ちわきの俳句の部屋

メカ音痴おばさんの一念発起のブログです。
人生の後半を俳句にどっぷりと浸かって、…今がある。

〝朧月〟と〝朧月夜〟

2021年03月03日 | 俳句

 今朝はまだ厚い雲が空を蔽っていましたが、昨日は雨で行かなかったのでラジオ体操へ。すると行く途中でだんだんと青空が覗いてきて、その空から眩しいほどの日差しが…どうも今日は一日中晴れるようです。ウレシイコト!じゃあ帰ったら、洗濯するぞ!

 それにしても、いつも体操の帰り道で思うこと。歩道の隅のところどころにワンちゃんの大きな…が。でもこの辺りでは野良犬は殆ど見かけませんので、これはきっと飼い主さんがいるのでしょう。それもかなり大きいから…きっと大型犬でしょうか。でも、そうなら是非公衆のマナーを守ってほしいし、当のワンちゃんが悪者にされてカワイソウ!こればっかりは自分では出来ないものね…スルナ!というのは尚更酷だもの。

 行く時と帰り道は違うんですが、行きには殆ど気づかず帰り道にだけ…これって、気分的なものかな?行きは急いでるので、あったとしても見えないと…。なるほど、人の目ってそんなものなのかも。

 こちらではこのところ突風が吹いたと思うと夕方からは雨が降ったりと、天気は荒れ模様で冬に戻ったよう。その雨が昨日の朝までは残っていましたが、午後からのO教室の句会へ出掛ける頃はすっかり雨が上がっていました。すると今度は日が余すなく入る部屋なので暑いほど。ところが、また突然窓が暗くなったかと思うとパラパラッと雨が降り出す…、マッコト変な天気でした。

 ところで、今朝の天気予報を見ていると、山口県はどこも最高気温が11度から14度になっていましたが、宇部だけは9度なんですよ!いつも不思議でなりません。みなさんから良く言われるんです。宇部は瀬戸内海に面しているから温かいでしょうと。本当になぜ?と自分でも思うんです。でもこれが現実…。だから、萩などの日本海側で桜が咲いたよと言われても宇部はまだなんです…というしかないのです。

 さて、昨日の教室の兼題は〝朧月〟でした。もちろん春の季語で、秋の澄み渡った空に皎々と照る月とは対照的、湿り気を帯びた温かい夜気に包まれて潤んだような春の月、それが朧月なんです。

 先日のブログ〝Zoomの夜と朧月〟の写真で見て頂くと、いいかも。その日はちょうど満月でしたので、感じがよく分ると思います。

  朧三日月吾子の夜髪ぞ潤へる   中村草田男

 この句は三日月でおぼろなんですが、普通何もなく〝朧月〟といえば、満月に近い丸い月を想像しますね。この何ともいえない風情はやはり日本的な情緒でしょう。そのぼんやりとした月を見上げる気持も何となく春の愁いを感じさせて…。

  くもりたる古鏡の如し朧月    高浜虚子

 教室の皆さんがこの季語を兼題に選んだのは、きっと詠みやすいと思ったのでしょう。でも、いざ作句してみると、これがなかなかの手強い季語だと分かったようす…

 私も偉そうなことは言えません。〝アッ、これはいい!〟と言えるような句はまだ詠めていませんから。この朧月が動かない句…さて、どんな句が出たでしょう。やっぱり句会に出たのは、〝おぼろ〟という意味に寄りかかったような句が多かったですね。

 例えば、救急車のサイレンを遠くに聞くとか決着のつかないことがあってとか出で湯で仰ぐなどと、何となくぼんやりしてモヤモヤとした感じと結びつけて詠んでいるんです。確かにそれでも一句はできますが…

 〝じゃあ、ここがもし夏の月だったらどう?〟と聞くと、ウウ~ンとみな唸りますもの。ああ、やっぱりこの季語は難しいんですよ。

 文部省唱歌(六年)に有名な〝朧月夜〟(高野辰之作詞・岡野貞一作曲)という歌がありますね。

 1,菜の花畠に 入り日薄れ

   見わたす山の端 霞ふかし

   春風そよふく 空を見れば

   夕月かかりて におい淡し

 2,里わの火影も 森の色も

   田中の小路を たどる人も

   蛙のなくねも かねの音も

   さながら霞める 朧月夜

 この詩には、春の季語の〝菜の花〟〝霞〟〝春風〟〝蛙〟が出てきて、最後に〝朧月夜〟と。特に2番は、火影も森の色も小路をたどる人も蛙の声に鐘の音もと、何もかもみんな霞んで、朧なんです。

 しかし、この〝朧〟だけでも春の季語なんですよ。歳時記の説明には、〝春になって気温が上がると、上昇気流が活発になり、微細な水滴や埃が上昇して大気の見通しが悪くなる、というと身も蓋もないが、それを昼は霞といい、夜は朧とよべば、とたんに情緒を生む〟とあります。とすると、この歌は霞から朧に変わっていく夕方の情景…それを徐々に昇ってゆく月とともに描いたものなんですね。子供の頃はそんなこと全く考えもせずに唄っていましたが…(^0^)

 昔の唱歌には、難しい言葉を使ったものが結構ありましたが、分からないながらもその情感をどこかで感じ取っていたのかも。子供の感性にはビックリさせられるような素晴らしいものが往々にしてありますもの。

 俳誌「馬酔木」の〝あしかび抄〟の選を、今していますが、その欄に「ジュニアの部」というのがあります。小学校2年生から中学生までの、数は多くはありませんが、ハッとさせられるような句にしばしばお目に掛かりますからね。

 今度そんな句があったらここにも紹介しましょう。

 ちなみに角川大歳時記では、「朧月」や「朧」は天文に、「朧月夜」は時候にと、別々に扱ってあります。それぞれ微妙に違っていますが、その違い分かりますか?よかったら考えて見て下さい。

 今日もまた、長くなりました。読んで下さった方お疲れ様。(*^-^*)ございました。では、また次に…

 写真は、先日撮った〝朧月〟。その下は〝朧月夜〟のイラスト、お借りしました。スミマセン!

75+菜の花 畑 イラスト - イラスト画像


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2 コメント

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注釈 (風の盆)
2021-03-06 15:29:38
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がある。それとコメントか
一端の拍手が出来れば、神主になれると言われるが、コメントを見ていると、色んな考えがあると思うがな

小生などは口数が多い方だが、害がないから書いちゃうな。それと返信が来るから的を得ても外れていても考えは参考になるんだな

>宇部は瀬戸内海に面しているから温かいでしょうと
瀬戸内は外の人にとっては暖かい印象がある
尾崎放哉は晩年瀬戸内の小豆島に移った
瀬戸内は温暖かなと思ったが、風が冷たかったと

外からは分からないことが多いな

春は朧だな、芽吹きの季節だが精神には心には良くないこともあると
菜の花は連作を嫌うと。観光地で菜の花を売り出している場所は、土を泥を掘り起こして換えると

菜の花忌は司馬遼太郎だったな

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Unknown (ちわき)
2021-03-06 23:33:51
風の盆さん、こんばんは!
〝いいね〟などのリアクション…して下さいましたか?でしたら、有難うございました。(^0^)
話は違いますが、リアクションというのは〝反応〟なんですよね。
コロナのワクチンの接種で、その副作用が心配だ…なんて言ってたら、〝副反応〟と言うんだよですって。これは医学的な違いなんでしょうか。私には大差ないように思うのですが…
確かに瀬戸内海は暖かなところが多いんですよ。特に島などは温暖な気候で…蜜柑が良く育つと。
それが宇部は違うんですね。地形の問題かなとも思うのですが…昔は必ず台風の通り道でした。真上を通過して台風の眼をよく経験したもんです。
この辺りでも菜の花を昔は菜種油を採るために栽培していたそうですが、今は殆どイベント用ですね。連作を好まない野菜は結構あるようですから、順番に入れ替えて植えるんだとか…
ところで、菜の花忌はもう歳時記にありますよ。司馬遼太郎は平成8年でしたかしら…
でも、長崎県の詩人・伊藤静雄は昭和28年3月12日でやはり〝菜の花忌〟と、更に昭和26年4月20日が歌人・前田夕暮のやはり〝菜の花忌〟なんですよ。知ってました? でもこれらは歳時記にはありませんでしたから、司馬遼太郎のが通用するということなんでしょうか。
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