goo blog サービス終了のお知らせ 

碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

ついに視聴率ひとケタとなったドラマ『不毛地帯』

2009年11月10日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

『日刊ゲンダイ』に連載中のコラム「テレビとはナンだ!」。

今週は、フジテレビ『不毛地帯』について書かせてもらった。


見出し:

ついに視聴率10%を切ったドラマ「不毛地帯」は何が足りないのか

コラム本文:

「こんなはずじゃなかったんだけどなあ」という制作陣の嘆きが聞こえてきそうだ。

フジテレビの大作「不毛地帯」の視聴率が低迷している。14%台のスタートもつらかったが、その後は11%台が2回続き、先週はついに9.9%とひとケになった。

ならば、これが不出来なドラマかといえば、そんなことはない。今時珍しく予算と手間をかけて作られている。唐沢寿明などのキャストも適材適所。

ただ、視聴者が感情移入しづらいのだ。

同じ唐沢主演の「白い巨塔」の舞台は大学病院。その内幕や医療問題には誰もが関心を持てた。

それに財前五郎はどこか憎めない男だった。可愛げのある悪漢だった。上昇志向の裏にある不安や弱さを見せていたからだ。

しかし、「不毛地帯」の壹岐正は違う。このドラマだと、元・大本営参謀が商社の戦闘機売り込みに“利用”されただけに見える。

また寡黙で感情をほとんど表に出さない。たまに気持ちが抑えられない時は、夫を心配する妻を怒鳴りつけたりする。

つまり、何を考えているのか分からない人物になっているのだ。

それを補おうと「国を守るという信念のもと、(戦闘機の)導入を果たした壹岐だったが」などとナレーションで説明されても困る。

毀誉褒貶相半ばする瀬島龍三氏がモデルといわれる主人公。その内面と魅力をどう見せるかが鍵だ。
(日刊ゲンダイ 2009年11月10日付)


映画『沈まぬ太陽』に登場した「瀬島龍三氏がモデルといわれる人物」は、相当危ないというか、怪しい雰囲気だった。

さあ、どちらが実像に近いのか(笑)。