うたたね日記

アニヲタ管理人の日常を囁いております。

本当に怖いもの。+追記(コメントお返事)

2017年11月09日 20時19分59秒 | イベント
ここのところまるで食レポのよ(笑)うになっておりましたが。今日は食から離れます。
先日、現在上野の森美術館で開催されております『怖い絵展』に行ってきました。
12月中旬まで開催されているとのことでしたが、多分開催最初と最終日近辺が混むだろうと思って、あえて真ん中あたりを目指してみましたが・・・

「何この『コミケ待機列状態』!?Σ( ̄口 ̄|||)」

いや、まさか入場するまでに一時間半近くかかるなんて思ってもいなかったです 最近こうした美術館や博物館の行列が凄いとは聞いていましたが、ここまでとは思わなかった(真田丸展だって入場するだけなら早かった。)
かもしたは美術にも世界史にも疎い+授業で選択したこともない人なので、そんなかもしたでさえ行こうと思うくらいですから、やはり皆興味深いんですね。
ともかく、美術館ですから「写真はダメ」と思っていたら、実は一部撮影OKだったので、持っていけばよかった・・・でもかえって怖いのを思い出すから、記憶のうちにとどめ置くだけでよかったかも^^;
ともかく、この絵画を鑑賞するにあたっては、「必ずガイドブックか、音声ガイドをもって鑑賞すること」というのがオススメで、そうでないと余程詳しい人でない限り、その絵が何故怖いのかがわかりにくいからだそうなんですが・・・
―――すいません、音声ガイダンス、すべて貸し出し中です(悲)
それだけ混んでいたことがよくわかりましたよ。。。

ともかく、サクッと感想などを。(※ところどころ表現が激しい部分は隠しています。反転させてください)
テーマが6章まであって、最初は「神様とか聖書」の世界。なので、身近ではないんですが、ある意味凄惨さを感じるものがありました。
要するに「神様の力にかかっては、人間、反撃しても敵わない。」というやつです(無常)。
大海に漕ぎ出せば、セイレーンが誘惑して海に引きずり込まれるわ、魔女が差し出した盃がたとえ毒と分かっていても飲む以外道はないとか、襲われても逃げられない若い女性とか・・・。一見見ると「綺麗な絵だね」で済むんですが、意味を知ると結構酷い(--;) まさしく「四面楚歌」状態になっているんですが、要はどんなに人間が頑張っても、自然災害とか(=神の力)には敵わない。地震・雷・火事・嵐(オヤジは除く)には抗っても難しいことを示しているんですね。
2章目は「悪魔」です。まぁ悪魔なので誘惑に負けて酷い目に遭っているというか。これは絵を見るだけでも何となくわかります。オスカーワイルドの「サロメ」は一応人間の娘ですが、王様に「何が欲しい?」って言われて「彼氏の生首」と言っちゃうあたりが恐ろしや。。。(==;) サロメは単純に王様に不穏分子を殺すために利用されただけなんですけどね。この時点で「わかっていない。無知」がいかに恐ろしい結末を招くかがよくわかりますよ。
第3章は「幻視」。要するに人間界にいる「精霊」とか「妖精」さんのいたずらですね。まだ帽子もって逃げて行っちゃう(…その割には人間が歩いた速度より全然遅いので、すぐ捕まる:苦笑)妖精さんは可愛いですよ。嫌なのは、「骸骨に追いかけられる」とか「死を告げる鐘の音が聞こえる」とか、挙句「死刑判決を出す裁判官が既に骸骨」とか、この辺は(ノ∀`)アチャー。夢に出てきたら怖いので、小さいお子様には見せられないかな。
でももっと見せたくないのが4章の「現実」。…もうこの時点で気が付きますが、2章ずつ相対した世界なんです。で、この4章は人間の酷さが見事に描かれてます。
結構ビックリしたのがセザンヌ。有名な画家さんなので、かもしたでも聞いたことがありますが、この方の絵は普通は人物画だったり静物画だったりで、残虐性なんて一かけらも見当たらなかった・・・なのですが、ここにあったのは衝撃的でしたよ。タイトルもそのものずばり『殺人』(゚д゚)!
男が二人、被害者を押さえつけてメッタ刺ししているシーンなんですが、「一体何があった!?セザンヌ!Σ( ̄口 ̄|||)」と、聞いてみたくなるほど。
他にも他殺やら溺死やら自殺やら・・・不思議なのは、どこをとっても「血」は描かれていないんですよ(それらしきものを描かれているものもありますが)。なのに死体がそこここにあるという。
ちょっと小さいお子様には刺激が強すぎですね。来場者の中に小さい子を連れたご家族さんがいらっしゃいましたけど、あまりにも衝撃強すぎてササッと通り抜けていました。
あー、でもまだ「クラーナハ」さんの「ユディト」に比べたら大丈夫っすよ!あれ、悪徳領主の生首が見事に切断面を描いてますから!しかもそれ持っているお嬢さんが全く無表情なので、更に怖い(((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル。血はそんなに描かれていないので、そこは多少刺激は抑えられていますが、切断面に見事に「気道」「食堂」「脊髄」「筋肉」が描かれているので、一体どこでそんなもの見たんだ!?―――(といっても、ルネッサンス時代は斬首とか普通に町の広場で執行されていたから、見られるんですよね。日本だって〇〇河原でさらし首ありましたし。) ちなみにクラーナハさんは、裸婦像を結構書いていますけど、昔は宗教上、女性の裸を描くのは禁止。なので、陰に隠れて想像だけで描いていた→それをこっそり売っていた(笑)あたりが、なんか家族に隠れてこっそり同人活動している自分に重なる気が:笑。一緒にしちゃいかんけど^^;)
あと結局100年以上逮捕されていない『切り裂きジャック』ですが、犯人と疑われた画家の作品もありました。ずまりこっちも『切り裂きジャックの部屋』というタイトルで。無機質な部屋で黒が目立つんですが、そこがかえって印象的です。心の闇ってこんなかんじなんでしょうかね。
あと結構痛いのが女性の周りが黒の中、白い筋が何本も走っていて、キャンバスの凄い端っこの方に小さな子供みたいな絵が描かれているの。これ暴漢された挙句妊娠してしまった女性をモチーフにしているんですが、この白い筋が要は精液です。で、端っこに描かれたのは胎児。うつろな女性の表情が何とも痛ましいです。これは恐怖より怒りが沸きますね。同性として。
そして5章は「風景」。本当にただ見ただけでは風景画です。なんですが、よくよく見ると隅っこの方で戦い敗れた戦士の姿があったり、歴史に刻まれた戦いの凄惨さが描かれています。共通するものはなぜか人が小さいんですよ。描かれ方が。無論大きいものもありますが、なんとなく長い歴史の前では、人間なんてちっちゃな存在だな、という気にさせてくれます。そうした人の沢山の悲劇を乗り越えて、現在があるんですね。
最終章は「歴史」。こちらは歴史上有名な人物が描かれていることが多いですが、悲劇の死を遂げたという意味では確かにマリーアントワネットとかクレオパトラという有名人の死が描かれていました。(ただし、史実にあった死に方でなく、あくまで画家さんのイメージで描かれたもの) でもめっちゃ明るい絵もあるんですよ。「チャールズ1世の幸せだった日々」なんて、見るからに舟遊びで、川には白鳥も優雅に泳いでいて・・・なんて、明るくて楽しそうなのに・・・この「後」が大問題。このタイトルの付け方が非常にいいですねw 「だった日」ですから、「この後、何があったの!?!?」って絶対知りたくなりますもん!世界史知らなくても興味なくてもなんか知りたくなってしまう。タイトルって大事ですね←観点が違う^^;
でも一番有名で、今回のこの目玉なのが『レディ・ジェーン・グレイの処刑』。でっかいキャンバスでした。3mくらいあった気がする。全体像をもっとよく見たかったんですが、皆これ目当てで来ているから、すごい大混雑!もうゆっくりなんて見てられない。ガブリよっちゃうと全体像が見えないので、本当は離れてよく見たかったんですが、見れなかった。。。
多分ご存知の方が多いと思いますが、ジェーンは9日間だけイングランドの女王になった女の子。父親をはじめとする陰謀で女王に祭り上げられ、挙句劣勢になったとたん見捨てられ、最終的にブラッディ―メアリことメアリー1世に処刑されてしまいます。いわゆるプロパガンダに近いんですが、争いの根源となった宗教(カトリックとプロテスタント)で、彼女は自分の信仰を絶対に譲らなかった、意志の強い女性でもあって、すごく頭もよく自分の置かれた立場を知っていた方だったということがよくわかりました。
もとは黒いコートを着ていたんですが、断頭の邪魔になるんで脱がせられた下は白いドレス。肌も綺麗できっと美しい瞳でもあっただろうに目隠しをしているため、自分の首を乗せる断頭台の場所がわからず、手探りしているシーンがこの絵画ですが、若干15歳で女王にされた挙句16歳で処刑されたことも含めて悲壮感溢れる絵画です。自ら断頭台を探しているなんて・・・この絵画に描かれた数十秒後には首がなくなっているんですよ・・・想像するだけでキツイ!周囲に描かれている司祭、執行人、侍女たちの嘆きと悲しい表情やあまりの惨さに失神してしまう様子から、いかに悲劇かが伝わってきます。この絵も史実と違うようなのですが、悲劇であるかは語らずとも十分に伝わってきます。この絵をどうしても監修の方が日本で公開したかったという理由がよくわかります。

・・・こうしてみてみると、絵画の裏に隠されたメッセージってすごいなぁ、とつくづく思いました。言葉にすると説明文だけで何十行もかかりますけれど、絵なら一発で言いたいことが全部使わってくるからすごい。
そして、神様や悪魔よりも、「実は人間がしていることが一番本当に怖いなぁ」と。海難事故の絵画もあるのですが、船長が先に救助いかだに乗っかって、乗務員とかみんな置き去り。無理矢理乗った人も下敷きにされて、筏の端に遺体が引っ掛かっている絵があったのですが、こうした本性が一番恐ろしさが伝わってきます。無論神も悪魔も人間が描いていますが、怖いけれどまだ慈悲があるというか…人間の仕業は容赦ないです(--;)

とにかく、美術にも明るくなく、絵心も全くなく、かといって世界史も全然知らないかもしたでさえ、面白いと思ったこの展覧会。
一見の価値があると思いますので、もし興味がある方は是非お勧めです!



>音声ガイダンス様
 初めまして。教えてくださいましてありがとうございました。
 参考にさせていただきます(^^ゞ