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碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

札幌での”音楽つながり”

2009年11月20日 | テレビ・ラジオ・メディア

今日の『のりゆきのトークDE北海道』は、「奥様ミュージックアワー」。

スタジオに、2組の音楽チームが登場した。

30代女性3人が歌って踊る「レフトベイベー(ベイビー)」と、姉妹プラス妹さんの夫という3人組「いちごえん(一期一会のご縁)」だ。

レフトベイベーの「ジャマイカン・イン・ニューヨーク」は、キレのいいダンスとメローな歌声がお見事。

いちごえんは、何と美空ひばりさんの昭和40年代の大ヒット「真赤な太陽」を演奏。懐かしいだけでなく、新しいアレンジが素敵だった。

それから、VTR出演で聴いたイワウメさんの曲「エゾモモンガくん」にびっくり。

57歳でギターを習い始め、現在64歳。あちこちの施設に出向いて、歌っている。かわいい歌声とやさしい人柄は、ちょっと忘れられない。

北海道の女性たちは、音楽シーンでも元気だ。


「トーク」が終わってから、札幌駅近くの日本生命ビルへと向かう。

4階に、「島村楽器」が新しい店(札幌にはすでに何店舗もある)をオープンしたのだ。

東京からオープニングイベントのために来札の島村社長ご夫妻と、廣瀬取締役にご挨拶。

実は、私の慶大時代のゼミ生のご両親&ご主人なのだ。

ご両親にお会いするのは、教え子であるお嬢さんの結婚式以来となる。

全国展開の島村楽器だが、聞けば、この店が109番目だという。島村さんは、何と一代でここまでにしたのだ。すごい。

私の自慢の一つは、以前、島村楽器のCIの相談を受け、デザイナーの佐藤卓さんを紹介させてもらったこと。

卓さんは快く引き受けて下さり、ト音記号をモチーフにした現在の島村楽器のロゴマークが誕生したのだ。

新しい店内にも、そのロゴなどが美しく配されていた。

というわけで、新店舗、おめでとうございます!

札幌で32年前の「キネ旬」に遭遇

2009年11月20日 | 映画・ビデオ・映像

札幌に来ている。

昨日(19日)の夕方、千歳の空港から札幌へと向かう途中では雪も舞って、さすがに寒い。

本日も、午前中の「トークDE北海道」、午後の「イチオシ!」でコメンテーター。


札幌に着いたら、まずは例によって古書の石川書店で宝探しだ。

我が“お宝ワゴン”の中に、高橋和己の初版本や手塚治虫全集の何冊かを見つけた。

選んでいったら、あっという間に10数冊になったので、宅配便の手配をお願いし、「キネマ旬報」のみを宿に持ち帰る。

入手した3冊の「キネ旬」は、いずれも1977年のもの。

2月上旬号の特集の一つに『ネットワーク』があった。シドニー・ルメット監督がテレビ界の内幕、というか視聴率競争の行きつく先を描いた作品だ。

何しろ、ニュース番組のアンカーマンが、生放送中に自分の自殺予告をしたりするのだから大変。

公開当時、私も劇場で観たのだが、基本的には、“狂気の視聴率競争”に奔走するテレビ界を批判する内容だった。
 
びっくりしたのは、この特集のために書かれた批評文のうちの1編が、村木良彦さんによるものだったことだ。

1981年、私がテレビマンユニオンに参加した当時の社長である。

残念ながら、昨年の1月に亡くなってしまったが、優れた制作者であり、稀有な経営者であり、鋭い理論家だった。

その村木さんが32年前に書いた文章に、札幌で出会うとは思いもしなかった。

批評文のタイトルは「有効性の薄い単眼すぎるテレビ批判」。

たとえば、映画が軸に据えた“視聴率”に関して、「私が言えるただひとつのことは、絶対視して信仰することもなく、馬鹿にして蔑むこともなく、ごく普通につきあうこと、それと対応する己の論理をきちんと持つということに尽きる」という一文があったりする。

やはり村木さんらしいなあ、と何だか嬉しくなった。


そうそう、3冊の「キネ旬」のうちの1冊、3月下旬号には、別の発見があった。

読者の投稿を掲載する「読者の映画評」のページだ。

映画『キングコング』をめぐって、コングが美女(ジェシカ・ラング)を掴んでいた“手の感触”を滔々と語る文章があった。

当時は個人情報に今ほどうるさくなかったため、文末に、投稿者の住所として三鷹市の所番地が載っている。

そして、21歳の学生の氏名が「金子修介」なのだ。そう、あの金子修介監督である。

1977年に『キングコング』を語っていた21歳の大学生(三鷹高校→東京学芸大)が、18年後の1995年に『ガメラ 大怪獣空中決戦』を監督することになるのだ。

これまた、とても嬉しくなった。