ちわきの俳句の部屋

メカ音痴おばさんの一念発起のブログです。
人生の後半を俳句にどっぷりと浸かって、…今がある。

〝雛祭〟のあれこれ

2021年03月05日 | 俳句

 今日はもう5日…ああ、日が経つのが早すぎます!このところ一日おきの雨で、今朝もラジオ体操は休み。もうそろそろいい陽気になってもおかしくないのに気温は上がったり下がったり…服選びに困る~!

 昨日は何してたのかしら?毎日同じような繰り返しでボーッと過ごしていると、記憶が??? だから、いつも二人で〝今朝は薬を飲んだかな?〟と聞きあいこして…でも自分のことさえ定かではないんですからね。おお、コワッ!です。

 ところで、一昨日は3月3日…ちょっと出遅れましたが、〝雛祭〟について書いてみましょうか。

 昔から女児の息災を祈って行われる行事で〝桃の節句〟などともいい、五節句の一つ、上巳(じょうし)の節句のことです。詳しいことはみな様ご存じの方が多いでしょうから省きますが、その実施の日で迷われる方もおられるかと。

 最近は殆ど新暦の3月3日ですよね。ところが、この頃は桃の花どころかまだも咲いていないのに、なぜ?と思われる方もいらっしゃるかも。これはもともと旧暦の行事でしたから、雛祭も桃の花も晩春の季語だったのです。ところが、雛祭が新暦3月3日の行事になってからは、仲春の季語になりました。でも、地方によっては旧暦だったり、月遅れの4月3日に行うところもありますから、迷われてもおかしくはないですね。

 また、変わったところでは、香川県三豊市仁尾町や兵庫県たつの市御津町での〝八朔ひな祭り〟。現在でも旧暦の八朔(8月1日のことで、秋の季語)を中心にイベントなどが行われているようですよ。これは、戦国時代に仁尾城が落城した日が3月3日だったとか、御津町の室山城が祝言の夜に急襲されて非業の死を遂げた花嫁を慰めるために3月3日を避けて半年遅れの八朔に雛祭をしたという謂れによるもののようです。

 また、〝雛流し〟で有名なのは鳥取市用瀬(もちがせ)町で、旧暦の3月3日に毎年行われていますが、これも新型コロナウイルスのため、残念ながら去年も今年もイベントは中止になっています。以前馬酔木の?周年記念吟行会で始めて用瀬に行き、その後もまた行ったんですが、どちらも雛流しの時ではなくてとても残念でした。一度は観に行きたいと思っていますが、いつのことになるやら…。

 そもそも雛祭の起源は、中国渡来の「上巳(じょうし)」の節句で、 中国では3月3日に水辺にて身を清め、穢れを払う習慣がありました。 これが日本に渡ってきて、3月3日には穢れ払いの儀式が行われるようになったんです。 奈良時代には紙でできた人形(ひとかた)が登場し、平安時代にはその人形(形代かたしろともいう)に厄を移して川に流す「流し雛も誕生しました。

 そこで少し「上巳」について…。これは初めの巳(み)の日という意味で、三月は辰(たつ)の月、その辰に縁の深い巳の日に災厄を払う祓(はらえ)を行ったのが上巳の由来です。更にその日には中国に端を発した〝曲水の宴〟が、平安時代から3月3日に宮中で開かれるようになったんですね。

 この曲水の宴は、先日吟行に行った〝東行庵〟でも昔行っていたようなんですが、私が俳句を始めた頃にはもうなくなっていました。その名残が梅林の中に残っています。他には、下関市の赤間神宮に曲水の宴を観に行きましたが、これはちょっと神宮の建物の中で行われていましたので今一つ風情がありませんでした。でも、終わった後に壇ノ浦へ雛を流しに行ったのは、とてもいい句材になりましたけれどね。

 本格的な曲水の宴を観たのは太宰府天満宮で、これは平安朝の貴族さながらの装束、盃が流れて来るまでに1句を短冊に認めてゆく…と。まさに平安絵巻の如く見応えがありました。また、その日は梅も真っ盛りで、花びらが風に舞っては曲水の流れに浮かぶという…。おまけに淡雪まで降ってきたりと、それはそれは風情づくしの吟行会でしたから、今でも目に焼きついていて忘れられません。つくづく俳句をしていてよかったなと思ったものでした。

 上記の赤字は全て季語ですよ。次にそれらを詠まれた秋櫻子先生と馬酔木の大先輩の方々の句をご紹介しますので、どうぞ鑑賞して下さい。ちなみに「雛」は〝ひいな〟とも読みますからね。

  天平のをとめぞ立てる雛かな   水原秋櫻子 

  目覚めけり上巳の餅を搗く音に  相生垣瓜人

  夜半の雛肋剖きても吾死なじ   石田波郷

  七十の形代や袖長過ぎむ        殿村菟絲子

  老いてこそなほなつかしや雛飾る 及川貞

 最後二句の作者は、写真でしか知りませんが、馬酔木大先輩の女流俳人で、特に及川貞さんは、『馬酔木』婦人句会を起こしたことで知られ、最後まで馬酔木におられて多くの優れた女流俳人を輩出させたという方なんですよ。昭和61年に94歳で亡くなられました。まだ私が俳句を始めていない時なんですが、できればお会いしたかったなあ!

  写真は、用瀬の〝流し雛〟です。下のは、鳥取県観光連盟の写真をお借りしました。スミマセン!

流しびな


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2 コメント

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新暦と旧暦 (風の盆)
2021-03-06 15:08:16
新春と言う
年賀状などでは新春のお慶びを申し上げますと書くな
正月などはまだまだ寒い
梅などは蝋梅も咲いているか咲いていないかだな
どうも春には程遠い

今じゃパソコンも進化した
識者がいるな
2021年1月1日は旧暦では2020年の11月18日だと
逆に言うと旧暦で正月、2021年1月1日は新暦だと2021年2月12日となると
余禄だが、紀元節の前日だな

そうすると旧暦で言えば、新春とは季節を先取りするので感覚的に納得する

どうも今俳句で使っている季語とは、歳時記とは旧暦で考えたもののようである
文面からはそう解釈できるし、現に季語自体旧暦で読んだもののように思われる

桃の節句という言葉も、旧暦で3月3日は新暦にでは4月14日である
昔は今よりも寒かっただろうから、丁度桃が満開となる時期となる
暦を見ると3月5日は啓蟄とか。24節気も旧暦の日かどうか調べてみよう

どうかな、そうすると俳句にしても季語いや季節がずれてくる。それとも旬の先取りと言えるかな

>兵庫県たつの市御津町でひな祭り〟
龍野市か、今は平仮名が流行りか
赤とんぼを作った三木露風の出身か
獄死した三木清もいたな
美しい街だな

俳句とは短歌とは心情を吐くのは、説明は野暮だと、粋でないと。その通りだな
しかれども、声に出したいな
こういうことこそ、ひらがな、カッコつきのひらがな、せめてもの注釈が欲しいな

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Unknown (ちわき)
2021-03-06 22:47:01
風の盆さん、今晩は!
コメント有難うございます。
以前〝年内立春〟のことをブログに書きましたが…覚えておられませんか?
今年は例年より1日早く、立春が2月3日で、まだ2月12日の新年が来ていない時でしたから年内立春と。旧暦は年によってかなり違います。が、どっちかというと年が明けてからの立春が多いようで、だから、初春と…。
今の人たちには旧正月はなじみがなくなりましたが、季語には〝旧正月〟や〝春節〟としてあります。また、長崎や神戸、横浜の中華街などでは今も春節祭として旧正月を祝っているでしょう。
季語は風の盆さんの仰るとおり、旧暦が基本です。だって、芭蕉の時代からなんですもの。
しかし、現代になって新暦と合わなくなった季語がどんどん出てきて…その辺で混乱するものが多々ありますが…。
24節気の日付は、閏年とかで1日や2日はずれることがあっても、殆ど変わりません。冬至から始めて太陽の黄道上の位置によって24個の基準になる点を定めて24節気と呼んでいますが…詳しいことは調べて見て下さいね。
季節はこの24節気で回りますし、季語もそれに準じています。
ただ地球温暖化によって季節感というのが随分ずれてきていますので…。ややこしいですよね。私もよく混乱します。
都市の名は平成の大合併で随分変わって、ここはどこ?と戸惑ってしまいます。そのとき結構平仮名になったところがありましたよね。さいたま市とか…
ところで、〈声に出したいな  こういうことこそ、ひらがな、カッコつきのひらがな、せめてもの注釈が欲しいな〉…
そうですね。スミマセン!書くのが長くなったので…割愛しました。
読むのは遠慮せず声に出して読んで下さい。だって本来俳句も短歌も〝吟〟ずるのですからね。是非吟詠してうったって下さい。
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