明日元気になれ。―part2

毎日いろいろあるけれど、とりあえずご飯と酒がおいしけりゃ、
明日もなんとかなるんじゃないか?

10 years ago

2007-11-19 00:20:08 | 友達
金曜日、ろこちゃんに会った。
高校時代に二人で何度も通った喫茶店で待ち合わせ。
私たちの通った高校のすぐそばにある。
久しぶりに会ったろこちゃんは、何も変わっていなくてほっとした。

仕事を始めてから会う機会が減り、ずっと「空を飛びたい」と言っていたろこちゃんが客室乗務員という仕事を選び、東京へ行ってしまってからさらに会えなくなり、年賀状で毎年のように「今年こそは会おうね」と言い合うだけになっていた、この数年間。

向かい合って、顔を見て、「何年ぶりだろう」と二人で考えてみたら、驚いたことに、ほぼ10年ぶりだった。
だけど、一瞬で10年という月日は溶けた。

「先月会ったくらいの感覚だね」と笑い合う。
懐かしい店で、懐かしい人たちの話題。
今の自分達の生活。
疑問に思っていた、客室乗務員という仕事についてのあれこれ。
話は尽きず、大笑いしたり、せつなくなったり。

店を出て、高校へと向かう。
門の外から校舎を眺める。
淋しいことに、あの美しい校舎はもうない。
面影すらなく、ただの新しい建物が並んでいるだけだった。

「あの辺りが、ピン館の場所やんね」
「あそこに、グラウンドがあったよね」
そう言って、面影を探そうとするのだけれど、悲しいことに正確になぞらえることは困難だった。

だけど、目を閉じればはっきり思い出す。
きしむ廊下、階段のてすり、踊り場の鏡、むき出しの蛍光灯、飾り窓、ボロボロの旧体育館、何度も走り抜けた「ささやきの小道」、「みんなで押したら動いた」という伝説のある五号館、丸い形をした水道、ほったて小屋みたいに並んだ部室、そこから見える北グラ、その脇の細い道を通ると出てくる、あの私の青春がつまった体育館。
今も、彼らがボールを打つ音が聞こえてくるようだ。
あの、体育館に響く、音。

ろこちゃんとは3年間、一度も同じクラスにはならなかった。
だけど、私が男子バレー部のマネージャー、ろこちゃんが野球部のマネージャーで、一緒の更衣室を使っていたことから、友達になった。
お互いの先輩マネージャーに紹介されて。

「なんて呼ばれてるの?」と聞くから、
「だいたいみんな『さんちゃん』って言うけど・・・」
と私が答えたら、ろこちゃんはこう言った。
「えー、なんか、さんちゃんなんてイヤだ。私は『かおりちゃん』って呼ぶね」
それから、私は「かおりちゃん」になった。
彼女はこういう天然マイペースなところがある(笑)

久しぶりに懐かしい場所で、ろこちゃんとしゃべっていたら、いろんなことを思い出した。
高校の空気が戻ってきたみたい。
また、話に出る同級生が、みんな公務員や先生、一流企業に勤め、海外などでも活躍しているのを聞き、高校時代の「異端児」だった感覚まで蘇ってきた。
なんだか別世界のようなのだけど、自分もそこに途中までは足を突っ込んでいたんだなぁと不思議な気分。
でも、負け惜しみではなく、そこに入らなかった自分の生き方が私は好きだし、誇りをもっている。
「自ら選んだ道」であれば、甲乙などつけられるはずもない。
ただ、自称「金の亡者」である私は思った。
「みんないい会社で働いて、金持ってるんやろなー。ええなー」と(笑)。

昔話にも花を咲かせながら、たっぷりしゃべった5時間。
だけど、10年間に蓄積した想いを語るには5時間では物足りなくて。
また会うこと、次はうちに来てもらうことを約束して、別れた。

帰りに思った。
なぜ10年も会わなかったのだろうかと。
遠く離れてしまったこともあるし、ろこちゃんが東京に行った頃の私の精神状態はあまり良くなかったこともあるだろう。
「求めること」「追いかけること」ができなかった。
1年空き、2年空くと、7年はあっと言う間で、気付けば10年。

もう私のことなど何とも思っていないんだろうなぁと思うから、ますます「会おう」と言いづらくなっていた。
だけど、結婚しましたの葉書を送った後、彼女から素敵なお花が届いた。
そこに添えられていたメッセージからは、私の結婚を本当に心から嬉しく思う気持ちが伝わってきて、・・・そして、最後にこうあった。
『腹心の友より』

私はそれを目にした瞬間、なんだかこみ上げてくるものがあって、ボロボロ泣いた。
『腹心の友』
それは、昔、私たちが使っていた言葉だ。
こんなに離れても、まだ私を「腹心の友」だと言ってくれるんだと思ったら、もっと素直になろうと思えた。
「今度大阪に帰って来たら、会いたい」と、ようやく言えた。

そして、それは実現した。

私の腹心の友は相変わらずの天然マイペースで、私は一緒にいると心安らいで、話しているだけであたたかい気持ちになれた。
私の仕事や生活に興味をもって、じっくり話を聞いてくれる。
あの頃に戻ったようだった。

10年は完全に溶けた。
これからまた、新たな友情が築かれるはず。
10年前の心が荒んでいた私とはもう違う。
自信をもってろこちゃんに会える。
それが、今は本当に嬉しい。

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