今日は日曜日。
『小説家たちの休日~昭和文壇実録』(文藝春秋)を開くには、ぴったりだ。
文藝春秋に写真部を創設し、約30年にわたって文士にカメラを向けてきた樋口進さんの写真と、川本三郎さんの文章とで構成されている。
背広にマフラーという姿で、にっこりと将棋盤を眺めているのは、志賀直哉だ。
両手を上着のポケットにつっ込み、線路の枕木の部分を歩くのは、「松川裁判」の広津和郎。
伊藤整は、書斎の、壁いっぱいの本に囲まれた狭い空間に置かれた机に、和服姿で向かっている。
檀一雄は、「火宅の人」に、自身の愛人「恵子」として登場する女性と並んでいる。笑顔がなかなかチャーミングな短髪美女です。
昭和の作家たちの写真とエピソードが、全部で65人分も並んでいるゼイタクな本。
いずれも、文士という言葉が似合う人たちだ。