フジテレビのドラマ「カラマーゾフの兄弟」のことなのですが・・・・
とは言っても、内容とか、評価については、今日は書きません(笑)。
そうじゃなくて、ですねえ・・・・
この「カラマーゾフの兄弟」というタイトルが、どうにも気になって仕方ない、という話です。
「原作あり」のドラマが、原作小説のタイトルを、そのままドラマのタイトルにするというのは、普通のことです。
同じフジの「ビブリア古書堂の事件手帖」、TBSの「夜行観覧車」
「とんび」などもそうです。
その本が多くの人に読まれたり、知られていたりすれば、それはドラマのPR上でもプラスだし。
また、小説をドラマ化する際には、アレンジ、脚色を施すことも、当たり前に行われます。
つまり、原作と「同名ドラマ」であっても、原作にかなり忠実というものから、かなり変更されたものまで、いろいろあるわけですね。
そんなことは承知の上で、なのですが、今回のフジテレビ「カラマーゾフの兄弟」の、「カラマーゾフの兄弟」というタイトルに、どうしても違和感があって(笑)。
そりゃ、超有名な“原作”ではありますし、タイトルとしてのインパクトもある。
でも、舞台を現代の日本に移して展開されるこのドラマを、「カラマーゾフの兄弟」としていいのか、と思ってしまう。
つまり、「ビブリア古書堂の事件手帖」や「夜行観覧車」や「とんび」といった同名ドラマとは、ちょっと事情が違うのではないか。
たとえば、黒澤明監督は、シェイクスピアの作品をベースにした映画を何本か、作っていますよね。
いずれも、舞台を戦国時代の日本に持ってきています。
でも、黒澤監督は、映画のタイトルを「マクベス」とはしなかった。
「蜘蛛巣城」です。
また、「リア王」ともしなかった。
「乱」ですよね。
まあ、確かに、黒澤作品の中には、ドストエフスキーの小説「白痴」を原作とした、同名の映画「白痴」もありますけど(笑)。
今回のフジテレビのドラマも、別のメインタイトルがあって、それこそサブタイトルで<「カラマーゾフの兄弟」より>と入れるなどの手もあったと思うのです。
それを、臆面もなく、まんま「カラマーゾフの兄弟」ときた。
しかも、軸となる三兄弟は「黒澤家」だ。
これも悪いジョークみたいじゃないか(笑)。
というわけで、極東の島国で放送されるこのドラマが、世界的文豪ドストエフスキーへの、そして世界的名作「カラマーゾフの兄弟」への、世界的ボートク(笑)になったりしなけりゃいいけど、というささやかな心配の吐露でありました。