平成14年(2002)といえば、私が「琵琶湖疏水の散歩道」の原稿を抱えて京都新聞出版センターを訪れた年である。同年9月5日付の京都新聞に、虫プロダクションが田村喜子氏の「インクライン物語」を題材として、70分のアニメ映画を総制作費1億円で製作し、翌年の第三回世界水フオーラムで公開すると発表するという記事が紹介された。
翌平成15年(2003)は第3回世界水フオーラムの開催年で、3月1日付で私の初めての自著本を発刊した。その直後に「みやこめっせ」で映画「明日をつくった男 田邊朔朗と琵琶湖疏水」が3日間上映(無料公開)されたが、希望者が多く見学の機会を逸した。
同年5月、精華大学で「琵琶湖疏水の過去・現在・未来」と題した田村喜子氏の講演会に出席し、初めて田村氏と名刺交換し自著をお渡しする機会に恵まれ、同時上映された「明日をつくった男」の見学を果すことができた。自著を発刊した3月1日は私の誕生日であるが、私にとって自著本とこの映画も同じ誕生日と考えられる懐かしい思い出話しである。
当時は、琵琶湖疏水の知識も浅く、「インクライン物語」も図書館借り出しで一読した頃であったが、その後インクライン物語も購入してその筆力に感銘するとともに、ホームページやブログ活動を通じ、私自身も疏水に関する知識の蓄積も少し深まってきた。
今回、地元の「山科ふるさと上映実行委員会」の主催者の一人である朱さんからのお誘いがあり、映画「明日をつくった男」を再見する機会を得た。そして改めて「明治のロマン」に浸ることができた。