人間賛歌 若い人の仏教教室 四十六

2007年07月05日 | 若い人の仏教教室

 ところで成功哲学というのはPMA法にかぎらず、
成功イメージの示唆や暗示を継続的にかけて、潜在意識にあるといわれる
積極的な感情を顕在させるものであるが...

学習や自己暗示によってあるていどの効果は得られるんだ。

だが潜在意識のさらに奥に、
発見者のユングは深層心理とよんでいるが、深層心理は潜在意識に強い
影響を与えると、ユングは主張したのだ。

そして深層心理には個人の特質だけでなく、人類、民族、血族に共通する
特質か具わっているとされ、
ユングはこれを集合的無意識と呼んでいるようだね。


仏教ではこれと同じ意味のものを、宿業とか宿命と呼んで、
個人の意思では「どうしょうもないもの」と、初期仏教では教えていたんだ。

たしかに成功哲学を実践すれば、積極的な生き方が身につき、だれでも
あるていど成功する事ができるが、
その状態がいつまでも続くとはかぎらない。

もちろん失敗に備えてのノウハウもいろいろ用意してあるが、
人間の運命を変えるような出来事に対しては、たいして役にたたないのが
現実なんだね。

人生には、のぼり坂、くだり坂、それにもう一つマサカという三つの坂があるといわれるが、
ほんとうにマサカというようなことが起きるんだねえ。

そのときどうするか?

それを自分の宿命(生命の傾向)と捉え、その宿命を転換する方法を仏教
は明らかにしているんだ。


四世紀ごろ北インドに生まれた世親(セシン)という人は、
有名な仏教学者で、唯識論という本を書いて、ユングがとなえた深層心理
を超えた深層意識について詳しくのべているのだ。

深層心理学を提唱して有名になったユングが、二十世紀初めの人であっ
たことをみれば、仏教の叡智がいかに抜きん出ているか分かるだろう。

これから心理学者になろうというというのではないから、
そんなに難しく考えなくてもよいが、
人間の心をトコトン突き詰めていくとどうなのか。

ということを知る手がかりにはなるのて次回は、
頭はクールに、心はホットで聞いてもらいたいと思うね。

つづく   注、唯識論はユイシキロンと読む。