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碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

日曜日だから、『小説家たちの休日』

2010年10月03日 | 本・新聞・雑誌・活字

今日は日曜日。

『小説家たちの休日~昭和文壇実録』(文藝春秋)を開くには、ぴったりだ。

文藝春秋に写真部を創設し、約30年にわたって文士にカメラを向けてきた樋口進さんの写真と、川本三郎さんの文章とで構成されている。

背広にマフラーという姿で、にっこりと将棋盤を眺めているのは、志賀直哉だ。

両手を上着のポケットにつっ込み、線路の枕木の部分を歩くのは、「松川裁判」の広津和郎。

伊藤整は、書斎の、壁いっぱいの本に囲まれた狭い空間に置かれた机に、和服姿で向かっている。

檀一雄は、「火宅の人」に、自身の愛人「恵子」として登場する女性と並んでいる。笑顔がなかなかチャーミングな短髪美女です。

昭和の作家たちの写真とエピソードが、全部で65人分も並んでいるゼイタクな本。

いずれも、文士という言葉が似合う人たちだ。