うたたね日記

アニヲタ管理人の日常を囁いております。

S&V(仮)その4

2016年08月26日 19時57分15秒 | ノベルズ
「すごーい!綺麗ー!」
入道雲の浮かぶ水平線はどこまでも青く、真夏の日差しが宝石を海面に放り投げたかのようにキラキラと輝いている。
プライベートビーチ、とは聞いていたが、どこまでも白い砂浜に人影どころか波の打ち寄せる音以外聞こえない、全くの別世界だった。
両手で双眼鏡を作りながら、感嘆の声を上げるカガリに、後ろからアスランが声をかけた。
「・・・左の方に岩場があるが、そこは潮が巻いていて危険だから。それ以外のところなら大丈夫だ。」
「じゃぁ、そこ以外なら潜っても大丈夫だな。行こう、アスラン!」
真っ先に波打ち際に走っていくカガリ。当然その後をアスランが追ってくる―――ものと思っていた。だが
「いや・・・俺は今はいいから・・・気を付けて遊んできて。」
背にかけられた声はそっけないもの。カガリが振り向けば、一瞬目が合った気がするが、翡翠はカガリのまっすぐな視線を避けるようにして、別荘に続く道へ向かってしまった。
「・・・どうしたんだろう。あいつ・・・」
今朝までは機嫌が良かったはず。・・・いや、機嫌はよくなかったか。自分と二人だけのビーチだったはずが、キラとラクスも一緒に来てしまったのだ。それもアスランの合意なしに。
いくら知らなかったとはいえ、キラを同行させる、とマーナに言われた時点で、アスランに自分から伝えておいたほうが良かったのかも。『ほう(報告)・れん(連絡)・そう(相談)』はどんな仕事についても大事な基本、と父ウズミに教わってきた。でもそれを怠ってしまったのは自分の責任だ。
「あやまらなきゃ。」
慌ててアスランの背を追おうとするカガリ。だがその彼女の肩にそっと柔らかな手がかかった。
「大丈夫ですわ、カガリさん。少し時間をおいて、またお話ししては?」
「でも―――」
「彼自身も一人で少し気持ちを落ち着けた方が良いお思われますし。ね?」
「そうだよカガリ。」
力強い(強すぎる)ラクスの援護を受けて、キラも同意する。
「いきなりでちょっとびっくりして、気持ちの整理がつかないだけだから。まだ今日を入れて3日間あるんだし、まだまだアスランとも遊べるしさ。もう少し立てば追いかけて来るよ。昔みたいに。」
最強CPのダブルの微笑に勝てる人がいたら、是非ともお目にかかりたい。それ位説得力のある笑顔に促されて、カガリは「うん・・・」と小さく頷くと、キラキラと光るアクアマリンの中に飛び込んだ。

そこは天然の水族館だった。
色とりどりの、見たこともない魚たちがカガリの横をすり抜けていく。
(うわ・・・)
すっと手を出せば、人間を恐れないのか、まるで小鳥のようにカガリの指先をかすめていく。
足元には細い骨の様な白い貝殻。
日差しの差し込む遠浅の海は、それだけで何かの宮殿に入り込んだようだ。
でも・・・
(・・・「カガリ、これはクマノミだよ。そしてこれはテーブルサンゴ。」)
きっとそうして教えてくれたであろう彼がそばにいない。
それが、もっと輝いて見えたであろう海の宮殿から、少し色を奪われた気がした。

***

海中を堪能した後、別荘から早めの夕食を告げるベルが聞こえた。
水着のままビーチから戻れば、そこには山海の珍味をそろえたビュッフェが広い庭に備え付けられたテーブルに、彩りよく並んでいた。
「すごい!お金持ちってやっぱり違うよねー。」
「そうですか?キラは海に来たときはどんなお食事を?」
「うーん、普通に海の家で『焼きそば』かな。」
思い出しながら笑顔で返せば、周りはみんなキョトンとしている。空気が思いっきり違う。
「・・・もしかして、みんな『焼きそば』・・・知らないの?」
キラが戸惑いながら聞き返せば
「焼きそばなら知ってるけど。『海の家』ってなんだ?」(カガリ)
「海に家があるのか?」(アスラン)
「『焼きそば』とは一体何でしょう?」(ラクス)
あーーーーっ!!これだからお金持ちはっ
「いいよ!どうせ僕だけ庶民だからねっ!庶民には庶民の味があるんだから!」
「あらあら。私はその『焼きそば』是非食べてみたいですわ もちろん、キラのお手製で。」
「じゃぁ作ってあげようか?」
「はい!お願いいたします では是非今」
「今?明日じゃダメ?―――って、ラクス??」
気が付けばラクスはキラの腕を取って、別荘の中へと向かっていく。その際
(ニッコリ
「へ?」
フォークを口に入れたままのカガリにウインクを飛ばす。
(「頑張って。カガリさんv」)
「ちょっと、ラクス。僕まだ食べてな―――」
「大丈夫、ちょっとの間だけキッチンで材料をそろえるだけですから。」
キラの抵抗むなしく、ラクスに引きずられながら、二人は別荘の中に消えた。
「・・・」
残されたのは、アスランとカガリのみ。
「えーと・・・あ!アスラン、これすっごく美味しいぞ!取ってやるからお前も食べてみろよ!」
「あぁ。ありがとう、カガリ。」
カガリが取り皿をアスランに手渡す。その時、ようやく向かい合えた―――と思ったら
<ガチャン!>
一瞬カガリの手に触れたアスランの手が<ピクン!>と震え、小皿を滑り落してしまった。足元にムール貝のマリネが四散する。
「あ、ごめん!」
カガリが慌てて片付けようとしゃがみこんだ。が
「君は触らなくていい!」
「えっ?」
いつもより厳しい口調。カガリが見上げれば、アスランは顔を紅潮させている。
「ごめん・・・私・・・」
「あ・・・いや、皿の破片で手を怪我するといけないから、カガリは触らないで。」
「うん・・・」
何だろう。いつもだったらこんな怖い顔しないのに。「全く君はドジなんだから。」って苦笑してくれるのに。
そんなに怒っているのか?
「アスラン。」
カガリがアスランの背に言った。メイドを呼びに行こうとしたアスランの動きが止まる。
「その、なんかごめん・・・怒らせたみたいで。キラとラクスのこと・・・やっぱりちゃんとお前に言っておけば・・・」
「そうじゃない。」
背中越しに帰ってきたのは溢れる感情を抑えつけたような声。
「じゃぁ、なんでこっち見てくれないんだよ!」
カガリが哀願する。ずっと楽しみにしてくれていたんだ。もちろん私も楽しみにしてた。だけど、キラとラクスのことじゃないとしたら、なんでお前が私に怒っているのか、言ってくれなきゃわからないじゃないか!
「・・・ごめん。今片付けさせるから。」
そういって、アスランがメイドを呼ぶ。カガリの周りにメイド数人がやってきたときには、アスランの姿は見えなくなっていた。

・・・(続けましょう)

***

なんか切なチックになっちゃっただよ。
かもしたが書くと、絶対順風満帆に行かないんだな、このCP。
もう一方は絶対尻に敷いてるから大丈夫なんだけどさ(笑)
あ、そういえば余談ですが、先日まで開催されていたオリンピックで、メダルを取った女子選手が、彼から表彰式でプロポーズをされたCPがいらっしゃって、その言葉が男性「あなたの尻に敷かれたい」で、返事が「喜んで敷きます」だったとか。
これ聞いた瞬間、絶対『キララク』だと思いました(笑) 彼女強し!でも割とその方が上手く回るのよ、家庭って(笑)

めでたく、ここのページに気が付いた方、
「おめでとうございますーーーーっ

先日のブログでもUPいたしましたが、お友達のY様が、このSSからイメージした、カガリたんのイラストを描いてくださり、あまりにもあまりにも可愛いため、一人だけで眺めるのはもったいなく、今、ここでこっそり(?)UPさせていただきます!

なにっ、このナイスバディーはっ!!
いや~鼻血止まらんわ~v
この胸元の紐と腰ひも、取りたいわ~v 私が妄想の中で取ったるわ!(爆!)