実は、結構楽しみにしていたのだ。
18歳で、銀座のジャズ歌手からスタートした八代亜紀が、ニューヨークの名門ジャズクラブ「バードランド」の舞台に立つというのだから。
29日夜のNHK『演歌の女王 ジャズを歌う~八代亜紀・ニューヨークでの挑戦~』。
昨年リリースした、ジャズを歌ったアルバムも、なかなか良かったし、どんなドキュメンタリーになるのかと興味深く見たわけです。
結論から言えば、「もったいない」のひと言。
渡米前と、渡米後の八代を追いかけてはいるが、その取材が表面的すぎる。
まがりなりにも“演歌の女王”と呼ばれる歌手が、そのキャリアや名声も通用しない、いわば新人として、異国のステージで歌うのだ。
一体、これは「挑戦」なのか、それとも「夢の実現」なのか。
八代亜紀にとって、どんな意味があり、どれだけの思いがあるのか。
そういった深層部分は、なんら伝わってこなかった。
あくまでも、上っ面をなぞっただけだ。
八代亜紀って、もっと凄い歌手じゃないのかなあ。
作り手が、それに拮抗できていない。
ほんと、この番組で何を見せたかったのだろう。
ヘレン・メリルが80歳を超えて健在で、一瞬だが、その歌声を聴けたことが、小さなオマケです。
全体は、残念なドキュメンタリーでした。