碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

「日刊ゲンダイ」で、地デジ移行とNHKについてコメント

2010年10月14日 | メディアでのコメント・論評

「日刊ゲンダイ」(2010.10.14付)で、地デジ完全移行とNHKについてコメントしています。


見出し:
来夏の地デジ完全移行は無理と認めたNHK

記事によれば・・・・


9日、NHKが気になるデータを突然発表した。

地デジ化に伴い、受信料収入が約91億円から666億円減る恐れがあるという試算だ。

理由として、NHKは、厳しい経済状況の中で受信料の全額免除世帯が増えたことなどをあげる。

しかし、もっと大きな問題があって、それが「デジタルリスク」と呼ばれるもの。

ビル陰などが原因で地デジを視聴できない施設が全国に6万3000施設(650万世帯)ある。

今のままでは完全移行までに全部カバーするのは無理であり、NHKはついに予防線を張っているのではないか。

「『デジタルリスク』対策としては共同アンテナを立てるなどの必要があり、費用もかかるし、来年7月までに間にあわない。

地デジ化を全国一斉に始めるのは困難で、このままヨーイドンで完全移行したら確実に地デジ難民が出る。

今回のNHKの減収予測はそれを見越しての発表で、完全移行が黄信号であることを暗に認めたようなものです」(上智大教授・碓井広義氏=メディア論)



・・・・地デジ移行が“全国一斉”ではなく、普及度など各都道府県の実情と地方局の事情によって、地域ごとに移行のタイミングを判断してもいいではないか、と思うのですが。

「読売新聞」で、秋ドラマについてコメント

2010年10月14日 | メディアでのコメント・論評

秋ドラマについて、「読売新聞」でコメントしています。


見出し:
「日曜連ドラ」にフジ参入 夜9時台 TBSと対決

記事本文:
秋の番組改編で、TBSが半世紀以上にわたってドラマを放送してきた日曜夜9時台に、フジの連続ドラマが新たに参入した。不振が続くドラマ界へのカンフル剤となるだろうか。(片山一弘)

「ドラマチック・サンデー」と名付けられたフジのドラマ枠の第1弾は、17日から始まる「パーフェクト・リポート」。

テレビ局の報道部門を舞台に、はみ出し者ぞろいの遊軍取材班がさまざまな問題を追う。主演の松雪泰子が遊軍キャップの女性記者、部下には小出恵介、相武紗季、小日向文世、要潤ら多彩な顔触れが並ぶ。

フジがこの時間帯に連続ドラマを放送するのは31年ぶり。

現王園佳正編成部長は、「家族それぞれのライフスタイルが異なる時代にあって、全員がリビングルームに集まる時間帯。そこでドラマを楽しんで、明日への活力としてもらいたい」と話す。



一方、TBSにとって、日曜夜9時台は1956年から「日曜劇場」(当初は「東芝日曜劇場」)を続けてきた伝統あるドラマ枠だ。長年、単発ドラマの枠だったが、93年からは連続ドラマを放送している。

「パーフェクト――」と同じ17日から始まるのは「獣医ドリトル」。すご腕だが金に汚いと評判の獣医師・鳥取を小栗旬が演じ、共演に井上真央、成宮寛貴ら人気の若手俳優をそろえた。

フジの挑戦に対しては、「伝統の枠で経験や勘を蓄積してきた自信がある」(衣笠幸雄編成制作局長)、「お互い切磋琢磨してテレビの媒体価値を上げるのはよいこと」(石原俊爾社長)と余裕をみせる。

上智大の碓井広義教授(メディア論)は、「日曜9時はいい勝負になりそう。木曜9時の『渡る世間は鬼ばかり』にも、テレビ朝日が米倉涼子主演の『ナサケの女』をぶつける。自信を持っている二つのドラマ枠に挑まれたTBSが、どう迎え撃つのか」と注目する。



今年は全体的にドラマが低調だ。7~9月期で平均15%を超えた作品は「ホタルノヒカリ2」(日本)だけで、TBSは土曜夜8時のドラマ枠を終了させた。

そんな中、フジは前クールより1本増やして5本とし、「個々には数字の良いドラマもある。ぜひ成功させて、フジからドラマが復活した、と言われたい」(現王園編成部長)と意欲を見せる。

またテレビ東京も、死刑囚と刑務官の交流を描く異色作「モリのアサガオ」(月曜午後10時)で、10年ぶりにプライムタイムの現代ドラマを復活させる。

碓井教授は「夏ドラマの不振は中身の問題。継続して見たいと思わせるものが少なかった。秋は、きちんとしたドラマを作らないと、ドラマ離れが加速するのでは」とみている。

秋の夜長にふさわしい、見応えのあるドラマを期待したい。

(2010.10.13 読売新聞)